【解析眼】をゴミだと追放された俺、辺境で神獣と美少女たちに囲まれ最強の領地を築く~今更戻ってこいと言われても、もう遅い~

黒崎隼人

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第3話「寂れた村の小さな奇跡」

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 森を抜け、しばらく歩くと、古びた柵に囲まれた小さな村が見えてきた。煙突から立ち上る煙は細く、畑は乾ききっている。活気という言葉とはほど遠い、寂れた村だった。

 村の入り口に立てられた古びた看板には、かすれた文字で「アティス村」と書かれている。

 俺が村に足を踏み入れると、数少ない村人たちが、訝しげな、それでいてどこか覇気のない目で俺を見た。皆、顔色が悪く、咳き込んでいる者もいる。

「旅の方かね?」

 杖をついた老人が、村長と名乗って話しかけてきた。彼の顔色もまた、土のようにくすんでいた。

 事情を話し、一晩の宿と少しの食料を分けてもらえないかと頼むと、村長は力なく首を振った。

「申し訳ないが、見ての通り、この村は今、苦しい状況でな。水が枯れ、謎の病まで流行っている。旅人をもてなす余裕は……」

 その時、村長の背後から、一人の少女が顔を覗かせた。

「お父さん、困っている人を無下にするなんて、いけません」

 亜麻色の髪を揺らし、心配そうに俺を見つめる彼女は、村長の娘のリリアと名乗った。彼女もまた顔色は優れないが、その瞳にはまだ強い光が宿っている。

 俺は、この村が置かれている状況に興味を引かれた。そして、俺の力で何かできるかもしれない、と思った。

「村長さん。もしよければ、俺が原因を調べてみましょうか。少し、あてがあるんです」

 俺の申し出に、村長は怪訝な顔をしたが、リリアが「お願いします!」と頭を下げたことで、許可を得ることができた。

 俺は早速、【解析眼】を村全体へと向けた。

 まず、村の中心にある枯れた井戸を解析する。

【対象:アティス村の古井戸】
【状態:地下水脈の変動により、水脈との接続が断絶。】
【内部構造:井戸の底から真下に15メートル掘削すれば、未発見の巨大な地下水脈に到達可能。水質は極めて良好。】

「……あった」

 水問題は解決できそうだ。次に、村人たちを蝕む病の正体を探る。

 村のあちこちを見渡し、人々の生活様式、空気の流れ、食料などを解析していく。そして、一つの植物に行き着いた。村の裏手に群生している、紫色の小さな花をつける植物だ。

【対象:ダスクウィード】
【特性:花粉に微弱な神経毒を含む。少量では無害だが、長期間、大量に吸引し続けると、倦怠感、咳、呼吸困難などの慢性的な中毒症状を引き起こす。】
【解毒法:付近に自生する『月光草』の葉を煎じて服用することで、毒素は中和される。】

 原因はこれか。風に乗って運ばれる花粉が、村全体をゆっくりと蝕んでいたのだ。

 俺はすぐにリリアを呼び、解析した内容を伝えた。

「井戸の真下を掘れば、新しい水脈が見つかります。それと、皆さんの体調不良の原因は、あの紫の花の花粉です」

 俺が指さした先に群生する花を見て、リリアは息をのんだ。

「まさか……あの花は、昔から村のシンボルとして大切にされてきた花なのに……」

 信じがたいのも無理はない。だが、俺は解毒薬となる「月光草」の姿形も正確に伝えた。リリアは半信半疑ながらも、俺の真剣な瞳を信じてくれたようだ。

「分かりました。お父さんと村の人たちを説得してみます!」

 リリアの説得は骨が折れたようだが、藁にもすがる思いだったのだろう。村の男たちが半信半疑で井戸の底を掘り始め、俺とリリアは月光草を探しに森へ入った。

【解析眼】のおかげで、月光草はすぐに見つかった。

 そして数時間後。

「水が出たぞーっ!」

 井戸の底から、歓声が上がった。勢いよく噴き出した水は、乾いた大地を潤していく。村人たちが歓喜の声を上げ、水を浴びて喜び合っていた。

 さらに、持ち帰った月光草を煎じて飲んだ人々からは、数時間もすると「体が軽くなった」「咳が楽になった」という声が聞こえ始めた。

 村人たちの俺を見る目が、完全に変わっていた。訝しげな視線は、尊敬と感謝の眼差しになっていた。

 村長は俺の前に深々と頭を下げた。

「あなたは……一体何者ですかな?もしや、神様が遣わした賢者様では……」

「いえ、俺はただの旅の者です」

 俺はそう言って笑った。

 その夜、村ではささやかな宴が開かれた。新鮮な水と、体調が戻った村人たちの笑顔。追放されてから初めて感じる、人の温かさだった。

「レオンさん、本当にありがとうございます」

 リリアが、頬を少し赤らめながら、お礼を言ってくれる。彼女の笑顔は、この村で見た何よりも輝いて見えた。

 俺は、このアティス村に、もう少し滞在してみることに決めた。

 この村でなら、俺の力は誰かを不幸にするのではなく、誰かを笑顔にできる。そう、確信したからだ。
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