25 / 327
全年齢対応・表現マイルドバージョン
第24話 モンスター(妖怪)を作ろう ~素材と記憶で、命を編む~
しおりを挟む「システム。モンスターを0から製作するってどうやるんだ?」
『河童』のような『ベース』がない状態でということだ。
虫以外のカタログが出せないことを確認したうえで聞いてみる。
これで『カタログ』で選びますって答えしか出ないようなら詰む。
『現存している『属性』であれば、その『属性』の『ダンジョン』を押さえている『ダンジョンマスター』に連絡して『カタログ』を送ってもらえます。ですが、『妖怪』も『学園祭』も存在していません。どうしても、その『属性』にしたいというのであれば、1から作るほかないですね』
『カタログ』から出す、以外の方法はあるってことだ。
「その方法とは?」
『形と能力、素材。そういうモノを一つ一つ選び出し組み合わせていくことになります。ダンジョンを運営するに足るほどのモンスターを自作することになりますよ?』
「一体一体、手作りなのか?」
『ランクの低いモンスターであれば、一度雛形を作れば『マナポイント』で複数を何度でも作り出せるようになりますね』
詳しく聞いてみると、モンスターにはランクが設定されているそうだ。
GからAまでの7段階が基本。
『ダンジョンレベル』が100に到達するとS級やSS、SSSまで作れるという。
60レベルのいまだとBランクが限界。
このダンジョンだと『大百足』から後、64階層のモンスターがAランクだった。
ランクというのは身に宿す魔力の総数に関しての区別だそうで。
作ったあとからでもランクアップは可能とのこと。
一覧にするとこんな感じ。
G~F:下位(雑魚)
E~D:中位(低層ボス/中層雑魚)
C~A:上位(中層ボス/深層雑魚)
S~SSS:ダンジョンLv100以上で解禁。
ちなみに低層とは30から下。
中層は30より上の50より下。
深層が50より上の80から下という扱いだそうだ。
80から下はと聞いたら、レベル80を越えたら説明すると言って話を切られた。
ともかく、Dから下のランクであれば、一度作成してデータを『システム』に登録すれば大量生産が可能だった。
もちろん『マナポイント』があれば、という注釈はつく。
C以上については、大量にとはさすがにいかず、数体が限度らしい。
理由は『ソウルポイント』が必要になるから。
Aランクなんかは一体ずつでないと無理だそうだ。
『ソウルポイント』を大量に使う一点物。
あるいは『ネームド』扱いになるからだ。
一点物とはいえ、登録してしまえば倒されても復活可能なのは他のモンスターと変わらないそうだが。
「マナポイント以外には何が必要なんだ?」
通常でさえ、『マナポイント』と『カタログ』が必要なのだ。
『カタログ』がない分を何で補填するのか。
『確固たるイメージと、イメージを固めるための物品となります。仮に新種の『虫』を作りたいのならその虫そのものか、特徴が似ている虫が必要です』
「あー、そうか。うん。なんとなくわかる」
ゲームでありがちな『何か』と『何か』を融合させて新しいキャラを作るようなイメージでいいはずだ。
そういうことなら・・・。
◇
『メガネウロ』の飛空便に乗って、63階層へとやってきた。
『ダンジョンマスター』にはダンジョン内のどこにでもいける通路を作る能力があるのだ。
できれば転移したかったのだが、魔法適性が足りないらしくできなかった。
魔職じゃないしな。
残念だが、移動はできる。
ちょっと手間なだけだ。
63階層へとやってきた理由は物資回収と宝探しである。
ドロップアイテムなどを溜め込んでいる共用のアイテムボックスを回収。
中身をモンスターの材料にできないかと考えているのだ。
宝探しというのは、転がっている死体のことだ。
息のあるものは『巣』に運び込んだ後だが、完全な死体は捨て置いているからな。
「こういう遺体やその一部があればいいのか?」
『私が保有しているデータからも再現可能ですので必須ではありませんが、物質として存在しているモノを使えば『マナポイント』の消費は減らせます』
「データって、そんなのあるの?」
『もちろんです。高度な回復・蘇生魔法の存在が、それを必要としているのです。肉体の欠損を元に戻すとき、元のデータがないと戻せません。『エリクサー』での蘇生では肉体が残っていないこともあり得ます。ですが、再生しなければなりません。肉体とパーソナルデータの保存は私の役目の一つとなり得るのです』
死亡していても復活は可能。
そんな『システム』がある以上、『ダンジョン』に入って来る者たちのデータは常に更新しつつ保存し続けているのだという。
『本人の『魂の欠片』と保存データで再生・複製が可能となります』
「それって、死んで・・・じゃなくて魂が削り切られていても?」
もはや、微生物にしかなれないほど魂を摩耗しているモノたちも再現可能?
『浄化された人物も、『魂の元』と『データ』を使えば人格の再現が可能です。ただし、それをすれば『魔力補充要員』を減らすことになります』
「その場合は複製できなくて、元の魂を使ってしまうと?」
『その通りです』
「低ランクのモンスター作るのにも必要なことなのか?」
『不要です。人格の再現というのは『蘇生』させるならという意味です。モンスターにすることを示すものではありません。高ランクのモンスターに人格を与えるのなら別ですが』
『魂の浄化』状態の者を生き返らせるのに必要なだけで、モンスターにするならいらないということか。
「なら、問題はないな」
生き返らせる義理はない。
必要もない。
高ランクモンスターは、摩耗しきっていない魂で作ればいいだけだ。
「まずは低層の妖怪から作っていこうか」
思い付きで進めると雑になりそうなので、事前にルールを決めよう。
以下が、そのルールとする。
まずはGランク。
『蟲』の妖怪。
早い話が『人間』を宿主として育って生まれた、高ステータスの虫たち。
あれらをそのまま妖怪化しようと思う。
Fランク。
『日用品』の妖怪。
百鬼夜行でおなじみ、『物』が妖怪化した付喪神シリーズの一発目。
『化け草履』とか、『雲外鏡』とかがいいだろう。
ポーションの空きビンとか女子のコンパクトとかでも作れそうだ。
Eランク。
『学用品』の妖怪。
今回の『お客様』は学生だから、ネタは豊富だ。
付喪神シリーズの2発目とする。
Dランク。
『装備品』と『虫』の妖怪。
今回は実に265人分の装備があるからね。
これを使って付喪神シリーズの3発目とする。
Cランク。
『人体混合』。
『物』と『人間の体』をくっつけて作る。
わかりやすいところでは、傘と人の足で『唐笠お化け』。
そういうのを作る。
Bランク。
『人体(一部)』
腕だけとか足だけ、目だけといったモノ。
Aランク。
『人(完全体)』。
基本、『人間』をベースにして、個体名も付ける。
特別製の妖怪になるな。
どこに出しても恥ずかしくない妖怪にする。
皆、『お客様』を楽しませてくれるはずだ。
では、実際に作っていこう。
Gランクは・・・簡単だね。
ほとんど虫だから。
モンスターと妖怪的モンスターの違いしかない。
・・・というか、どこが違うのかと問われたらオレも答えに困る。
「愛嬌があるかどうか、かな?」
余計わからなくなりそうだ。
妖怪って、怖いだけじゃなくて、どこか哀しい。
それが、モンスターとの違いかもしれない。
歌舞伎でも有名な『土蜘蛛』。
先の戦いでもさんざん活躍した蜂の妖怪『赤蜂』。
海老に似た見た目で魂をも切る『アミキリ』。
怨念を抱いて死んだ人の顔が虫の背中に宿る『平八郎虫』
といったラインナップが、いいだろう。
特に最後のなんて実にタイムリーだ。
男女構わず、高校生の苦悶や悲哀の表情を映し出す茶色のカメムシである。
Fランク。
『ホムンクルス』。
ポーション瓶の中に、人型。
魔法を操る。
『ミラージュミラー』。
パステルピンクのコンパクトが開いた形。
中から銀色の目が覗いている。
『幻影』が得意な妖怪になりそうだ。
Eランク。
『化け靴』。
学生靴の中に、履いていた生徒の顔が浮かび上がる。
左右に泣き顔と怒り顔。
跳ねて移動するのだ。
『赤うねり』。
学生服のネクタイが宙を舞う。
『鞄魚』。
横になってエイのように宙を飛ぶ。
『制服流し』。
制服だけがふわりふわりと浮き上がる。
必死に逃げてばかりだった子の制服だ。
Dランク。
『蟻槍兵』。
兵士アリが槍を構えてやってくる。
『兜鎧』。
鎧を着た甲虫類が迫る。
剣を持っていたり、弓だったり、魔法使いだったり。
いろいろなバリエーションで作っていける。
Cランク。
『いらない』と棄てられたアイテムと、同じく捨てられている手足の組み合わせだ。
『和傘』。和香子ちゃんの手足+和傘で作る『唐笠お化け』。
持ち手が足で傘の真ん中に一つ目の妖怪・・・と見せて、実は傘の持ち手が腕になっていて、その腕が足首を握る形で立つ。
なんてのはどうだろう?
これもバリエーションはいくつでも増やせる。
『洋傘』。洋子ちゃんの手足+洋傘。
『日傘』。日下さんの手足+日傘。
『雨傘』。雨宮さんの手足+雨傘。
などなど。
傘以外でもいろいろ作れるだろうし。
Bランク。
人間の体の一部だけ。
『手形・足型』。手首から先、足首から先だけ、そんな形で動き回る。
どっかの映画やアニメで見たことあるよね。
肘から千切れた手とかでもいいだろう。
あとは・・・半分だけでも『一部』と言えるかな?
いえるよね?
そう思って探してみると、ちょうどよく組み合わせられそうな素材が目に入ってきた。
『システム』が記憶しているデータとも照合しながら、作っていこう。
でもその前に。
「もう一人のサブマス候補発見!」
データ群を確認していて見知った名前を発見した。
発見というのはおかしいか?
存在しているのは当然なんだしな。
名前を見た瞬間、胸の奥が、少しだけ、熱くなった。
それが、罪か、懐かしさか、それとも、ただの執着かは、わからなかった。
Aランクで作成すべき人物だ。
ちょうど、その子が最後にいた場所——『指揮所』——に来ている。
まずは『彼女』で作ろう。
Aランク。
『河童』の仲間を作ることになる。
ここはじっくり腰を据えてかからねば。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる