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神剣 大お披露目会 Ⅴ
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みんなで移送車に乗って演習場に移動した。
演習場には大きな白木の祭壇があり、白い布が各段に敷かれている。
そこには既に一振りの剣が置かれていた。
白い象牙に螺鈿細工の施された、見事な鞘に収まっている。
既に美しく巨大な波動から、間違いなく神剣であることが分った。
それにしても見事な剣だ。
祭壇は3段になっている。
後からも他の神剣を乗せるためだろう。
それと、祭壇の前に置かれた大きな台座には立派な鎧兜が置かれている。
そこからも尋常でない波動が感じられた。
鎧は燻んだ青味がかった立派なものだった。
竹を一切使っていない、全身が鋼で出来ている重厚なものだ。
通常の鎧は軽量化のために多くの部分で竹を使用している。
全体を鉄で作ると、装着者は重みで動けなくなるためだ。
でも、この道間家の鎧は違った。
触らずとも、肉厚の鋼であることが見て取れた。
一体どれほどの重量になることか。
人の身では到底纏えないものだ。
兜も額に3尺もの太く長大な角があり、そこは更に鋼ではないもので出来ているものであることが外からも分かった。
それでいて、その鎧が何度か纏われたものであることも、私の感覚で分かった。
決して飾の威容ではなく、可動部に擦れた痕があるので、実際に使われていたものだ。
凄まじい方がいらしたものだ。
「流石に場所までは記されていなかったが、百家には神剣に関する書物があり、銘はそれで判明した」
高虎さんが説明を始めた。
祭壇に置かれていた神剣だ。
「最初は百家のものだ。銘は(皇猿王(すめらぎえんおう)》。猿田彦の使っていた剣とされている」
「猿田彦ですか?」
猿田彦とは、日本神話の国津神の一柱だ。
天孫降臨の折に、天の八衢(やちまた)で天孫族を出迎えた神だ。
偉丈夫で異形の神であり、後に天孫族の天宇受売命(アマノウヅメノミコト)と結ばれたとされているのは知っていた。
「ああ、『記紀』では明かされていないけどな。『宮下文書』などには軍事担当の長だったと記されている。まあ、たった独りで国津神を代表して天孫族と対面したわけだからな。さぞ戦闘力が高かったのは確かだろう」
「それが《皇猿王》……」
高虎さんがその剣を手にした。
私の「常世渡理」ほどではないが、180センチはある長大な剣だった。
何よりも厚みがあり、重量は相当なはずだ。
それを高虎さんは軽々と振るった。
高虎さんは《皇猿王》の本当の力を出そうとはしなかったが、大きな波動が拡がって行くのを感じた。
《皇猿王》が高虎さんに握られて喜んでいるのだ。
その気になれば、高虎さんは《皇猿王》の主にもなれるだろう。
虎白さんたちはため息をもらして眺めていた。
高虎さんが《皇猿王》を鞘に納め、祭壇に戻した。
その折に、優しく撫でていた。
カシャン
神剣が鞘の中で高虎さんに語り掛けたような気がした。
もっと自分を使って欲しいという意味のようだ。
高虎さんは微笑んで鞘を撫でた。
「じゃあ、麗星、頼む」
「かしこまりました」
他に神剣は無い。
麗星さんが立ち上がり、台座の鎧兜の前で何かを唱え始めた。
しばらくすると、鎧の結び目が外れ、中から何かが浮かび上がって来た。
鎧兜の中にあったのか!
麗星さんがそれを胸に抱いて言った。
「これが《御剣乱雨(みつるぎらんう)》です」
驚いた。
それは「剣」の形をしていなかった。
ただの青銀色の岩の塊に見える。
「わたくしも知らなかったのです。道間家では本家筋の子どもの寝所に、この鎧を飾っておく仕来りが御座いました。もしもこの鎧が崩れた場合には、その子どもが「道間皇王」となると代々言われてきました」
「崩れたよな」
「はい! 天狼が生まれた時、見事に鎧が分解されました! 旦那様もご覧になりましたよね!」
「ああ」
麗星さんが嬉しそうだった。
その時の興奮が甦っているのだろう。
「あの後で、鎧をまた組み上げようとしましたら、このランちゃんがいたのです!」
つまり、この神剣《御剣乱雨》が鎧兜を繋ぎ留めていたということか。
そして「道間皇王」が生まれると、その接続を外すと。
ならば、《御剣乱雨》という神剣は……
高虎さんが麗星さんから《御剣乱雨》を受け取った。
「ほう、面白いな」
「旦那様にはお分かりになりますか!」
「ああ。主の望む形になるか」
「その通りでございます! ああ、旦那様は最高でございますぅ!」
「ワハハハハハハ!」
高虎さんは笑って《御剣乱雨》を手にした。
すると、高虎さんの身体を覆い、両腕に鋭利な刀剣が現われた!
思わず全員の口から声が漏れた。
「それは!」
「素晴らしいな。攻防一体の剣にもなるか」
あの岩が一瞬で変形し、そのような形になったのか。
瞬きする間も無い変化の速さだった。
恐らくは時間などではない、刹那のことなのだと理解した。
高虎さんが動くと身体を覆った《御剣乱雨》も柔軟に動く。
また強い波動が拡がる。
《御剣乱雨》が高虎さんと一緒に舞っている。
お二人が楽しそうに踊っていた。
「わたくしのランちゃんをそろそろお返しくださいー!」
麗星さんが叫び、高虎さんが笑いながら纏った《御剣乱雨》を戻し、麗星さんに返した。
「ランちゃーん」
麗星さんが抱いて可愛がっている。
「ランちゃんは私以外に応えたことがないのに、旦那様はズルイです!」
「ワハハハハハハハハハ!」
麗星さんが《御剣乱雨》を撫でると、短い触手のようなものを伸ばし、麗星さんの腕を撫でていた。
本当に仲良しだ。
「さて、じゃあ、一辺にやるかぁ!」
高虎さんが叫んだ。
演習場には大きな白木の祭壇があり、白い布が各段に敷かれている。
そこには既に一振りの剣が置かれていた。
白い象牙に螺鈿細工の施された、見事な鞘に収まっている。
既に美しく巨大な波動から、間違いなく神剣であることが分った。
それにしても見事な剣だ。
祭壇は3段になっている。
後からも他の神剣を乗せるためだろう。
それと、祭壇の前に置かれた大きな台座には立派な鎧兜が置かれている。
そこからも尋常でない波動が感じられた。
鎧は燻んだ青味がかった立派なものだった。
竹を一切使っていない、全身が鋼で出来ている重厚なものだ。
通常の鎧は軽量化のために多くの部分で竹を使用している。
全体を鉄で作ると、装着者は重みで動けなくなるためだ。
でも、この道間家の鎧は違った。
触らずとも、肉厚の鋼であることが見て取れた。
一体どれほどの重量になることか。
人の身では到底纏えないものだ。
兜も額に3尺もの太く長大な角があり、そこは更に鋼ではないもので出来ているものであることが外からも分かった。
それでいて、その鎧が何度か纏われたものであることも、私の感覚で分かった。
決して飾の威容ではなく、可動部に擦れた痕があるので、実際に使われていたものだ。
凄まじい方がいらしたものだ。
「流石に場所までは記されていなかったが、百家には神剣に関する書物があり、銘はそれで判明した」
高虎さんが説明を始めた。
祭壇に置かれていた神剣だ。
「最初は百家のものだ。銘は(皇猿王(すめらぎえんおう)》。猿田彦の使っていた剣とされている」
「猿田彦ですか?」
猿田彦とは、日本神話の国津神の一柱だ。
天孫降臨の折に、天の八衢(やちまた)で天孫族を出迎えた神だ。
偉丈夫で異形の神であり、後に天孫族の天宇受売命(アマノウヅメノミコト)と結ばれたとされているのは知っていた。
「ああ、『記紀』では明かされていないけどな。『宮下文書』などには軍事担当の長だったと記されている。まあ、たった独りで国津神を代表して天孫族と対面したわけだからな。さぞ戦闘力が高かったのは確かだろう」
「それが《皇猿王》……」
高虎さんがその剣を手にした。
私の「常世渡理」ほどではないが、180センチはある長大な剣だった。
何よりも厚みがあり、重量は相当なはずだ。
それを高虎さんは軽々と振るった。
高虎さんは《皇猿王》の本当の力を出そうとはしなかったが、大きな波動が拡がって行くのを感じた。
《皇猿王》が高虎さんに握られて喜んでいるのだ。
その気になれば、高虎さんは《皇猿王》の主にもなれるだろう。
虎白さんたちはため息をもらして眺めていた。
高虎さんが《皇猿王》を鞘に納め、祭壇に戻した。
その折に、優しく撫でていた。
カシャン
神剣が鞘の中で高虎さんに語り掛けたような気がした。
もっと自分を使って欲しいという意味のようだ。
高虎さんは微笑んで鞘を撫でた。
「じゃあ、麗星、頼む」
「かしこまりました」
他に神剣は無い。
麗星さんが立ち上がり、台座の鎧兜の前で何かを唱え始めた。
しばらくすると、鎧の結び目が外れ、中から何かが浮かび上がって来た。
鎧兜の中にあったのか!
麗星さんがそれを胸に抱いて言った。
「これが《御剣乱雨(みつるぎらんう)》です」
驚いた。
それは「剣」の形をしていなかった。
ただの青銀色の岩の塊に見える。
「わたくしも知らなかったのです。道間家では本家筋の子どもの寝所に、この鎧を飾っておく仕来りが御座いました。もしもこの鎧が崩れた場合には、その子どもが「道間皇王」となると代々言われてきました」
「崩れたよな」
「はい! 天狼が生まれた時、見事に鎧が分解されました! 旦那様もご覧になりましたよね!」
「ああ」
麗星さんが嬉しそうだった。
その時の興奮が甦っているのだろう。
「あの後で、鎧をまた組み上げようとしましたら、このランちゃんがいたのです!」
つまり、この神剣《御剣乱雨》が鎧兜を繋ぎ留めていたということか。
そして「道間皇王」が生まれると、その接続を外すと。
ならば、《御剣乱雨》という神剣は……
高虎さんが麗星さんから《御剣乱雨》を受け取った。
「ほう、面白いな」
「旦那様にはお分かりになりますか!」
「ああ。主の望む形になるか」
「その通りでございます! ああ、旦那様は最高でございますぅ!」
「ワハハハハハハ!」
高虎さんは笑って《御剣乱雨》を手にした。
すると、高虎さんの身体を覆い、両腕に鋭利な刀剣が現われた!
思わず全員の口から声が漏れた。
「それは!」
「素晴らしいな。攻防一体の剣にもなるか」
あの岩が一瞬で変形し、そのような形になったのか。
瞬きする間も無い変化の速さだった。
恐らくは時間などではない、刹那のことなのだと理解した。
高虎さんが動くと身体を覆った《御剣乱雨》も柔軟に動く。
また強い波動が拡がる。
《御剣乱雨》が高虎さんと一緒に舞っている。
お二人が楽しそうに踊っていた。
「わたくしのランちゃんをそろそろお返しくださいー!」
麗星さんが叫び、高虎さんが笑いながら纏った《御剣乱雨》を戻し、麗星さんに返した。
「ランちゃーん」
麗星さんが抱いて可愛がっている。
「ランちゃんは私以外に応えたことがないのに、旦那様はズルイです!」
「ワハハハハハハハハハ!」
麗星さんが《御剣乱雨》を撫でると、短い触手のようなものを伸ばし、麗星さんの腕を撫でていた。
本当に仲良しだ。
「さて、じゃあ、一辺にやるかぁ!」
高虎さんが叫んだ。
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