【解析眼】をゴミだと追放された俺、辺境で神獣と美少女たちに囲まれ最強の領地を築く~今更戻ってこいと言われても、もう遅い~

黒崎隼人

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第2話「絶望の果てに見つけたもの」

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 Sランクパーティを追放された。その事実は、俺の冒険者としてのキャリアが完全に終わったことを意味していた。ガイアスが王都中に俺の無能さを吹聴するのは目に見えている。どこのパーティも、俺を拾おうとはしないだろう。

 絶望に打ちひしがれながら、俺はあてもなく歩き続けた。王都を離れ、人の少ない街道を通り、やがて道とも呼べない獣道へと足を踏み入れていく。これからどうすればいいのか、何を目指せばいいのか、全く分からなかった。

 数日が経ち、手持ちの食料も水も尽きかけた頃、俺は岩場にごろりと寝転んだ。空は青く、雲がゆっくりと流れていく。もう、全てがどうでもよかった。このままここで朽ち果てるのも、一つの結末かもしれない。

 自嘲気味に笑いながら、俺は無意識に、目の前の何の変哲もない岩に【解析眼】を使った。パーティにいた頃は、常にダンジョンの罠やモンスターに向けていたスキル。こんなものに使うのは、初めてだった。

 すると、脳内にいつもとは違う情報が流れ込んできた。

【対象:花崗岩】
【構成物質:石英、長石、雲母……】
【内部構造:深部3メートル地点に高純度の魔晶石の鉱脈が存在。推定埋蔵量30kg。】
【未来予測:3日後、落雷の衝撃により表層部分が剥離し、鉱脈の一部が露出する。】

「……は?」

 思わず声が出た。魔晶石?それも高純度の鉱脈が、この足元に?魔晶石は魔道具のエネルギー源として高値で取引される貴重品だ。それが30kgもあれば、一生遊んで暮らせるほどの金額になる。

 しかも、未来予測?落雷で露出する?そんなことまで分かるのか?

 今まで、ダンジョンの中では常に緊張状態にあった。罠があるか、ないか。敵の弱点はどこか。必要最低限の情報だけを瞬時に引き出すことに集中していた。スキルをじっくりと観察する余裕などなかったのだ。

 もしかして、と思い、俺はすぐそばに生えていた雑草に手を伸ばし、【解析眼】を発動する。

【対象:ネコジャラシ(亜種)】
【成分:ケイ酸、フラボノイド配糖体……根に微量の解毒成分を含む。】
【最適な利用法:根を乾燥させ、煎じて飲むことで、特定の蛇毒や虫毒に対する軽度の耐性を得る。】
【成長予測:7日後、開花。1ヶ月後、種子が風に乗り、広範囲に繁殖する。】

「……すごい」

 今まで「鑑定の劣化版」だと思っていたスキルが、とんでもないポテンシャルを秘めていることに、俺は今更ながら気づかされた。

 これは、ただ物を見るスキルじゃない。万物の構造、本質、そして未来の状態までも見通す、まさに神の視点。

 ガイアスは、このスキルの名前が【解析眼】という地味なものだから、その本質を理解しようともしなかった。いや、俺自身でさえ、その真価を全く理解していなかったのだ。

 体の奥から、ふつふつと何かが湧き上がってくるのを感じた。それは絶望とは真逆の、熱い感情。

 冒険者としての道は閉ざされたかもしれない。だが、この力があれば、別の生き方ができるんじゃないか?

 俺は湧き上がる力に突き動かされるように立ち上がった。空腹も喉の渇きも、今はどうでもよかった。

 森羅万象を視るこの瞳で、世界はどう見えるのか。それを確かめたい。

 俺は手始めに、森の中へと足を進めた。

【解析眼】を周囲に向ける。

『この木の実、見た目は毒々しいが、実は栄養価が非常に高い』
『この川の水、上流に汚染源はなく、極めて清浄』
『あそこの茂みの中、傷を負ったウサギが隠れている。手当てをすれば助かる』

 世界が、情報で溢れかえっていた。

 危険を避け、食料と水を手に入れ、時には傷ついた動物を助ける。全てが【解析眼】の導くままだった。

 追放された時は死ぬことすら考えていたのに、今の俺は不思議な高揚感に包まれていた。

 ガイアス、お前はとんでもない宝物を手放したんだ。

 いや、違うな。お前には、この価値は永遠に分かりはしない。

 俺は、俺だけの力で生きていける。いや、生きていくだけじゃない。もっと何か、すごいことができるかもしれない。

 そんな希望を胸に、俺は辺境の地を目指して、再び歩き始めた。

 もう、その足取りに迷いはなかった。
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