異世界召喚 ~依頼されたのは魔王討伐ではなく……~

オフィス景

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97 プロポーズ

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「今日、する」

 朝、目覚めて一番にシルヴィアに宣言した。

「今日、ミネルヴァにプロポーズする」

「うん」

 シルヴィアは微笑んで頷いてくれた。

「シルヴィアのことも変わらず大事にするから。約束する」

「そこは心配してないよ」

 屈託のない笑顔で言ってくれるシルヴィアがたまらなく愛しい。

 抱き寄せて唇を重ねた。シルヴィアも俺の背に腕をまわして応えてくれる。

 ひとしきり甘い時間を堪能してから唇を離す。

「ミネルヴァのことも同じように愛してあげてね」

「上手くやれるかなぁ……」

「信じてるから。コータローなら、わたしのことも、ミネルヴァのことも幸せにしてくれるって」

 幸せにする。

 その言葉がストンと腑に落ちた。
 
 そっか、難しく考えなきゃいいんだな。

「わかった。皆で笑っていられるようにガンバるよ」

「うん!」

 シルヴィアの笑顔に送り出されて、ミネルヴァの部屋へと向かう。

 それなりに意気込んでいたのだが、ミネルヴァと顔を合わせるなり、出鼻をくじかれてしまった。

 ミネルヴァがいつになく落ち込んだ…と言うか、思い詰めた顔をしていたのだ。

「ど、どうした?」

 只事ではない顔色を見せられて、考えていたプロポーズの言葉も何もかもが飛んだ。

「ミネルヴァ?」

「…コータロー様、もうわたしに優しくしないでください」

「は?」

「…わたしは汚い女です。コータロー様に優しくしていただく資格なんてないんです」

「ちょ、ちょっと待ってくれ。話がまったく見えないんだが……どうしたってんだよ」

「わたし…わたしぃー……」

 こぼれた涙はすぐに号泣に急速発達してしまう。

 …どうすりゃいいの?

 途方に暮れそうだったが、ミネルヴァをこのまま泣かせとくのだけはダメだ。

「何があったか知らんが、ミネルヴァは汚くなんかないぞ。こんなに素直で可愛いじゃんか」

「…優しくされたら余計にツラいですぅ……」

 …俺も泣きたくなってきた……

 ああ、もう!

 半ギレ状態に陥った俺は、後先考えずにミネルヴァを抱きしめた。可能な限り優しく髪を撫でてやりながら、耳元で囁く。

「ミネルヴァが汚いなんて俺は絶対認めない。たとえミネルヴァ自身がそう言ったとしてもな。ちゃんと論破してやるから、まずは気が済むまで泣け。泣いていいから、後でちゃんと話せよ」

「うううぅーっ……わあああぁーっ……」

 これまで見たことのないような超号泣。

 ミネルヴァがこんなに取り乱すなんて、一体何があったんだ?

 答えは得られず、俺はただミネルヴァが泣き止むのを待つしかなかった。

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