モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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14 体育の授業中①

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「澪、はやく~、先に行くよ?」

「ごめん、寧々ちゃん先に行っといて。すぐ追いかけるから」

 寧々ちゃんは私の言葉に頷くと、身を翻して走って行った。

今日の三、四時間目は隣のクラスとの合同授業だ。

私はその前の数学の板書に手間取っていてやっと着替えを開始するところ。

 もうクラスの女の子は着替え終わってて、先に出て行った。私と制汗剤の匂いと、黒板を消した後の独特の空気とか、なんでもない教室の中の風景。そんなものしか残っていない。

 残された私は急いで体操服に着替えて、ガラっと扉を開けて足早に体育館に行こうと走りかけたその時。

「有馬っ!」

 名前を呼ぶ声に私は驚いて、振り向いた。

「たかば、くん?」

 有馬くんは、男子が集まる隣の教室で着替えていたはずだ。

彼は体操服姿で、居心地悪そうに扉の前に立っていた。

蒸し暑くなりはじめた空気の中、そこだけ爽やかな空気を放っているようだった。顔が良いと、空気の清涼剤にもなってしまうらしい。

「有馬、昨日はごめん。あれはちゃんとした理由があって……」

「待ってた私じゃなくて夕凪さんと、帰っちゃったこと?」

 眼鏡の奥の真面目な視線に私は恥ずかしくなって、体操着の裾の生地を両手で掴んだ。

「そうなんだ。えっと今は……詳しくは言えないんだけど、俺の気持ちは……っ」

「鷹羽くーん」

 廊下の向こう側から、夕凪さんが微笑んで手招きをしてる。鷹羽くんは私にまだ何かを言いかけたけれど、諦めたように笑って、私に目配せすると彼女の方へ走って行った。

「……俺の気持ちは……何?」

 予鈴が鳴り響く中、私は彼の言った事を噛みしめるように口にした。
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