"番様"認定された私の複雑な宮ライフについて。

airria

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隠し事がありすぎる。

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黎明の了解を得られたおかげで、その後はだいぶスムーズに物事が進んだ。

神獣と番が結婚式を挙げるのは初めてのようだったけれど、宰相が「どうせなら国事にしましょうぞ!」と提案し、立会人も阿王が務めることに決まった。

挙式の準備のために、離宮には女性に限り商人や女官の出入りが許可されたし、「花嫁修業期間中に番様にはもっとこの国について学んで頂きたい」との藝實の主張により、女性学者も派遣されることになった。

ただ、「結婚するまで自由に過ごしたい」という私のお願いだけは、黎明がどうしても是としなかった。

式の前までに、黎明と番にならなくて済む方法を調べないといけないのに、外部とのやりとりを制限されてはその道も絶たれてしまう。

私は必死に食い下がって、結婚前の間だけは、国の実情を学ぶために簾越しに相手と会話してもよい、と譲歩を引き出した。





謁見が終わり、再び黎明に抱き上げられて自室に向かう。

何か色々疲れて、グッタリしてしまう。

私は中庭をひらひらと舞う赤い蝶に気を取られて、黎明がいつの間にか歩みを止めていたのに気づいていなかった。

「フジノ、カナ」

呼ばれて見上げると、黎明が私を探るようにじっと見ていた。

「何?‥わっ!」

抱え直されて、今度は黎明と同じ目線の高さで相対する。

黎明が私の目をまっすぐに見つめながら、再び「フジノ、カナ」と口にする。

「だから…何?」

まるで反応を窺うように見つめられて、何だか居心地が悪い。

数秒そうしてから、黎明は「おかしいな・・」と言って首を傾げた。

「カナ、私に隠していることはない?」

「隠してることって・・?」

番回避しようとしてることとか、結婚式準備で時間稼ぎしようとしていることとか、思い当たることがありすぎる。

平常心、平常心、と心の中で唱えていると、黎明が「例えば‥」と口を開いた。

「例えば、カナの名前のこととか。」

黎明の探るような目に、すぐに反応を返せなかった。

早鐘のような鼓動に気づかれないように、口角を持ち上げて笑みを作る。

「ないよ・・隠すなんて」

ふうん?と笑みを浮かべて、黎明が私の首筋に顔を埋めた。

くすぐったくて、ゾクゾクして身を捩る。

「黎明‥くすぐった‥ちょっと」

スンスンと匂いを嗅いで満足したのか、黎明がようやく顔を離す。

「ところでカナ。カナがこの国について学ぶように、我にもカナの国のことを教えてくれる?」

「え‥黎明、知りたいの?」

「もちろん、カナに関することなら全部知りたい。カナが生まれてから今まであったこと、全て。家族のこと、好物や嫌いなもの、こどもの頃のこと、病気やケガのこと‥ああ、でもまずはカナの国の言葉を知りたいかな。我の名の字は遵景が書いて寄越してくれたが、カナの字も知りたい」

「まぁ、いいけど‥でも私も難しいことは教えられないよ?」

「カナが教えてくれるなら何でも嬉しい!ありがとうカナ!」と黎明はこっちがビックリするくらい喜んでいる。

うーん、五十音表でも作って渡せばいいかな?

黎明は私の作った五十音表を大層喜んで、あっという間に五十音の読みと発音をマスターしたのだった。
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