異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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175 魔人戦の異常

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「何かあったのか?」

 ダンジョンの入口に近づくと、かなり消耗した様子の兵士がいた。

 兵士はシルヴィアを見て、少し落ち着きを取り戻した。

「報告します。ダンジョン内において複数の魔人を確認。ダンジョンは想像を遥かに超えて広大。後詰めが入っても問題ないと判断する、との伝言です」

 なるほどね。

 ブロディらしい物言いに苦笑がもれる。要は自分たちだけでは手に負えないから援軍に来いということだが、素直にそうは言わない。もし来なければ悪いのはおまえらだと言外の意味を込めている。

 とは言え、ここは行くべきだろう。つまらない面子や意地に拘るのは下策中の下策だ。

 既に準備を整えていた二番手舞台を先頭に、整った部隊から順次ダンジョン内へ侵入を開始した。



「確かにこれは想像の上を行ってるわね」

 半分感心、半分呆れといった様子でカズサさんが呟いた。

「ホントだよね。地下にこれだけの空間が広がってて、よく崩落しないもんだわ」

「…怖いこと言わないでくださいよ」

 ちょっと想像してしまった。生き埋めなんて死に方はできればごめん被りたい。

「出てくる魔物も結構強力なのが多いし、魔人がいるってことまで考えたら、ここってもしかしたら魔王側の重要拠点だったりしない?」

「その可能性はあるわね」

「だとすれば、気を引き締めてかないとな」

 と言った次の瞬間、耳を圧する咆哮が響き渡った。

「どこだ!?」

「こっち!」

 いち早く位置を掴んだツブラが先頭に立つ。

 その後に続きながら、剣を抜き、遭遇に備える。

 すぐに修羅場に行き当たった。

「三体!?」

 一体でも厄介な魔人が三体もいやがった。バラバラで複数いるのはわかっていたが、まとまって出てこられると厄介だ。

 とは言え、やるしかない。
 
「援護頼む!」

 言うだけ言って駆け出す。一々味方の返事は待たない。このメンバーならお互いどう動くべきかは把握できている。

 魔人相手に後手にまわるのは得策ではない。先手必勝を期して突っ込む。

 あれ?

 違和感。それを強烈に感じた。

 遅い?

 魔人の動きがものすごく遅く感じる。まるでスローモーションのようだ。

 疑問を感じながらも動きは止めない。三体の只中に飛び込み、双剣を振るう。



「え?」



 思わず間抜けな声が漏れた。

 倒れてしまったのだ。

 魔人が。

 三体とも。

 倒れた魔人は立ち上がることはなかった。ややあって、その身体は煙のように消えていった。

「……」

 仲間たちに目を移すと、ビックリした目でこっちを見ている。

「…えーと……」

 言葉では表現しがたい微妙な空気が醸成される。

「…コータロー……?」

 いやいや、頼むからそんな目で見ないでくれ。一番驚いてるのは俺なんだから。

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