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98 プロポーズ 2
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「…ぐすっ……」
ようやくミネルヴァの涙が終息に向かう。
…な、長かった……
精神的な耐久力がガリガリ削られ、もう少しでこちらが音を上げるところだった。
「落ち着いたか?」
「ご、ごめんなさい……」
ミネルヴァはうつむいたまま、消え入りそうな声で謝った。
多分グチャグチャで顔上げられないんだろうな。
「あのな、何であんなこと言い出したのかは知らんけど、俺がミネルヴァを嫌うことはまずないから、落ち着いて話してみろ」
「…まずないってことは、嫌われることもありますか?」
「実は男でしたって言われたら全力で逃げる」
キッパリ言いきったら、ミネルヴァが膨れた。
「わたしは女です!」
「なら大丈夫だから安心しろ。何があった?」
「…夢を見たんです」
「夢?」
訝しさが極まる。まさかと思うが 夢の内容を根拠に自分は汚いとか言い出したわけじゃあるまいな?
と思ったら、そのまさかだった……
「どんな夢見たんだ?」
訊くと、ミネルヴァは真っ赤になった。
「…コータロー様と結婚する夢です」
「それの何が問題なんだ?」
「だって、シルヴィア様がいるのをわかっていて、こんな夢を見るなんて…それに、幸せに浸ってしまうなんて……」
「結婚式なら幸せじゃなきゃ困るだろ」
「奥さまのいる男の人を奪う夢を見てしまうなんて…これってわたしにそういう願望があるからなんでしょうか…だとすれば、わたしはやっぱり……」
「そんなことないって」
思わず苦笑してしまう。
真面目なのは本来美徳になるはずなんだけど、度を越しちまうと、こんなにも残念になっちまうんだな……
だからといって、ミネルヴァを嫌うことはない。と言うより、今まで曖昧だったミネルヴァへの想いが、明確な形になった。
こんな危なっかしいのほっといたら大変なことになる。
守りたいという思いを愛と言っていいのかどうか、微妙ではあったが、俺はミネルヴァに対して本気になっていた。
確たる想いのないままにプロポーズしようとしてたのかというお叱りは甘んじて受ける。でも、その分まで絶対に幸せにする。
そう決めた。
「ミネルヴァ、大事な話があるんだ。聞いてくれるか?」
「は、はい」
「今から俺が話すのはメチャクチャ非常識な話だ。だから、嫌だったら遠慮せずにはっきり言ってくれ」
一体何を言われるのかと不安そうだったが、ミネルヴァはしっかり頷いてくれた。
「この国に来てから、ミネルヴァのことずっと近くで見てきたけど、ホントに佳い女だと思う」
「!?」
ミネルヴァの目が丸くなった。
「でも、俺にはシルヴィアがいたから、あり得ないことって決めつけてて、なかなかそう思えなかった、と言うか、気づけなかった」
話が見えてきたのか、ミネルヴァの顔が崩れてきた。
「首尾よく呪いが解ければ、ミネルヴァにはプロポーズが殺到すると思う。それこそ今までの仕打ちをなかったことにして手のひらを返すような連中が続出するだろう」
今のところ推測でしかないが、まず間違いなくそうなるだろう。
「俺は、そんなクソみてえな連中にミネルヴァを渡したくねえ、ってかそんなの我慢できるわけがねえ」
自分で自分の言葉に盛り上がってきた。
正直自分でも混乱しているのだが、言いたいことは正しく伝わっているようで、ミネルヴァの目に涙が盛り上がった。
「俺に色々問題があるのはわかってる。わかった上で言わせてもらう」
言葉を切って、一度大きく深呼吸した。
そして、告げる。
「俺と結婚してくれ、ミネルヴァ」
ようやくミネルヴァの涙が終息に向かう。
…な、長かった……
精神的な耐久力がガリガリ削られ、もう少しでこちらが音を上げるところだった。
「落ち着いたか?」
「ご、ごめんなさい……」
ミネルヴァはうつむいたまま、消え入りそうな声で謝った。
多分グチャグチャで顔上げられないんだろうな。
「あのな、何であんなこと言い出したのかは知らんけど、俺がミネルヴァを嫌うことはまずないから、落ち着いて話してみろ」
「…まずないってことは、嫌われることもありますか?」
「実は男でしたって言われたら全力で逃げる」
キッパリ言いきったら、ミネルヴァが膨れた。
「わたしは女です!」
「なら大丈夫だから安心しろ。何があった?」
「…夢を見たんです」
「夢?」
訝しさが極まる。まさかと思うが 夢の内容を根拠に自分は汚いとか言い出したわけじゃあるまいな?
と思ったら、そのまさかだった……
「どんな夢見たんだ?」
訊くと、ミネルヴァは真っ赤になった。
「…コータロー様と結婚する夢です」
「それの何が問題なんだ?」
「だって、シルヴィア様がいるのをわかっていて、こんな夢を見るなんて…それに、幸せに浸ってしまうなんて……」
「結婚式なら幸せじゃなきゃ困るだろ」
「奥さまのいる男の人を奪う夢を見てしまうなんて…これってわたしにそういう願望があるからなんでしょうか…だとすれば、わたしはやっぱり……」
「そんなことないって」
思わず苦笑してしまう。
真面目なのは本来美徳になるはずなんだけど、度を越しちまうと、こんなにも残念になっちまうんだな……
だからといって、ミネルヴァを嫌うことはない。と言うより、今まで曖昧だったミネルヴァへの想いが、明確な形になった。
こんな危なっかしいのほっといたら大変なことになる。
守りたいという思いを愛と言っていいのかどうか、微妙ではあったが、俺はミネルヴァに対して本気になっていた。
確たる想いのないままにプロポーズしようとしてたのかというお叱りは甘んじて受ける。でも、その分まで絶対に幸せにする。
そう決めた。
「ミネルヴァ、大事な話があるんだ。聞いてくれるか?」
「は、はい」
「今から俺が話すのはメチャクチャ非常識な話だ。だから、嫌だったら遠慮せずにはっきり言ってくれ」
一体何を言われるのかと不安そうだったが、ミネルヴァはしっかり頷いてくれた。
「この国に来てから、ミネルヴァのことずっと近くで見てきたけど、ホントに佳い女だと思う」
「!?」
ミネルヴァの目が丸くなった。
「でも、俺にはシルヴィアがいたから、あり得ないことって決めつけてて、なかなかそう思えなかった、と言うか、気づけなかった」
話が見えてきたのか、ミネルヴァの顔が崩れてきた。
「首尾よく呪いが解ければ、ミネルヴァにはプロポーズが殺到すると思う。それこそ今までの仕打ちをなかったことにして手のひらを返すような連中が続出するだろう」
今のところ推測でしかないが、まず間違いなくそうなるだろう。
「俺は、そんなクソみてえな連中にミネルヴァを渡したくねえ、ってかそんなの我慢できるわけがねえ」
自分で自分の言葉に盛り上がってきた。
正直自分でも混乱しているのだが、言いたいことは正しく伝わっているようで、ミネルヴァの目に涙が盛り上がった。
「俺に色々問題があるのはわかってる。わかった上で言わせてもらう」
言葉を切って、一度大きく深呼吸した。
そして、告げる。
「俺と結婚してくれ、ミネルヴァ」
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