我が家の乗っ取りを企む婚約者とその幼馴染みに鉄槌を下します!

真理亜

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「う、うん...」

 どのくらい気を失っていたんだろう? 一瞬だったような気するし、結構長いこと気を失っていたような気もする。

 私は怒鳴り声や剣戟などの喧騒で目を覚ました。だが自分の置かれている状況をすぐには把握できなかった。なにやら温かくて柔らかいものに体を包まれているということだけは分かる。

 そしてどうやら横倒しになっているらしいことも分かった。ただなにせ視界が真っ暗なので、それ以上のことは良く分からない。

 ちょっと身動きしてみた。すると少しだけ体の自由が利いた。なんだか頭の辺りがヌメッとしている。なんだこれ? 気持ち悪いな?

 ゆっくりと手足を動かしてみる。足は少し動く。手はなにかで固定されてるようでほとんど動かない。困ったなこりゃ...
 
 私はジタバタと抗ってみた。するとまるで力が抜けたかのように、私を包んでいた柔らかいものが横にスライドした。

 ようやく視界が開けた私は現状を理解して愕然とした。馬車が横倒しになっている。見上げた天井からは青空が覗いていた。窓ガラスは粉々に砕けたらしい。

 ヨロヨロと体を起こした私は、今まで私を包んでいたものの正体に気付いて思わず叫び声を上げていた。

「あぁっ! なんてこと! アラン! しっかりして! アラン!」

 アランだった。咄嗟に私を抱き締めて庇ってくれたのだろう。グッタリとして動かないアランの頭部が血に染まっている。

 そこで私は頭のヌメりの原因に気付いた。手で触れてみると血でベットリしている。私の血じゃない。どこも痛くないし。これはアランの血だ。こんな大怪我を負いながら私を庇ってくれたのか。

 一瞬で目頭が熱くなった私だったが、すぐにそんな場合じゃないと頭を切り替えた。アランの脈を取ってみる。弱々しいが脈はしっかりある。 

 少しホッとした私は、頭部の外傷に触れようとして止めた。頭を打っているなら動かさない方が良いかも知れない。

 私は助けを呼ぼうと思って外の状況をそっと伺った。先程から怒鳴り声や剣戟の音は絶え間なく聞こえている。

「カイル...セバスチャン...」

 二人は大勢の破落戸どもに囲まれていた。どうやらこの馬車を待ち伏せしていたらしい。二人とも頭から体中のあちこちから血を流しながら、懸命に破落戸どもと対峙している。

 私はこんな時に力になれない自分がもどかしかった。エリザベートみたいな剣の腕が私にあれば...

「アンリエット~!」

 そんなことを考えていたら、当の本人の声が聞こえて来た。

 えっ!? なんで!?
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