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2章 大切な友達
15.大切な人の寝顔
しおりを挟む俺は眠る伊吹さんをソファに横にして寝かせ、何か掛ける物は無いかと周りを探す。
リビングにそれらしき物は無い。やっぱり寝室かなぁ。でも伊吹さんが寝てるのに勝手に入る訳にはいかないよなぁ。でもこのままじゃ伊吹さんが風邪引いちゃうよなぁ。
伊吹さんの心配をしながらも大我くんの事も考える。
連絡が遅れたのは予定があったから仕方ないとして、気付いたのならなるべく早く返したい。
俺は意を決して伊吹さんを寝室まで運ぶ事にした。
先に寝室のドアを開けて置こうと廊下へ向かい、前に教えてくれたペンギンのぬいぐるみがいる寝室のドアを開ける。
「失礼します!」
ドアを開けただけなのに、部屋の中が直視出来ない!でも伊吹さんに落ち着いて寝てもらえるようにしないとと思って、頑張って寝室の中に入る。
リビング同様、綺麗に片付けられている寝室の中は本当に寝るだけと言う感じでベッドと簡単な棚があるだけだった。そしてクローゼットの扉。服などが壁に掛けられていないから、伊吹さんはキチンとしまうタイプなんだなと分かった。
そしてベッドにはお揃いで買ったペンギンのぬいぐるみがいた。それを見て俺は胸がキュッとなる。伊吹さんも一緒に寝てるって本当だったんだ。
嬉しさを感じながらも伊吹さんを迎えられるように掛け布団を開けて準備を進めた。
リビングに戻り、スヤスヤ寝ている伊吹さんをソファから持ち上げてみる。細いだけじゃなく体重も軽かった。うん、俺でも持ち上げられそうだ。
両腕で上半身と足の部分をしっかりと抱えてヒョイっと持ち上げる。こ、これはお姫様抱っこってやつだ!伊吹さんをお姫様抱っこ出来る日が来るなんて!
俺は幸せを噛み締めつつも伊吹さんを大事に抱えて準備を整えた寝室まで運ぶ。
無事に伊吹さんをベッドに寝かせる事が出来て俺はホッとする。
俺が運ぶ間も全く起きる気配が無かったな。他の人の前でもこうなのかと考えたら少し心配だな。
仮に今伊吹さんを運んだのが大我くんだったら、この後どうしていただろう。あの時の大我くんを思い出すと嫌な気持ちになった。
むしろ寝室になんか運ばないでソファでそのまま伊吹さんを襲いそうだ。
いくら大我くんでもそんなのは許せないよ。
俺は伊吹さんの寝顔を見てから心を落ち着かせて寝室を出た。
「はぁ、帰ろう……」
ここのマンションはセキュリティがしっかりしていると思う。さすが人気No. 1の伊吹さんだと言わんばかりの綺麗で良いマンションだ。
だから俺がこのまま出て行ってもオートロックによってこの部屋の安全は確保されるだろう。そして伊吹さんが対応しない限りは誰も入っては来れない。
俺は安心して伊吹さんの部屋を出る事が出来た。
マンションのから出た後に、大我くんに電話を掛け直そうとスマホを取り出す。
時間は22時。普段俺は勉強している時間だけど、大我くんからは普通に電話やメッセージなど来ていたからきっと起きてるだろう。
もしかしたら土曜日だしバイトかもしれない。でも、それなら着信を入れておけばまた掛け直してくれるよな。
スマホを耳に当てて応答を待つ。
するとすぐに大我くんの声がした。
『もし~?ナオキング~?』
「あ、うん!電話出れなくてごめんね」
『ああ、今何してる?ちょっと話したい事があんだけど』
大我くんの声はいつも通りだった。と思う。
話したい事がある。そう言われてドキッとするけど、俺も伊吹さんとの事をちゃんと話そうと思い、しっかり気を持って対応する事にした。
「今出掛けてて外だよ。俺も大我くんと話したいんだ」
『それなら俺んちまで来れるか?待ってるから』
「うん。行くよ」
ここで電話は切れた。
ここから大我くんちは少し距離があるけど、タクシーを使えばそんなに掛からないだろう。
俺は大切な友達の為に伊吹さんとのデートの余韻を隠して移動を開始した。
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