9 / 9
09 政略結婚
しおりを挟む
「ああ……僕の天使。どうか誤解しないでください。僕が愛しているのはシェリルだけです。支配的な姉から解放してくれて、つい先ほども命を救ってくれました」
「あの、そうです……それは、本当に良かったわ」
ええ。良かった。私はノアを大好きで、姑息な手段でもと、彼と結婚することを望んでいたのだから。
驚くような真相を目の前に、動揺をしているけれど、愛するノアを窮地から救うことが出来て、それは良かったんだわ。
「政略結婚であることは、承知しています。僕を愛していないことも……ですが、僕はシェリルを愛しているんです」
「……嘘でしょう?」
私の唇からは、そんな言葉がこぼれ落ちていた。
「嘘ではありません! どうして、そんな誤解を?」
ノアは不可解そうにしていた。だって、私は……私、そうよ。
ノアは私のことを好きではないと思って、過ごしていたわ。彼と同じように。
「けど、私に触れなかったわ。こうして、抱きしめることも、これまでは……」
「……結婚前に、僕を嫌がられては困ると思って。すみません。僕は打算的でした。反省しています」
ノアは切なそうにそう言った。もしかして、これを言えば、私に嫌われると思っている……?
そんなわけはない。だって、私は……。
「いえ。だって、私だって打算的だったもの。私は貴方に一目惚れして、祖父に頼み込んだの。政略結婚と称して、ノアを手に入れたわ」
私がそう言えば彼は、目を大きく見開いた。
ああ……私たち、互いに誤解し合っていたのだわ。嘘でしょう。もう……そういうことなのよ。
お互いに打算的だと思いながら、実のところ、互いに惹かれ合っていたのだわ。夢みたい。
「僕を手に入れた……?」
「そうなの。私はお祖父様に、お願いしたのよ。ウェイン伯爵の後継ぎと結婚したいって……だから、この結婚は私が望んだことで、政略結婚ではないのよ」
真実を告げる私の声は震えていて、どんどん小さくなっていった。恥ずかしい。こんなさもしい手段で彼を手に入れることを、本人に告白することになるなんて。
けれど、いつかはしなければいけないことだった。もし、ノアを本当に愛しく思うのなら。
「いいえ。それは、僕が望んだことを叶えてくれただけです。あの時……僕は思ったんですよ。ルーシャン公爵家令嬢ならば、誰も文句は言わない。どうか、ロバートの妹が僕を望んでくれないか……と」
ノアは私のことをぎゅっと抱きしめてそう言い、私はよくわからないけれど目隠しをしたまま幸運な偶然を手にすることが出来たことに感謝し、彼の身体を同じように抱きしめた。
Fin
「あの、そうです……それは、本当に良かったわ」
ええ。良かった。私はノアを大好きで、姑息な手段でもと、彼と結婚することを望んでいたのだから。
驚くような真相を目の前に、動揺をしているけれど、愛するノアを窮地から救うことが出来て、それは良かったんだわ。
「政略結婚であることは、承知しています。僕を愛していないことも……ですが、僕はシェリルを愛しているんです」
「……嘘でしょう?」
私の唇からは、そんな言葉がこぼれ落ちていた。
「嘘ではありません! どうして、そんな誤解を?」
ノアは不可解そうにしていた。だって、私は……私、そうよ。
ノアは私のことを好きではないと思って、過ごしていたわ。彼と同じように。
「けど、私に触れなかったわ。こうして、抱きしめることも、これまでは……」
「……結婚前に、僕を嫌がられては困ると思って。すみません。僕は打算的でした。反省しています」
ノアは切なそうにそう言った。もしかして、これを言えば、私に嫌われると思っている……?
そんなわけはない。だって、私は……。
「いえ。だって、私だって打算的だったもの。私は貴方に一目惚れして、祖父に頼み込んだの。政略結婚と称して、ノアを手に入れたわ」
私がそう言えば彼は、目を大きく見開いた。
ああ……私たち、互いに誤解し合っていたのだわ。嘘でしょう。もう……そういうことなのよ。
お互いに打算的だと思いながら、実のところ、互いに惹かれ合っていたのだわ。夢みたい。
「僕を手に入れた……?」
「そうなの。私はお祖父様に、お願いしたのよ。ウェイン伯爵の後継ぎと結婚したいって……だから、この結婚は私が望んだことで、政略結婚ではないのよ」
真実を告げる私の声は震えていて、どんどん小さくなっていった。恥ずかしい。こんなさもしい手段で彼を手に入れることを、本人に告白することになるなんて。
けれど、いつかはしなければいけないことだった。もし、ノアを本当に愛しく思うのなら。
「いいえ。それは、僕が望んだことを叶えてくれただけです。あの時……僕は思ったんですよ。ルーシャン公爵家令嬢ならば、誰も文句は言わない。どうか、ロバートの妹が僕を望んでくれないか……と」
ノアは私のことをぎゅっと抱きしめてそう言い、私はよくわからないけれど目隠しをしたまま幸運な偶然を手にすることが出来たことに感謝し、彼の身体を同じように抱きしめた。
Fin
48
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
『話さない王妃と冷たい王 ―すれ違いの宮廷愛
柴田はつみ
恋愛
王国随一の名門に生まれたリディア王妃と、若き国王アレクシス。
二人は幼なじみで、三年前の政略結婚から穏やかな日々を過ごしてきた。
だが王の帰還は途絶え、宮廷に「王が隣国の姫と夜を共にした」との噂が流れる。
信じたいのに、確信に変わる光景を見てしまった夜。
王妃の孤独が始まり、沈黙の愛がゆっくりと崩れていく――。
誤解と嫉妬の果てに、愛を取り戻せるのか。
王宮を舞台に描く、切なく美しい愛の再生物語。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
報われない恋の行方〜いつかあなたは私だけを見てくれますか〜
矢野りと
恋愛
『少しだけ私に時間をくれないだろうか……』
彼はいつだって誠実な婚約者だった。
嘘はつかず私に自分の気持ちを打ち明け、学園にいる間だけ想い人のこともその目に映したいと告げた。
『想いを告げることはしない。ただ見ていたいんだ。どうか、許して欲しい』
『……分かりました、ロイド様』
私は彼に恋をしていた。だから、嫌われたくなくて……それを許した。
結婚後、彼は約束通りその瞳に私だけを映してくれ嬉しかった。彼は誠実な夫となり、私は幸せな妻になれた。
なのに、ある日――彼の瞳に映るのはまた二人になっていた……。
※この作品の設定は架空のものです。
※お話の内容があわないは時はそっと閉じてくださいませ。
近すぎて見えない
綾崎オトイ
恋愛
当たり前にあるものには気づけなくて、無くしてから気づく何か。
ずっと嫌だと思っていたはずなのに突き放されて初めてこの想いに気づくなんて。
わざと護衛にまとわりついていたお嬢様と、そんなお嬢様に毎日付き合わされてうんざりだと思っていた護衛の話。
不機嫌な侯爵様に、その献身は届かない
翠月 瑠々奈
恋愛
サルコベリア侯爵夫人は、夫の言動に違和感を覚え始める。
始めは夜会での振る舞いからだった。
それがさらに明らかになっていく。
機嫌が悪ければ、それを周りに隠さず察して動いてもらおうとし、愚痴を言ったら同調してもらおうとするのは、まるで子どものよう。
おまけに自分より格下だと思えば強気に出る。
そんな夫から、とある仕事を押し付けられたところ──?
身代わりーダイヤモンドのように
Rj
恋愛
恋人のライアンには想い人がいる。その想い人に似ているから私を恋人にした。身代わりは本物にはなれない。
恋人のミッシェルが身代わりではいられないと自分のもとを去っていった。彼女の心に好きという言葉がとどかない。
お互い好きあっていたが破れた恋の話。
一話完結でしたが二話を加え全三話になりました。(6/24変更)
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
完結 愛される自信を失ったのは私の罪
音爽(ネソウ)
恋愛
顔も知らないまま婚約した二人。貴族では当たり前の出会いだった。
それでも互いを尊重して歩み寄るのである。幸いにも両人とも一目で気に入ってしまう。
ところが「従妹」称する少女が現れて「私が婚約するはずだった返せ」と宣戦布告してきた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる