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07 罪深い
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「ノア……その、ごめんなさい」
唇と声が震えてしまった。私は彼の美しい緑色の瞳を、いつものように見る事は出来なかった。
だって、彼と彼を愛する人を引き離したのは、私かもしれない。
伯爵令息は公爵令嬢との縁談を断らない。断れるはずがない。そう思ったのは、私なのに。
ああ……なんて、罪深いことを。
「どうか、誤解しないでください。あれは、違います。シェリルが考えているような相手ではありません」
ノアはとても落ち着いた口調だ。けれど、彼は今まで私に『別の相手』が居ることを、気取らせなかった。
きっと、嘘をつくのが上手いのだ。それは、私にとって……良いことなのかもしれない。
少しでも長く、自分が見ていたいと望む幻想を信じることが出来るから。
「……ノア。私は何も見ていません。私たちは政略結婚をするのです。私はちゃんと黙っていられます。だから……」
黙っているから……黙っている。だから、ノアとの結婚相手は私だ。他の女性になんて、その席は奪わせない。
……ノアが私の夫であるならば、私は黙っていられる。
「いいえ。シェリルは誤解しています。あれは、僕の姉です……昨年、隣国に嫁いだのですが、結婚式に出席するために帰って来ていて……明日の結婚式で何か妙なことをしでかさないように、再度言い聞かせていたんです。もし、何かしたら縁を切るし、二度と会わないと」
「……え?」
そこで私はノアの目を見た。まっすぐな眼差しだ。私には何も隠していないと、言わんばかりに。
「実はあの姉と僕は、血が繋がっていないのです。彼女はウェイン伯爵家の実子ですが、僕は伯爵の弟の息子……両親が亡くなり、息子が居なかった伯父に引き取られたんです」
「まあ……そうだったの」
目を見開いた私は、そういえばノアには姉が居ると聞いていたけれど、これまでに全く会わなかったことを思い出した。異国に嫁がれたと聞いていたけれど、会う機会が合わなかったと思っていた。
ちらっと彼の肩の向こうを見れば、ノアと同じ黒髪で細い女性が、私の護衛騎士二人と共に居た。
あら……どうして? わからない。私の護衛騎士は、どうして彼女と一緒に居るの?
「姉は……従兄弟なら結婚出来るのだからと、僕と結婚すると言い出していて……僕は引き取られてからとても憂鬱でした。昨夜にも僕に結婚するなと言い出し、黙って列席するか国に帰るかという話になっていたんですが……シェリルがここに来てくれて、助かりました。僕を救う天使。いつも感謝しています」
ノアが安心するようにほっと息をついて、私の頭の中には疑問符で溢れていた。
唇と声が震えてしまった。私は彼の美しい緑色の瞳を、いつものように見る事は出来なかった。
だって、彼と彼を愛する人を引き離したのは、私かもしれない。
伯爵令息は公爵令嬢との縁談を断らない。断れるはずがない。そう思ったのは、私なのに。
ああ……なんて、罪深いことを。
「どうか、誤解しないでください。あれは、違います。シェリルが考えているような相手ではありません」
ノアはとても落ち着いた口調だ。けれど、彼は今まで私に『別の相手』が居ることを、気取らせなかった。
きっと、嘘をつくのが上手いのだ。それは、私にとって……良いことなのかもしれない。
少しでも長く、自分が見ていたいと望む幻想を信じることが出来るから。
「……ノア。私は何も見ていません。私たちは政略結婚をするのです。私はちゃんと黙っていられます。だから……」
黙っているから……黙っている。だから、ノアとの結婚相手は私だ。他の女性になんて、その席は奪わせない。
……ノアが私の夫であるならば、私は黙っていられる。
「いいえ。シェリルは誤解しています。あれは、僕の姉です……昨年、隣国に嫁いだのですが、結婚式に出席するために帰って来ていて……明日の結婚式で何か妙なことをしでかさないように、再度言い聞かせていたんです。もし、何かしたら縁を切るし、二度と会わないと」
「……え?」
そこで私はノアの目を見た。まっすぐな眼差しだ。私には何も隠していないと、言わんばかりに。
「実はあの姉と僕は、血が繋がっていないのです。彼女はウェイン伯爵家の実子ですが、僕は伯爵の弟の息子……両親が亡くなり、息子が居なかった伯父に引き取られたんです」
「まあ……そうだったの」
目を見開いた私は、そういえばノアには姉が居ると聞いていたけれど、これまでに全く会わなかったことを思い出した。異国に嫁がれたと聞いていたけれど、会う機会が合わなかったと思っていた。
ちらっと彼の肩の向こうを見れば、ノアと同じ黒髪で細い女性が、私の護衛騎士二人と共に居た。
あら……どうして? わからない。私の護衛騎士は、どうして彼女と一緒に居るの?
「姉は……従兄弟なら結婚出来るのだからと、僕と結婚すると言い出していて……僕は引き取られてからとても憂鬱でした。昨夜にも僕に結婚するなと言い出し、黙って列席するか国に帰るかという話になっていたんですが……シェリルがここに来てくれて、助かりました。僕を救う天使。いつも感謝しています」
ノアが安心するようにほっと息をついて、私の頭の中には疑問符で溢れていた。
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