モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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15 体育の授業中②

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◇◆◇



「澪、遅かったね。何かあった?」

 走って来た私は、体育教師が点呼を取る前に出席番号順に列を作った皆の中に滑り込んだ。

寧々ちゃんは不思議そうな顔で、首を傾げている。

「うん、ちょっと……」

 私の押さえた声を遮るように先生の点呼の声が響く。

「じゃあ、今日はバスケットボールします。二試合終わったら後は自由にしなさい」

 女性の体育教師の筑波先生の一言にワッと皆が沸き立つ。自由にしなさいっていうのはそのままの意味でグラウンドでサッカーをやっている男子の応援をしても自由だよってことだ。

 いつもなら、体育館で寧々ちゃんとおしゃべりしているけれど、今日は。

「ねえねえ、試合終わったらせっかくだし行高見に行かない? サッカー部だし、いくらあいつでもサッカーで活躍出来ないとかないでしょ」

「寧々ちゃんが言うと虎井くんも形無しだね」

 あっけらかんと幼馴染の虎井くんをこき下ろす寧々ちゃんに私は苦笑した。

 やる気のないバスケットの試合が終わってキャーキャー言いながら積極的な女の子達はグラウンドに飛び出して行く。

「澪、行く?」

 タオルで顔を拭きながら寧々ちゃんは言った。

「うん、寧々ちゃん日に焼けたくないのに、付き合って貰ってごめんね」

「ううーん。行高も見せたいけど、鷹羽くんも謎だよね。……夕凪に何か脅されているとか?」

 ぐっと伸びをしながら寧々ちゃんは言った。試合の合間にさっき鷹羽くんに言われたことは報告済だ。

「そんな訳……あるのかなあ?」

 私は体育館を出ながら寧々ちゃんの顔を見た。じっと二人で見つめ合って、首を傾げ合う。

「わかんないよ~、じゃないとこの良くわからない事態の意味がわからなくない?」

「そうかなあ」

 私の前にサッカーボールがてんてんと転がってくる。

「悪い、取って」

 虎井くんがボールを追いかけてくる。私がボールを持って彼に投げ返した。器用に胸で受け止めるとつま先で何回かボールを弾ませた。

「ゆっきー、彼女が来たからって急に張り切るなよー!」

 ぎゃははという騒がしい笑い声を共に彼をからかう声が聞こえてくる。

「うるせー」

 日焼けした顔でも分かるくらい顔を赤くして虎井くんはボールを戻しながら言った。

「ゆっきーって呼ばれてるんだね」

「えっ、澪、引っ掛かるのそこ? 今言われた彼女って澪のことだよ?」

「え?」

「あいつ、多分自慢したくてしょうがなかったんだね。練習とは言え、はじめての彼女だって」

「でも、朝、事情は知ってるって言ってたよ?」

「事情を話した時、鷹羽くんのこと、不誠実だって怒ってたわね。もしかしたらそのまま自分の彼女にしたいんじゃない?」

「え?」

「ご愁傷様です、澪。でも、幼馴染の私から見ても顔は良いし、性格も悪くないよ?」

 その時長身の鷹羽くんがグラウンドの向こうで立ち尽くしているのを見て、なんだか胸が傷んだ。
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