モブの私が理想語ったら主役級な彼が翌日その通りにイメチェンしてきた話……する?

待鳥園子

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35 ピンチの状況②

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「今までサボったことないし、顧問も疑ったりしない。心配しなくても大丈夫だよ。有馬が着いて来ているとはぜんぜん思ってなかった。力になれるってなんで?」

「うーん。短絡的な考えかもしれないんだけど、夕凪さんにも、何か弱味があったらって思っちゃって」

 鷹羽くんは私の言葉を聞き、ふふっと面白そうに笑って言った。

「それで、夕凪に弱味が見つかったらどうする?」

「うん……それで写真とか消してもらえたらなって、そうすれば、鷹羽くんも解放されるし」

 最後の方は、もごもごと口の中で言った。なんだか恥ずかしかったし、熱くなってきた顔を隠すようにカフェオレを飲む。

「危険なことは、して欲しくないな」

 私がしたことを非難するでもなく、お願いするように言ったので、罪悪感はより高まった。せめて、当人の彼に相談するべきだったかもしれないと思って。

「……ごめんね。夕凪さんの交友関係だけでも、掴めたらと思って」

「謝らなくても良いけど、ゲームセンターなんかに女の子一人で来たら危ないよ」

「うん……まさか二人が、プリクラ撮りに行くと思わなくて……」

「そのくらいだったら良いんだけどね……脅した人間ってどんどん要求が上がっていくらしいから、それまでにはなんとかしないといけないな……県大会が迫っているから俺が何も言えないって夕凪もわかっているだろうし」

 鷹羽くんは何か考えるようにして、頬杖をついた。こんな時におかしな話かもしれないけど、物憂げな様子もすごく絵になる。

「……プリクラ撮ったの? 良かったら、見せて」

「あ、ごめん。俺は要らないから、全部夕凪さんに渡して来た。見たかった?」

 それもそうだ。鷹羽くんは夕凪さんとプリクラ撮りたかった訳でもないもんね。

「うーん……見たかったような、見たくないような」

 複雑な思いを抱いた私は首を傾げた。そんな様子を目を細めて鷹羽くんは笑った。

 そんな顔をされてしまうと、こっちはどんな顔して良いかわからなくなるよ。

「……良かったら、これから撮りに行く?」

「え?」

「有馬と撮りたい……あ、でも時間がないなら、今度でも良いよ」

 鷹羽くんは腕時計を見ながら言った。けど、さっき怖い思いをした場所に帰る気になれなくて、首を振った。

「うん。けど、さっきの不良たちまだ居るかもしれない。今度にしよ?」

 そういうとにっこり微笑んでくれた。鷹羽くんの爽やかな笑顔はなんだか不思議。浄化作用っていうのかな、周囲の何もかもを綺麗にしてしまう魔法でもかかっているみたい。

「約束」

「……うん、約束」

 私は笑って頷いた。

「なんだか、嬉しいな」

「何が?」

「こうやって未来の約束出来る関係になりたかった。だから、嬉しい」

 しみじみと口にした鷹羽くんは残っていたアイスコーヒーを一気にあおった。

「……大袈裟」

 私の呟いた言葉はまたにこっとした笑顔の効果か、空気中に綺麗に消えてしまった。
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