"番様"認定された私の複雑な宮ライフについて。

airria

文字の大きさ
11 / 17

問題発生② 想定外の事態のようです

しおりを挟む
再び困惑した様子で私以外の3人が顔を寄せ合っている。

「おい、本当に嫌がってるじゃないか!番契約を終えてるのにどういうことだ?」

「陛下、これは由々しき事態ですぞ!」

「カナ様、私からひとついいでしょうか?」

美人の女官、瑛仙さんが口を開いた。

「カナ様は、先ほどまでずっと黎明様に抱き上げられていましたが・・お嫌ではなかったですか?」

その質問にキョトンとしてしまった。
嫌?何で?

「好意を感じている相手でなければ、普通あれほど密着されれば嫌悪感が出るのではないかと。いかがでした?」

・・嫌悪感?

んー、と考えて首を振った。

動きや視界を邪魔されて、煩わしくはあったけれど、嫌だとは思わなかった。

「それはなかった、かな。」

でも確かに、神獣とはいえ、会ったばかりなのに、あれだけベタベタされて嫌悪感が芽生えないのは不思議だ。

阿王の顔が期待に輝く。

「嫌がってない、ということはつまり‥神獣に好意を持っていると!そういうことか?」

「いえ、好意は好意なのかもしれませんが…」

瑛仙さんは言いにくそうに言葉を切った。

「どちらかというと‥カナ様は恐らく、神獣様のことを、飼い猫や飼い犬のように認識されているのではないでしょうか?」

・・あ、確かに!

「そうそう!ペットだ!動物にじゃれつかれてる感じ!」

すごくしっくり来た!

阿王が天を仰ぐ。

「・・!だからさっき、飼い猫みたいな名を付けようとしてたのか!」





「飼い猫認識はわかったとして、だ。なんで番契約を結んだのに、その認識のままなんだ?そういうのも含めて諸々、番契約で解決するはずだろう?」

なんか聞き捨てならないことが聞こえなかった?

訝しむ私の向かいで、宰相が青い顔をして頷く。

「ええ、ええ、そのはずです!神獣を怖がったり、番となることに消極的な女人でも、番契約さえ結べば、その後は喜んで番となり、神獣様から片時も離れなくなる!と、聞いていたのですが・・」

「・・なにそれ怖っ」

それって、契約したら何かの力が働いて、神獣に好意を持つってことでは?

「番契約の時に、何か不備があったんじゃないか?」

「名の交換さえ済めば、それで契約は完了すると学者からは聞いておりましたが・・もしや!対面したその場で名の交換をしなかったのがまずかったとか?」

「いやでも猿轡をすぐに取らなかったのは神獣あちら側だろう?」

深刻そうにコソコソ話し出した阿王と宰相に私も参戦する。

「で、でもさ!雨は降ったわけだし、黎明にお願いしたかった事は叶ったんでしょう?だったら私も番にならずにこのままお払い箱でいいんじゃ・・ってわけにはいかないですよね。はいすみません。」

2人からの非難めいた視線に加えて、背後の壇上からものすごい圧を感じて、発言を速やかに撤回した。

うーん、やっぱり黎明、聞き耳立ててるな。

「別の世界から来た番様、という事ももしかして影響してるのでは?」

「確かにこいつはこれまでの番像とはかけ離れてるからな。番契約の効果が効きにくいのかもしれん」

「ここで話しても埒があきませんわ。まずは学者様を呼んで確認した方が・・」

ハァー、と阿王がため息をつく。

「よし、急ぎ学者に聞いてみるとして、だ。ひとまず・・お前、今日は宮へ行け。」

「はぁー!?他人事だと思って・・!」

「いやだってもうこれ以上ここで話すの無理だろ。コッチはさっきから、お前と話す度にすごい睨まれてるんだよ。もう”待て”は無理だぞ、あれ」

確かに、さっきからタシン!タシン!と黎明が尻尾で床を叩く音が響いている。

「とりあえず宮に行け。お前が本当に嫌がるなら、神獣だって手は出せないはずだ。瑛仙も付いていく。」

瑛仙さんが深く頷く。

「で、でも・・」

「ここで宮に行くのを拒否したら、まず間違いなく洞穴に連れてかれるぞ。それに、このまま神獣の意向を無視したら俺たちは元より、いくらお前が番でも無事に済むとは思えん。」

「そうですぞ番様!唯一無二のあなた様から番になることを拒まれた神獣様が、次どんな行動に出るか・・あれほどの力をお持ちなだけに、計り知れませぬ!」

「今日はここで解散して、明日また考える。いいな?」

私が頷く前に、阿王が「黎明様!終わりました!」と声を上げた。

「カナ!」

あっという間に黎明に抱きこまれて、床から足が遠ざかっていく。

尻尾が私の足に巻き付くのはデフォルトらしい。

最初は怖かったはずなのに、こうされて安心するようになっている。
これは番契約の効果なんだろうか。

「カナ、共に我が宮に行ってくれるか」

綺麗な紫眼に懇願するように見つめられて、私は仕方なく頷いた。












しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *不定期連載です。

「ひきこもり王子」に再嫁したら「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と言われましたので、素直に従うことにしました

ぽんた
恋愛
「おれがおまえの姉ディアーヌといい仲だということは知っているよな?ディアーヌの離縁の決着がついた。だからやっと、彼女を妻に迎えられる。というわけで、おまえはもう用済みだ。そうだな。どうせだから、異母弟のところに行くといい。もともと、あいつはディアーヌと結婚するはずだったんだ。妹のおまえでもかまわないだろう」 この日、リン・オリヴィエは夫であるバロワン王国の第一王子マリユス・ノディエに告げられた。 選択肢のないリンは、「ひきこもり王子」と名高いクロード・ノディエのいる辺境の地へ向かう。 そこで彼女が会ったのは、噂の「ひきこもり王子」とはまったく違う気性が荒く傲慢な将軍だった。 クロードは、幼少の頃から自分や弟を守る為に「ひきこもり王子」を演じていたのである。その彼は、以前リンの姉ディアーヌに手痛い目にあったことがあった。その為、人間不信、とくに女性を敵視している。彼は、ディアーヌの妹であるリンを憎み、侍女扱いする。 しかし、あることがきっかけで二人の距離が急激に狭まる。が、それも束の間、王都が隣国のスパイの工作により、壊滅状態になっているいう報が入る。しかも、そのスパイの正体は、リンの知る人だった。 ※全三十九話。ハッピーエンドっぽく完結します。ゆるゆる設定です。ご容赦ください。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

嫌われ公女に転生したけど、愛されたい願望を捨てたら全員がデレてきた

桃瀬さら
恋愛
嫌われ公女ナディアは、婚約破棄され学園で孤立し、家族からも見放されていた。 どれほど努力しようが周囲からは「嫌われ公女」と蔑まれ、誰も味方なんていない。 「もういい。愛されたいなんて、くだらない」 そう心に誓った瞬間から、状況が一変した。 第二王子が婚約破棄を撤回し跪き、寡黙な騎士団長が「君を守りたい」と熱く迫ってくる。 そして、冷ややかな兄まで「婚約など認めない。家を出ることは許さない」と……。 愛されることを諦めた途端、なぜか執着される。

『あなたを捨てたのは、私です』 〜冷酷公爵を追い出した元恋人ですが、隠し子ごと溺愛されています〜

ria_alphapolis
恋愛
「あなたを捨てたのは、私です」 そう告げて、公爵である彼を追い出した日から数年。 私は一人で、彼との子どもを育てていた。 愛していた。 だからこそ、彼の未来とこの子を守るために、 “嫌われ役”になることを選んだ――その真実を、彼は知らない。 再会した彼は、冷酷公爵と噂されるほど別人のようだった。 けれど、私と子どもを見るその瞳だけは、昔と変わらない。 「今度こそ、離さない」 父親だと気づいた瞬間から始まる、後悔と執着。 拒み続ける私と、手放す気のない彼。 そして、何も知らないはずの子どもが抱える“秘密”。 これは、 愛していたからこそ別れを選んだ女と、 捨てられたと思い続けてきた男が、 “家族になるまで”の物語。

処理中です...