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143 イリスさん
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俺とシルヴィア、ミネルヴァの三人は、シルヴィアの故郷、レジーナ王国を目指していた。
目的はオルタナとレジーナの同盟締結。そのためのブライト王子からの親書も携えている。今回はあくまでも下話、土台作りの交渉となる。
ブライト王子とローザさんの結婚を認めさせるための作戦としてシルヴィアが提案してきたのが「レジーナに後ろ楯になってもらおう」というものだった。同盟締結はそのための手段、と言うと何やら主客が転倒しているようだが、同盟自体は間違いなくオルタナの利になることなので、細かいことは気にしないようにしている。
大国であるレジーナの後ろ楯を得られるのであれば、わざわざ政略結婚などする必要はなくなる。晴れてローザさんと結婚できるようになる、という算段なのだが、上手くいくかどうかは正直わからない。
アンジェリーナは協力してくれると思うが、一人で国の重大事を決められるわけじゃない。
「上手くいくといいけど……」
「何か懸念材料でもあるのか?」
「懸念材料ってわけじゃないんだけど……」
シルヴィアの歯切れの悪さに、ピンと来るものがあった。
「ブロディか……」
「何だか嫌な予感がするの……」
「確かにな。おかしな茶々入れてこなけりゃいいが」
どこか辺境の戦場に飛ばされてればいいのにな。と淡い期待を抱いていたのだが、そうそう都合のいい話はなく、軍部のトップとして王都に居座ってやがった。
ブロディがトップかよ…やりづれえな……
間違いなく絡んでくるだろうな。
気が重くなるが、逃げ出すわけにもいかない。
とりあえず取り次ぎを頼もうとイリスさんを訪ねることにした。
「まあ、シルヴィア様にコータロー様。お元気そうで何よりです」
久しぶりに会うイリスさんは、満面の笑みで迎えてくれた。
「イリスも変わりないようでよかったわ」
シルヴィアが言うと、なぜかイリスさんはどんよりしてしまう。
「わたしの場合は少し変わった方がいい、と言うか、変わらなければいけないんです」
なぜかイリスさんはシニカルな笑みを浮かべた。
「ど、どうしたんすか!?」
「このまま変わらなければ、わたしはきっと一生お嫁にいけないんです」
しばらく会わない内に何があったのかわからないが、イリスさんはかなりやさぐれてしまっていた。
…ってか、イリスさんってお嫁さん願望あったんだ。
「イリス、何かあったんですか?」
「…何もないんですよ」
「え?」
「ええ、それはもう見事なくらい、きれいさっぱり何もないんです。出会いもときめきも潤いも。わたしはきっとこのまま枯れていってしまうんだわ」
「ちょっと待って。落ち着いて、イリスさん」
慌ててなだめななだめにかかる。
…どうしてこうなった?
目的はオルタナとレジーナの同盟締結。そのためのブライト王子からの親書も携えている。今回はあくまでも下話、土台作りの交渉となる。
ブライト王子とローザさんの結婚を認めさせるための作戦としてシルヴィアが提案してきたのが「レジーナに後ろ楯になってもらおう」というものだった。同盟締結はそのための手段、と言うと何やら主客が転倒しているようだが、同盟自体は間違いなくオルタナの利になることなので、細かいことは気にしないようにしている。
大国であるレジーナの後ろ楯を得られるのであれば、わざわざ政略結婚などする必要はなくなる。晴れてローザさんと結婚できるようになる、という算段なのだが、上手くいくかどうかは正直わからない。
アンジェリーナは協力してくれると思うが、一人で国の重大事を決められるわけじゃない。
「上手くいくといいけど……」
「何か懸念材料でもあるのか?」
「懸念材料ってわけじゃないんだけど……」
シルヴィアの歯切れの悪さに、ピンと来るものがあった。
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「まあ、シルヴィア様にコータロー様。お元気そうで何よりです」
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「わたしの場合は少し変わった方がいい、と言うか、変わらなければいけないんです」
なぜかイリスさんはシニカルな笑みを浮かべた。
「ど、どうしたんすか!?」
「このまま変わらなければ、わたしはきっと一生お嫁にいけないんです」
しばらく会わない内に何があったのかわからないが、イリスさんはかなりやさぐれてしまっていた。
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「…何もないんですよ」
「え?」
「ええ、それはもう見事なくらい、きれいさっぱり何もないんです。出会いもときめきも潤いも。わたしはきっとこのまま枯れていってしまうんだわ」
「ちょっと待って。落ち着いて、イリスさん」
慌ててなだめななだめにかかる。
…どうしてこうなった?
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