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第55話 内緒なノだ
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「このけちんぼ。どうしてダメなノだ。作らせるノだ。誰も困らないノだ。魔刀を作ったらハルミが喜ぶノだ。そうするとミヨシが喜ぶノだ」
「ハルミをダシにしてんのか、ミヨシをダシにしてんのか、どっちだよ。ダメだっての」
「どうしてなノだ。よいではないか、よいではないか」
「お前はどこかの悪徳代官か。ダメなものはダメだ」
「じゃあ、1本だけ。ね?」
「ね? じゃねぇ!! 魔王がシナを作るな。ダメなんだよ。今度のニホン刀は売り物なんだぞ」
「売ればいいではないか。我ならいくらでも作ってやるぞ?」
「魔剣をぽいぽい世に中に出すんじゃねぇよ! ああいうのは世界に数本しかないから希少価値なんだろうが」
「じゃあ、1本だけ、ね?」
一回りしてそこに戻るんか。
「しかし、いつになくしつこいじゃないかオウミ。なにかあったのか?」
「うっ」
「あったんだな?」
「あった……ノだ」
「その理由によっては考えてやらないでもないぞ」
「そ、そうなノか。実はな。ハルミなノだが、ミヨシがオウミヨシを使って料理をしていると、近くに寄ってきて『いいなぁ、ミヨシはいいなぁ。そんなすごい包丁作ってもらえていいなぁ』ってつぶやくらしいのだ」
ああ、その光景が目に浮かぶ。
「ミヨシもそのつど『そのうちユウが作ってくれるよ』と言ってなだめているのだが、そのプレッシャーに耐えかねて、最近ではなるべく顔を合わさないようにしているらしいノだ」
あにはからんや。
「だからなノだぞ?」
「なにがだ?」
「おかずがミソ汁しかなくなったのは」
「なんでだよ!?」
「オウミヨシを使うのは料理のときであろうが。それをしないようにしているノだ。だからいろいろ作っている時間がないノだ」
そのせいかぁぁぁっ!!!!
「分かった。ならハルミにこう伝えてくれ。今度の剣技大会でハルミが優勝したら、ハルミ専用の魔力入りニホン刀を作ってやる。そのときにはゼンシンの技術も高くなっているはずだ。そこにオウミの魔法を付与すれば、売り物にしたニホン刀など足下にも及ばない世界一斬れるニホン刀ができあがる。だからあまりミヨシに圧力をかけるなと」
「お主も食べ物のことになると豹変するノだな。ニホン刀でハルミを釣るノか」
「人聞きの悪いことを言うな。努力目標ができていいだろ。たんなる去年のリベンジよりも、そのほうがずっとモチベーションが上がる」
「ものは言いようなノだ。分かったノだ。そう伝えるノだ」
今回の剣技大会には、タケウチ工房の存続がかかっている。
ハルミには剣技大会で新作のニホン刀を使ってもらう。優勝云々は正直どうでもいいのだ。見事な切れ味を観客に見せつけてくれればそれで良い。
そしたらその場で『これと同じものが、ここにもう6本あります』。ぜひ欲しいという方は、こちらに集まってください。
ってなことを言って、観客をその辺の広場にでも誘導する。そこで、俺の計画を実行するのだ。
「どんな計画なノだ?」
「まだ、内緒なノだ」
「けちんぼめ! それから我の口まねをするでないノだ」
そのためには、ハルミが使ったニホン刀と同じものが6本必要となる。できるよな? できなかったら、この計画はその時点で破綻だぞ。
「いつもそんないい加減な計画ばかり組んでるノか?」
「お前に言われたくねぇよ」
ハルミの使うニホン刀にオウミが魔法をかけてしまうと、オウミヨシのように黒い刀になってしまうかもしれない。少なくともなんらかの見かけ上の違いはでるだろう。
見た目が違っていては「これと同じもの」として売ることができなくなる。それでは困るのだ。ハルミが使ったものと瓜二つの刀を6本……日本語がおかしいかもしれない。まあいいや。それをその場で売るのだ。
だからハルミには、魔法抜きで鉄の棒を寸断してもらわないといけない。それを1本100万で6本売る。それで借金は完済である。
斬鉄刀(ざんてつとう)。それがこの刀の……え? どこかで聞いたような? 気のせいなノだ。
斬鉄刀。それがこの刀の名称だ。戦争が始まらんとしているこの時期だからこそ、この刀には価値がある。名のある剣士たちがこぞって買い求めてくれるであろうとらたぬ。
「ハルミをダシにしてんのか、ミヨシをダシにしてんのか、どっちだよ。ダメだっての」
「どうしてなノだ。よいではないか、よいではないか」
「お前はどこかの悪徳代官か。ダメなものはダメだ」
「じゃあ、1本だけ。ね?」
「ね? じゃねぇ!! 魔王がシナを作るな。ダメなんだよ。今度のニホン刀は売り物なんだぞ」
「売ればいいではないか。我ならいくらでも作ってやるぞ?」
「魔剣をぽいぽい世に中に出すんじゃねぇよ! ああいうのは世界に数本しかないから希少価値なんだろうが」
「じゃあ、1本だけ、ね?」
一回りしてそこに戻るんか。
「しかし、いつになくしつこいじゃないかオウミ。なにかあったのか?」
「うっ」
「あったんだな?」
「あった……ノだ」
「その理由によっては考えてやらないでもないぞ」
「そ、そうなノか。実はな。ハルミなノだが、ミヨシがオウミヨシを使って料理をしていると、近くに寄ってきて『いいなぁ、ミヨシはいいなぁ。そんなすごい包丁作ってもらえていいなぁ』ってつぶやくらしいのだ」
ああ、その光景が目に浮かぶ。
「ミヨシもそのつど『そのうちユウが作ってくれるよ』と言ってなだめているのだが、そのプレッシャーに耐えかねて、最近ではなるべく顔を合わさないようにしているらしいノだ」
あにはからんや。
「だからなノだぞ?」
「なにがだ?」
「おかずがミソ汁しかなくなったのは」
「なんでだよ!?」
「オウミヨシを使うのは料理のときであろうが。それをしないようにしているノだ。だからいろいろ作っている時間がないノだ」
そのせいかぁぁぁっ!!!!
「分かった。ならハルミにこう伝えてくれ。今度の剣技大会でハルミが優勝したら、ハルミ専用の魔力入りニホン刀を作ってやる。そのときにはゼンシンの技術も高くなっているはずだ。そこにオウミの魔法を付与すれば、売り物にしたニホン刀など足下にも及ばない世界一斬れるニホン刀ができあがる。だからあまりミヨシに圧力をかけるなと」
「お主も食べ物のことになると豹変するノだな。ニホン刀でハルミを釣るノか」
「人聞きの悪いことを言うな。努力目標ができていいだろ。たんなる去年のリベンジよりも、そのほうがずっとモチベーションが上がる」
「ものは言いようなノだ。分かったノだ。そう伝えるノだ」
今回の剣技大会には、タケウチ工房の存続がかかっている。
ハルミには剣技大会で新作のニホン刀を使ってもらう。優勝云々は正直どうでもいいのだ。見事な切れ味を観客に見せつけてくれればそれで良い。
そしたらその場で『これと同じものが、ここにもう6本あります』。ぜひ欲しいという方は、こちらに集まってください。
ってなことを言って、観客をその辺の広場にでも誘導する。そこで、俺の計画を実行するのだ。
「どんな計画なノだ?」
「まだ、内緒なノだ」
「けちんぼめ! それから我の口まねをするでないノだ」
そのためには、ハルミが使ったニホン刀と同じものが6本必要となる。できるよな? できなかったら、この計画はその時点で破綻だぞ。
「いつもそんないい加減な計画ばかり組んでるノか?」
「お前に言われたくねぇよ」
ハルミの使うニホン刀にオウミが魔法をかけてしまうと、オウミヨシのように黒い刀になってしまうかもしれない。少なくともなんらかの見かけ上の違いはでるだろう。
見た目が違っていては「これと同じもの」として売ることができなくなる。それでは困るのだ。ハルミが使ったものと瓜二つの刀を6本……日本語がおかしいかもしれない。まあいいや。それをその場で売るのだ。
だからハルミには、魔法抜きで鉄の棒を寸断してもらわないといけない。それを1本100万で6本売る。それで借金は完済である。
斬鉄刀(ざんてつとう)。それがこの刀の……え? どこかで聞いたような? 気のせいなノだ。
斬鉄刀。それがこの刀の名称だ。戦争が始まらんとしているこの時期だからこそ、この刀には価値がある。名のある剣士たちがこぞって買い求めてくれるであろうとらたぬ。
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