最弱スキル《リサイクル》で世界を覆す ~クラス追放された俺は仲間と共に成り上がる~

KABU.

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第二章:「隠された力」

第14話:森の賢者

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 夜が明けると同時に、蓮とリアは廃都を後にした。
 再生した街路灯の明かりは、彼らの背をやさしく照らし、まるで「行ってこい」と送り出しているようだった。

 東の森。
 そこは、昼でも薄暗く、霧が漂う幻想的な場所だった。
 木々は異様なほど大きく、幹には古代文字のような紋様が刻まれている。
「……この森、変だな」
 リアが警戒するように剣に手をかける。
「魔力が濃すぎる。普通の森じゃない」
「ああ。エルフたちが“結界”を張ってるんだ」
 蓮は空気を感じ取りながら言った。
 肌にまとわりつく魔力は、まるで意志を持つかのように彼らを観察している。



 森の奥へ進むと、光の粒が漂い始めた。
 それは蝶のように舞い、二人の周囲をくるくると回る。
「きれい……」
「精霊だな。低位のやつだ」
 蓮がつぶやくと、精霊たちはまるで答えるようにふわりと離れ、道を作る。
「誘導されてるな」
「罠じゃないといいけど」
 リアが小声でつぶやく。

 その先に――光に包まれた広場があった。
 巨大な木の根元に建てられた石造りの神殿。
 その中央に、一人のエルフの女性が立っていた。

 白銀の髪が光を受けて揺れる。
 深緑のローブを纏い、透き通るような瞳が蓮を見つめていた。
「ようこそ、再生の使い。……貴方が篠原蓮ですね?」

 柔らかな声。だが、その中に確かな知性の光が宿っている。
 蓮は軽く頭を下げた。
「俺を知っているのか?」
「はい。昨日、監視部隊から報告を受けました。廃都メルディナを再稼働させたと」
 彼女は微笑む。
「私はセリナ・エルフェリア。この森の賢者です」



 リアが思わず前に出た。
「なんであんたたちは、あんな風に襲ってきたんだよ!」
 セリナは申し訳なさそうに頭を下げた。
「無礼をお許しください。私たちは、長らく古代の遺産を“封印”する立場にありました。
 人間がそれに触れると、世界が再び崩壊すると信じていたのです」
「……封印、ね」
 蓮がつぶやく。
「でも、蓮は壊すんじゃなくて“直した”んだ。あんたも見たろ?」
 リアの言葉に、セリナは静かに頷く。
「ええ。あの光を見ました。……正直、驚きました。
 “再生”のスキルが、ここまで精密な制御を可能にするなんて」

 彼女の瞳が蓮を射抜く。
「篠原蓮。あなたの《リサイクル》は、ただの補助魔法ではありません。
 ――それは、“創造の反対側”の力です」

「創造の……反対側?」
「この世界は、女神アリアによる“創造”によって形作られました。
 しかし、創造は常に“破壊”を伴う。
 あなたの力は、その循環を“繋げ直す”もの。
 つまり――この世界の法則に干渉できる、極めて危険な能力です」

 リアが息を呑む。
「危険って、どういうこと?」
「簡単に言えば、世界を作り直せるということです。
 人間がそれを望むのかどうかは……まだ、わかりませんけど」



 蓮は黙って考え込んでいた。
 自分がそんな大それた存在だなんて、信じられない。
 だが、セリナの目は冗談を言う人のそれではなかった。

「……俺はただ、壊れたものを直したいだけだよ。世界を作り直すなんて――」
「その“願い”こそが危ういのです」
 セリナは言葉を重ねる。
「純粋な善意ほど、世界を揺らす。
 あなたが誰も捨てず、何も壊さずに再生を続けるなら……
 いずれ“この世界そのもの”があなたのスキルに取り込まれるでしょう」

 沈黙。
 リアは言葉を失い、蓮は拳を握りしめる。

「……それでも、俺は止めない」
「なぜ?」
「だって、見てきたから。
 “捨てられた者たち”が苦しむ姿を。
 俺はそのために、このスキルを使うって決めた」

 セリナはその答えに微笑んだ。
 穏やかで、どこか懐かしい微笑みだった。
「……やはり、あなたは“あの人”に似ていますね」
「“あの人”?」
「昔、私が仕えていた古代の王。彼もまた、壊れた世界を直そうとした。
 ――そして、失敗しました」



 長い沈黙ののち、セリナは背後の祭壇に歩み寄った。
 そこには、壊れた魔導書が一冊、鎖で封じられていた。
「この書には、古代の禁呪《リビルド・アーク》が記されています。
 再生の概念を“魔法体系”として実行する禁忌の術です」
「禁忌……」
「もし、あなたのスキルがこの呪文と共鳴すれば――“創造の領域”へ至るでしょう」

 セリナは振り返り、静かに微笑んだ。
「……試してみますか?」

 蓮は目を見開いた。
 リアが慌てて制止する。
「ちょっ、ちょっと待て! 禁呪って言ったろ!? やばいんじゃ――」
「俺はやる」
「蓮!?」
「ここまで来たんだ。確かめないと、自分の力が何なのかもわからない」

 セリナは満足げに頷く。
「……いいでしょう。
 ならば、あなたに“古代の扉”を開く資格があるか、見せてください」

 森がざわめき、精霊の光が強くなる。
 リアは剣を握りしめ、蓮は封じられた書を見据えた。
 次の瞬間、鎖がほどけ、眩い光が溢れ出す――。
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