モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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20 横入りの人①

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「お待たせ、有馬っ」

 その後、しばらくして、部活終わりに着替えた鷹羽くんが走って現れた。

 クラブ棟のシャワーを浴びたのか、彼からは清潔な石鹸の匂いがする。

 私を待たせていたから、慌てて来たのか髪の毛は濡れたまんまでしっとりしてる。

 つんつんしてたのは当たり前だけど、今はあっちこっち向いていない。整えていないそういう姿も魅力的で神様は不公平だと思った。

「ごめんね。少し、話したいなって思って」

「……俺も、話したかった。あ、あのっ、連絡先! 聞いて良い? なんで、あの時にすぐに聞かなかったのかって後悔してて、ずっと」

 スマホを出して来たので、私も取り出す。

 皆が使っている通信アプリで登録した。電話番号も、と言われたから、それは口頭で言って一度掛けてもらう。

 やけに嬉しそうな笑顔と、わざとらしくない小さいガッツポーズに頬が緩んだ。

 立ち話もなんだから、と歩き出すことにしたけど、鷹羽くんはゆっくり私に歩幅を合わせて歩いてくれる。

 長い足がじれったいくらいゆっくりと歩を進める。

 聞かなきゃ……聞かなきゃと思う気持ちと、頭の中が整理出来ない。

「あの、あのね。鷹羽君」

 正門の前まで来て、私はここで絶対に話を切り出そうと思った。

 出身中学の関係で鷹羽くんの帰る方向は、自分と反対方向だということを知っているからだ。

「うん? あ、有馬、家ってこっちだろ? 送ってくよ」

 部活帰りに疲れているというのに、私の帰る方向に進もうとする鷹羽くんを呼び止める。

「え? 悪いよ。少しだけ話せたら良いなって思ってただけだから」

「暗くなっているし、そんな訳にはいかないよ。お願いだから送らせて」

「……でも」

「……澪!」

 はあはあ、と息を切らせて走って来たのは行高だ。長めの黒髪を乱して、大きなスポーツバッグを肩から下げている。

「え! 行高、どうしたの」

「……え?」

 私が驚いて彼の名前を呼べば、鷹羽くんは凄く驚いたようで口を開けた。

「どうしたのって……どうして、こんな時間に学校に?」

「私、鷹羽くんのこと待ってて」

「は? そいつ、告白した癖に他の女とつるんでいる奴だろ? なんで?」
 
 明け透けに話し始めた行高に、私は何を言い出すのかと慌てた。

 その理由をこれから聞こうと思っていたのに!

 そっと隣に居る鷹羽くんの様子を見ると、彼は固まっているかのように動かない。
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