異世界でカイゼン

soue kitakaze

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第311話 ユウとは何者?

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「お主らのせいで、魔王会議編の第1回がキャラ紹介さえも終わってないやん」
「それは遅刻するやつが悪いヨ」
「そんなこと言われても、我は浮いているノだ、ふっわふわふわんふわん」

「えぇい、うっとうしい! 会議中にふわふわ浮くな!」
「まだ始まってないノだふわふわ」

「まったくけしからん!! ヤマトは近いくせになにをやっているのだ!」
「我らが集まるのに、距離はあんまり関係ないゾヨ」
「イセはどうしてそんなカリカリしているのだヨ。それは八つ当たりというのだヨ」

「まあまあイセ。そんなにイライラせんでも」
「これでも食べてゆっくりするヨ。ほれ」

「なんだ、これは? 焦げたかんなくずみたいだな」
「ポテチというのだヨ。まあ、食べてみるヨ」
「食べ物なのか、ふむ。そういうのなら食うけどぽり……おおっ? ぽり。ぽりぽりぽりぽりぽり」

「な? やみつきになる味であろうヨ?」
「ぽりぽりぽりぽり」
「黙々と食べとるゾヨ。ぱりぱりぽりぽり」
「お主もなー ぽりりぽりり」

「会場中がポリポリになってて草やん。じゃ、我もっと。ぽりぽり……おおっ? なんだこれは? うまいやん、おい、オウミ。これ、どこで買った? 俺もその場所を教えてくれやん?」
「ぽりぽり。これはシキ研の新商品なノだ。いまはそんなに在庫がないノだ。今年の秋まで待つノだ」

「秋まで?」
「ノだ。夏ごろに収穫するから、それから大量生産する予定なノだ」
「こんなお菓子食べたことないやん。カンサイでもヤマトでもこれは売れるぞ。ヤマトがこれを食べたら喜ぶやん」

「ヤマトは食うものには目がないからな。間違いなく飛びつくだろうぽりぽり、いやぁ、うまい」
「これもユウの発明品だヨ。仕入れたければユウに話を通す必要があるヨ」
「こ、これも。そのユウってやつが?!」

「ポテチは稀少だが、こちらの爆裂コーンは在庫があるゾヨ。食べてみるゾヨ」

「いろいろ作っているやつだな、もう。はふん。おっ、これもなかなか塩味が効いてて少し甘くて斬新な歯ごたえがあって美味だな。あぁこれも食べ始めると止まらないやんぱくぱくぱく。ほれ、イセも食べてみろ」

「俺はさっきのポテチのほうが良いのだが。ぱくっ……おぉ? ぱくぱくぱくぱくむしゃむしゃぱく」
「な? うまいやん?」
「ま、まさかとは思うが、これもか?」

「その通りヨ。ユウの発明品ヨ」
「お前らがユウって人間の眷属になった理由が、ちょっとだけ分かった。あの刀といいこのお菓子といい、たいしたものだな」

「イセの態度が豹変したノだ」
「イセはそういうやつやん。認めるところはきちんと認めるやん。そうでなきゃ、いつまでも魔王として君臨できんやん」

「爆裂コーンといったか? これはたくさんあるのか?」
「売るほどあるヨ」
「俺に売ってくれないか?」
「ユウに相談してみるヨ。回答はそれからヨ」

「あの、ここは商談の場ではないやん?」
「そうだった。すまん。ちょっと俺の領地はなにかと物入りで」

「不況なノだ? ふわんふわん」
「不況というより、実は熊野の連中と揉めていて、その戦費が嵩んでいるのだ。これを兵士に支給できないものかと思ってな」

「またあそこと揉めているのかヨ」
「ああ、なにかと好戦的なやつらでな。話がちっとも通じんので困っている」
「戦闘好きにも困ったものだゾヨ、ぽりりぽり」

「イズナがそれを言うかヨ!」
「ぽり?」
「お主がミノ国に責めてきたのは去年だぞヨ!」

「ああ、そんなこともあったゾヨ。あれはすまんかったゾヨ」
「すまんかったで、済ませるなヨ」
「そもそもお主が行方不明になるからゾヨ」
「だからって戦争を起こすことはないだろヨ!」

「その話は聞いてるやん。イズナはボロ負けしたそうやん?」
「ぐっ。ワシは負けてないゾヨ。負けたのはエチ国の軍隊ゾヨ。それに、あれはいつものレクリエーションゾヨ」

「レクリエーションで戦争するな! 俺のとこはマジなんだぞ」
「熊野はそんなに強いノだ? ふわふわ」
「ああ、強い。特にヤタガラスがな」

「「「「あーあ、そうか。あいつらは熊野についたのか」」」」

「そういうことだ。いままでどちらにもつかない中立の立場だったはずだが、今年になって急にあちらについてしまった。どうやって懐柔したものやら。おかげで苦戦の連続だ。田植えが済んだら、きっとまた攻めてくるだろうな」

「カンサイから食糧支援ぐらいはするが、我は軍は持っていないからなぁ」
「食料だけでも感謝しているよ。しかも割安で卸してもらっている。それだけでも助かるよ」

「戦争の理由はなんなノだ? ふわふわ」
「はっきりはしないが、俺がアマテラスを追い出したからだと思われる」
「あーあ、そういえば、アマテラスはオオクニのところにいたヨ」

「ミノウはアマテラスに会ったのか。あちらでも邪魔者扱いされていただろう?」
「ユウと一緒にイズモに行ったときに会ったノだ。なんでも二重人格で、しかもどちらの人格が出てきてもはた迷惑な性格だとか言っていたヨ」

「ほんと、その通りだ。同じ話を何度も繰り返す、酔うと見境なく絡む、声がでかい、すぐ裸になる、やたらと意味のない命令をしたがる、そのくせ都合が悪くなるとスリッパの下に隠れようとする」

「それ、頭も尻もまるで隠れてないノだふわふわ」
「オウミ、そこから降りて話さないか?」
「我はここがいいノだふわふわ」
「……まあ、いいか。だから面倒になって追い出したんだ。あれ? そのユウってやつは、どうしてイズモに行ったんだ?」

「言い忘れてたけど、ユウはイズモ太守になっているノだ」
「「はぁぁ!?」」

「だ、ダメだ。ユウってやつのイメージが全然固まらない。どんなスーパーマンだよ」
「人間ゾヨ?」
「分かってるよ! そっちの意味じゃねぇ!」

「あまりお主らを驚かしたくはないけど、一応言っておくヨ」
「もう、なんでも言ってくれ」

「イズモ公はもともとオオクニだったヨ。だけど、仕事を怠けていたので経済ががたがたになっていた。それでアメノミナカヌシノミコトがユウにイズモをまかせたヨ。その結果、オオクニはいまやユウの部下になっているヨ」

「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」」

「おかげでイズモは息を吹き返して、良い好素が吸える領地になってきたヨ。鉄とソロバンの生産がどんどん増えているヨ」

「あああ!! それでか! 最近、安くて品質の良いイズモソロバンがカンサイに入って来ているやん。おかげでハリマソロバンのシェアが下がっていると、業者に泣きつかれたやん」

「良いことではないかヨ。それが自由競争というものヨ。安くて良いものが手に入れば、民は喜ぶであろうヨ」
「その通りだ。だが、それがユウってやつの差し金だというのなら、放置しておくわけにはいかんやん。ミノウ、一度そのユウに会わせてくれやんか」
「ああいいヨ。この会議が終わったらミノに遊びに来るのだヨ」

「そのオオクニが部下になったことについてくわしく」
「くわしくもなにも、そのままなノだ?」

「それじゃ、オオクニはいまはニホンの首長ではないのか?! そのユウが取って代わったのか!?」
「代わってないノだ?」

 あららら。どどどど。と、コケる音。

「違うのか。しかし、時間の問題であろう?」
「ん? どうしてノだ? オオクニもユウも、そんなつもりはまったくないノだ?」

「オオクニはこの国に首長だぞ!! それを部下にしたってことは」
「ああ、そういうことか。それはオオクニを鍛えるために一時的にそういう形をとったというだけだヨ。イズモ公もいずれ返還するってユウは言ってたヨ」

「そんなこと、信じられるか? 普通なら一度とった権力を手放すことなんかあり得ないだろ」
「ユウに限ってはあり得るノだ」
「それはオウミが騙されているだけだろ」

「我もそう思うヨ?」
「み、ミノウも騙されているんだ、きっと!」

「我もそう思っているゾヨ。ユウは権力者になりたいタイプではないゾヨ」
「イズナまでもか……うぅむ」

「俺もイズナたちの意見に賛成だぞ」
「は? あ、お前は?!」

「遅くなってすまん。カンキチだ。このところ多忙でな。この季節はハチミツの収穫や小麦やトウモロコシの作付けなど、やることがいっぱいあるんだ。ほら、アカシヤハチミツのお土産だ。6瓶あるから、みんなで1瓶ずつ分けてくれ」

「これはありがとう。クラーク……じゃなくなったそうやん。カンキチか。お前もユウという人間の?」

「ああ、俺も眷属だ。しかし今回の魔王会議は、ユウで話題沸騰のようだな。それも当然だろう。やつのおかげでホッカイ国は今年、餓死者をひとりも出さずに冬を越すことができた。俺が魔王になってから初の快挙だ」

「「あの酷寒のホッカイ国で、冬の餓死者が0だと?」」

「それは良かったノだ。カンキチも魔王らしくなってきたノだ」
「オウミにもいろいろ支援をしてもらったな。感謝するよ。もちろん、ミノウにもイズナもだ」
「「おうよノだゾヨ」」

「なんだか、お前らは助け合っているような感じを受けるやん?」
「そういえばそうだな。とはいっても」
「ノだ。我らはユウの指示で動いただけなノだ」
「災害のときには力を合わせるということが、どれだけ重要か思い知ったヨ。これもユウのおかげヨ」

「「ユウってのはいったい何者なんだ?!」」

 魔王同士は対立することはあっても、支援しあうなんてことはかつてなかったことである。

 マイドがイセに食糧支援をするのは、それが商売だからである。割安ではあっても、決して損はしない価格で販売しているのだ。

 しかし、オウミ、ミノウ、イズナ、カンキチの4魔王は、助け合っていると言う。そこに金銭のやりとりはない。

 ということは、ユウがその気になりさえすれば、魔王4人を使ってこの国を乗っ取れるということではないか。しかもオオクニさえも部下にしているのなら、間違いなく戦力ではニホン一であろう。

 イセの心配も杞憂ではない。これは早急にユウという人間に会って、その人間の本質を確かめねばなるまいな。

 と、マイドはキャラ付けも忘れてそう思った。

 あっ!? しまったやん!?

 遅せぇよ。
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