3 / 16
3
しおりを挟む
誰だろう?
意識が飛ばないように、気を引き締めながら見上げた先に居たのは、憤怒の表情を浮かべたマリク殿下だった。なんで殿下がこんな所に!?
そう思ったのは私だけじゃないみたいで、まず私の両腕を拘束していた二人が膝から崩れ落ち、ついで残りの三人もヘナヘナと腰砕けになってしまった。マリク殿下は私を、エレノアの取り巻きどもの中から解放し、
「集団で寄って集って一人を虐めるなど言語道断! 恥を知れ!」
そう言って私をそっと抱き締めた。
「大丈夫かい?」
「はいぃ!」
いや、耳元で囁かないで欲しい! 違う意味で大丈夫じゃなくなるから!
「貴様らの処遇は追って沙汰を下す! 厳しい処罰になることを覚悟せよ!」
そう言われたエレノアの取り巻きどもは、全員が魂の脱け殻状態になってしまった。
「さ、保健室に行こう。歩けるかい?」
ここで歩けないなんて言ったら、お姫さま抱っこされそうな雰囲気だったので、
「あ、歩けます!」
いやなんで殿下はちょっと残念って顔してんの!?
◇◇◇
その後、保健室で手当てを受けながら、これまでのことを洗いざらい話した。聞き終えた殿下は、
「どうしてもっと早く誰かに相談しなかったんだ!?」
そう言うので、私は順を追って説明した。まず第一に証拠が無いこと。廊下や食堂で足を引っ掛けるのは「わざとじゃない」と言われればそれまでだし。机の落書きや教科書、ノート破りに関しても誰がやったか分からない。
第二に相手が公爵令嬢であること。確たる証拠も無しに、平民の私が逆らっていい相手じゃない。ざまぁされて首チョンパされたくないし...最後のは省いて殿下に伝えると、
「良く分かった。あとは僕に任せて欲しい」
「は、はい、よろしくお願いします...」
「辛かったろう? 今まで良く頑張ったね。もう大丈夫だから安心して?」
「ひゃい!」
いきなり手を握らないで欲しい! 変な声出ちゃったじゃないか!
◇◇◇
殿下が言った通り、翌日から虐めはパッタリ止んだ。エレノアの取り巻きどもは退学になったらしい。今、エレノアの周りには誰も居ない。
「ひいっ!」
あ~ ビックリした! エレノアが人を殺せそうな目で睨み付けてくるんだもの! ビビッた! でも睨み付けるだけで何もして来ない。やっと平穏な日々が送れそうだ。
そう思っていた時期が私にもありました...
「わぷっ! 冷たっ!」
「オーッホホホッ! あらあら、汚ならしい平民さんは噴水がお風呂の代わりなのかしら? せいぜい良く洗ってキレイにすることね。オーッホホホッ」
私を噴水に突き落としたのは、騎士団長子息ルートの悪役令嬢であるカミラ侯爵令嬢だ。
今度はお前か! あと「オーッホホホッ」は流行ってんの!? そうしなきゃいけないルールでもあんの!?
意識が飛ばないように、気を引き締めながら見上げた先に居たのは、憤怒の表情を浮かべたマリク殿下だった。なんで殿下がこんな所に!?
そう思ったのは私だけじゃないみたいで、まず私の両腕を拘束していた二人が膝から崩れ落ち、ついで残りの三人もヘナヘナと腰砕けになってしまった。マリク殿下は私を、エレノアの取り巻きどもの中から解放し、
「集団で寄って集って一人を虐めるなど言語道断! 恥を知れ!」
そう言って私をそっと抱き締めた。
「大丈夫かい?」
「はいぃ!」
いや、耳元で囁かないで欲しい! 違う意味で大丈夫じゃなくなるから!
「貴様らの処遇は追って沙汰を下す! 厳しい処罰になることを覚悟せよ!」
そう言われたエレノアの取り巻きどもは、全員が魂の脱け殻状態になってしまった。
「さ、保健室に行こう。歩けるかい?」
ここで歩けないなんて言ったら、お姫さま抱っこされそうな雰囲気だったので、
「あ、歩けます!」
いやなんで殿下はちょっと残念って顔してんの!?
◇◇◇
その後、保健室で手当てを受けながら、これまでのことを洗いざらい話した。聞き終えた殿下は、
「どうしてもっと早く誰かに相談しなかったんだ!?」
そう言うので、私は順を追って説明した。まず第一に証拠が無いこと。廊下や食堂で足を引っ掛けるのは「わざとじゃない」と言われればそれまでだし。机の落書きや教科書、ノート破りに関しても誰がやったか分からない。
第二に相手が公爵令嬢であること。確たる証拠も無しに、平民の私が逆らっていい相手じゃない。ざまぁされて首チョンパされたくないし...最後のは省いて殿下に伝えると、
「良く分かった。あとは僕に任せて欲しい」
「は、はい、よろしくお願いします...」
「辛かったろう? 今まで良く頑張ったね。もう大丈夫だから安心して?」
「ひゃい!」
いきなり手を握らないで欲しい! 変な声出ちゃったじゃないか!
◇◇◇
殿下が言った通り、翌日から虐めはパッタリ止んだ。エレノアの取り巻きどもは退学になったらしい。今、エレノアの周りには誰も居ない。
「ひいっ!」
あ~ ビックリした! エレノアが人を殺せそうな目で睨み付けてくるんだもの! ビビッた! でも睨み付けるだけで何もして来ない。やっと平穏な日々が送れそうだ。
そう思っていた時期が私にもありました...
「わぷっ! 冷たっ!」
「オーッホホホッ! あらあら、汚ならしい平民さんは噴水がお風呂の代わりなのかしら? せいぜい良く洗ってキレイにすることね。オーッホホホッ」
私を噴水に突き落としたのは、騎士団長子息ルートの悪役令嬢であるカミラ侯爵令嬢だ。
今度はお前か! あと「オーッホホホッ」は流行ってんの!? そうしなきゃいけないルールでもあんの!?
60
あなたにおすすめの小説
絞首刑まっしぐらの『醜い悪役令嬢』が『美しい聖女』と呼ばれるようになるまでの24時間
夕景あき
ファンタジー
ガリガリに痩せて肌も髪もボロボロの『醜い悪役令嬢』と呼ばれたオリビアは、ある日婚約者であるトムス王子と義妹のアイラの会話を聞いてしまう。義妹はオリビアが放火犯だとトムス王子に訴え、トムス王子はそれを信じオリビアを明日の卒業パーティーで断罪して婚約破棄するという。
卒業パーティーまで、残り時間は24時間!!
果たしてオリビアは放火犯の冤罪で断罪され絞首刑となる運命から、逃れることが出来るのか!?
【完結】婚約者はお譲りします!転生悪役令嬢は世界を救いたい!
白雨 音
恋愛
公爵令嬢アラベラは、階段から転落した際、前世を思い出し、
この世界が、前世で好きだった乙女ゲームの世界に似ている事に気付いた。
自分に与えられた役は《悪役令嬢》、このままでは破滅だが、避ける事は出来ない。
ゲームのヒロインは、聖女となり世界を救う《予言》をするのだが、
それは、白竜への生贄として《アラベラ》を捧げる事だった___
「この世界を救う為、悪役令嬢に徹するわ!」と決めたアラベラは、
トゥルーエンドを目指し、ゲーム通りに進めようと、日々奮闘!
そんな彼女を見つめるのは…?
異世界転生:恋愛 (※婚約者の王子とは結ばれません) 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!
杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。
彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。
さあ、私どうしよう?
とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。
小説家になろう、カクヨムにも投稿中。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
転生したら、乙女ゲームの悪役令嬢だったので現実逃避を始めます
山見月あいまゆ
恋愛
私が前世を思い出したのは前世のことに興味を持った時だった
「えっ!前世って前の人生のことなの。私の前の人生はなんだろう?早く思い出したい」
そう思った時すべてを思い出した。
ここは乙女ゲームの世界
そして私は悪役令嬢セリーナ・グランチェスタ
私の人生の結末はハーッピーエンドなんて喜ばしいものじゃない
バットエンド処刑されて終わりなのだ
こんなことを思い出すなら前世を思い出したくなかった
さっき言ったこととは真逆のことを思うのだった…
悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
悪役令嬢、魔法使いになる
Na20
恋愛
前世で病弱だった私は死んだ。
私は死ぬ間際に願った。
もしも生まれ変われるのなら、健康で丈夫な身体がほしいと。それに魔法が使えたらいいのにと。
そしてその願いは叶えられた。
小説に登場する悪役令嬢として。
本来婚約者になる王子などこれっぽっちも興味はない。せっかく手に入れた二度目の人生。私は好きなように生きるのだ。
私、魔法使いになります!
※ご都合主義、設定ゆるいです
※小説家になろう様にも掲載しています
転生賢妻は最高のスパダリ辺境伯の愛を独占し、やがて王国を救う〜現代知識で悪女と王都の陰謀を打ち砕く溺愛新婚記〜
紅葉山参
恋愛
ブラック企業から辺境伯夫人アナスタシアとして転生した私は、愛する完璧な夫マクナル様と溺愛の新婚生活を送っていた。私は前世の「合理的常識」と「科学知識」を駆使し、元公爵令嬢ローナのあらゆる悪意を打ち破り、彼女を辺境の落ちぶれた貴族の元へ追放した。
第一の試練を乗り越えた辺境伯領は、私の導入した投資戦略とシンプルな経営手法により、瞬く間に王国一の経済力を確立する。この成功は、王都の中央貴族、特に王弟公爵とその腹心である奸猾な財務大臣の強烈な嫉妬と警戒を引き寄せる。彼らは、辺境伯領の富を「危険な独立勢力」と見なし、マクナル様を王都へ召喚し、アナスタシアを孤立させる第二の試練を仕掛けてきた。
夫が不在となる中、アナスタシアは辺境領の全ての重責を一人で背負うことになる。王都からの横暴な監査団の干渉、領地の資源を狙う裏切り者、そして辺境ならではの飢饉と疫病の発生。アナスタシアは「現代のインフラ技術」と「危機管理広報」を駆使し、夫の留守を完璧に守り抜くだけでなく、王都の監査団を論破し、辺境領の半独立的な経済圏を確立する。
第三の試練として、隣国との緊張が高まり、王国全体が未曽有の財政危機に瀕する。マクナル様は王国の窮地を救うため王都へ戻るが、保守派の貴族に阻まれ無力化される。この時、アナスタシアは辺境伯夫人として王都へ乗り込むことを決意する。彼女は前世の「国家予算の再建理論」や「国際金融の知識」を武器に、王国の経済再建計画を提案する。
最終的に、アナスタシアとマクナル様は、王国の腐敗した権力構造と対峙し、愛と知恵、そして辺境の強大な経済力を背景に、全ての敵対勢力を打ち砕く。王国の危機を救った二人は、辺境伯としての地位を王国の基盤として確立し、二人の愛の結晶と共に、永遠に続く溺愛と繁栄の歴史を築き上げる。 予定です……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる