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33 連絡
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今ではもう、王妃様がベルセフォネ様を婚約者にと推薦し、デビュタントを済ませていないとしても彼女の年齢は足りている訳だから、何の問題もなく内定した婚約者として受け入れられているだろう。
ギャレット様は私との婚約に関しても、何も言わずに受け入れたと聞く。
生まれながらの王族である彼にしてみたら、両親がこうしろと言われればそうするだろうから。だから、彼にとってみれば私もベルセフォネ様も、同じなのだと思う。
新しく婚約者となったベルセフォネ様にも私にしたように、優しく接するだろうし、彼の好意を隠さず伝えてくれるだろう。
全部全部、納得していたはずだった。一年間だけ彼の婚約者を演じ、そして時が満ちれば辞退する。
ギャレット様が予想外にも私を気に入ってくれたことは唯一の誤算だったけど、私は……やっぱり、何ひとつ納得出来ていないのかもしれない。
だって、お母様が亡くならずお父様がしっかりしてくれて居れば、私は普通の令嬢のように夜会に出て求婚者を募り、それで何の問題もなく結婚していたはずだもの。
せめて弟のクインが既に成人していれば、酒浸りのお父様を当主にしたままの不安定な状況を打破し、融資してくれる良心的な貴族だって居たはずだ。
いいえ。私自身に何か、大金を稼ぐ能力があるのならば……何も悪くない、婚約者となった令嬢を気に入ってくれただけのギャレット様を傷つけずに済んだ。
もう、わからなくなってしまった。
自分と家族が今後の何不自由のない生活をするだけではまだ足りないくらいに、彼から向けられる愛の中は心地よかったせいだ。
どうしようもない事情を抱えた、家族のせいにすれば満足なのだろうか。自分が不幸だと嘆き悲しんでも、もう状況は変わらないのに。
「……姉上」
弟クインの遠慮がちな声が聞こえて、私は頭から被っていた上掛けを外した。
「え……クイン? どうして、ここに居るの?」
クインは私を見て悲しそうな表情をした後、言いづらそうに口にした。
「そんなに泣いて……姉上。それは、こっちの台詞だよ。ベッドフォードから僕に連絡があったんだ。いきなり様子がおかしくなって、笑わなくなったと思ったら、ここ二日ほど一日中泣いていて、とても見ていられないんだと」
クインの言っている言葉が理解出来なくて、私はぼんやりとした頭で考えた。何度か用を足した記憶はあるけれど、それ以外は確かにベッドに丸まって泣いていた。
けれど、自分ではそんなにも長い時間は経っていると思えなかった。
強い感情を感じたあの夜の中にまだ居て、ただ少しだけ……自分は泣いているだけなんだと。
「……ごめんなさい。心配して来てくれたのね。クイン」
泣き過ぎて痛む頭を片手で触った私は幼いクインに心配をかけてしまったのかと謝れば、クインは苛立った声で言った。
「姉上。僕は何度も、言ったはずだよ。姉上と僕で、あの侯爵家を出ようと……姉上は姉のことを犠牲にして、自分だけは幸せになれと言われた弟の気持ちがわかる?」
ギャレット様は私との婚約に関しても、何も言わずに受け入れたと聞く。
生まれながらの王族である彼にしてみたら、両親がこうしろと言われればそうするだろうから。だから、彼にとってみれば私もベルセフォネ様も、同じなのだと思う。
新しく婚約者となったベルセフォネ様にも私にしたように、優しく接するだろうし、彼の好意を隠さず伝えてくれるだろう。
全部全部、納得していたはずだった。一年間だけ彼の婚約者を演じ、そして時が満ちれば辞退する。
ギャレット様が予想外にも私を気に入ってくれたことは唯一の誤算だったけど、私は……やっぱり、何ひとつ納得出来ていないのかもしれない。
だって、お母様が亡くならずお父様がしっかりしてくれて居れば、私は普通の令嬢のように夜会に出て求婚者を募り、それで何の問題もなく結婚していたはずだもの。
せめて弟のクインが既に成人していれば、酒浸りのお父様を当主にしたままの不安定な状況を打破し、融資してくれる良心的な貴族だって居たはずだ。
いいえ。私自身に何か、大金を稼ぐ能力があるのならば……何も悪くない、婚約者となった令嬢を気に入ってくれただけのギャレット様を傷つけずに済んだ。
もう、わからなくなってしまった。
自分と家族が今後の何不自由のない生活をするだけではまだ足りないくらいに、彼から向けられる愛の中は心地よかったせいだ。
どうしようもない事情を抱えた、家族のせいにすれば満足なのだろうか。自分が不幸だと嘆き悲しんでも、もう状況は変わらないのに。
「……姉上」
弟クインの遠慮がちな声が聞こえて、私は頭から被っていた上掛けを外した。
「え……クイン? どうして、ここに居るの?」
クインは私を見て悲しそうな表情をした後、言いづらそうに口にした。
「そんなに泣いて……姉上。それは、こっちの台詞だよ。ベッドフォードから僕に連絡があったんだ。いきなり様子がおかしくなって、笑わなくなったと思ったら、ここ二日ほど一日中泣いていて、とても見ていられないんだと」
クインの言っている言葉が理解出来なくて、私はぼんやりとした頭で考えた。何度か用を足した記憶はあるけれど、それ以外は確かにベッドに丸まって泣いていた。
けれど、自分ではそんなにも長い時間は経っていると思えなかった。
強い感情を感じたあの夜の中にまだ居て、ただ少しだけ……自分は泣いているだけなんだと。
「……ごめんなさい。心配して来てくれたのね。クイン」
泣き過ぎて痛む頭を片手で触った私は幼いクインに心配をかけてしまったのかと謝れば、クインは苛立った声で言った。
「姉上。僕は何度も、言ったはずだよ。姉上と僕で、あの侯爵家を出ようと……姉上は姉のことを犠牲にして、自分だけは幸せになれと言われた弟の気持ちがわかる?」
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