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闘いを求める声
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その後、ジャンゴさんと契約魔法を交わし、秘密を守ってもらうように伝えた。バステンさんにも同じように交わすらしい。
いやー、よかったよかった。とりあえず一人優秀そうな人材を確保できたぞ。彼はいったんジャンゴさんの方で世話をして、体力が回復次第僕に引き渡してくれるらしい。値段もほぼ無料みたいなものだ。
「では、今後は傷病奴隷を中心に集めれば宜しいですね?」
「ええ、お願いします」
僕の浄火スキルを知ったジャンゴさんの食いつきっぷりはすごかった。とりあえず、有能だけど病気などで実力を発揮できない人材を積極的に集めてもらうように頼んだ。ジャンゴさんは安く仕入れた商品を高値で売り、僕は市場より安値でハイスキル人材を確保できる。うーん、悪魔だな。たぶん人の道はずれているんだろうなぁ……。
あとは契約を紙にまとめて資料にしてもらうのを待つだけか。ゴドーさんの奥さんの浄火、これなら早くできそうだな。よかった。
契約を紙にまとめてもらっている間、ジャンゴさんと世間話をする。流石、商人なだけあって話題が豊富だ。フレイムベアの毛皮の噂についても当然知っていたし、卸した人物についてなんとなく心当たりがあります、と探りを入れられた。いやぁ、やっぱり本職は違うね。シルビアも本気出せばこのくらいできるのかな。いや、難しいか。ポテンシャルはあっても、ジャンゴさんには経験がある。才覚については、言うまでもないだろう。
ショタ奴隷が用意してくれたお菓子とお茶を摘まむ。うまいなこれ。僕もプリンとか作るべきなんだろうか。でも、残念ながら作り方を知らない。お菓子の作り方なんて普通知らないよ。まぁ、自分で試すくらいはやってみるか。
「そう言えば、少し気になったんですが。バステンさんは重症化している割に手厚く看護されているように見えましたが、ジャンゴさんの知り合いだったんですか?」
「ああ、それはですね」
雑談の合間に、ふと、気になっていたことを訊いてみた。僕の勝手なイメージなんだけど、助かる見込みの無い、奴隷をずっと看病するのってどうも奴隷商人らしくないな、と思っていた。こういう言い方は嫌なんだけど、固定費がかかり続ける在庫ってことなんだよね。商人として、真っ先に切り捨てるものだと思っていた。
「以前、当商会は大変有能な用心棒を雇っている、と言った件を覚えていますか?」
「あー、はい。うっすらとですが」
ああ、そう言えばそんな話をちらっとした気がする。確かそれが強みだ、とか言っていたね。デイライトの近隣は盗賊とかモンスターがいるから物騒で、人を輸送しなくてはいけない奴隷商人にとっては、一番気を遣わなきゃいけない。だったかな? でもジャンゴさんは、その用心棒のおかげでリスクをかなり低減できるって話だったはずだ。
「その用心棒が奴隷輸送の道中で、どうやら拾ったらしいのです。あの奴隷……バステンは無一文の上ぼろぼろの状態でモンスターを切り伏せ、彷徨っていたそうです。その腕を見込んで、現地で雇い入れたようでして。しかし、ご存じの通り途中で病に倒れました。あまりにも苦しむものですから、途中で『止めを刺してやったらどうか』と言ったんですが、『最後まで足掻けば何か変わるかもしれない』と用心棒に言われ、まだ話すことのできたバステンも了承した上で、奴隷として契約を交わし、ここまで連れてきた次第です。治療代も用心棒が出しているんですよ」
バステンさん、そういう経緯だったのね。その用心棒、めっちゃいいやつだな。
ただ、気になる点が一つ。
「え、用心棒が雇ったって。ジャンゴさんは関知していないんですか?」
自分の商隊なんでしょ? そんな勝手な事させていいのかな。
「その用心棒には全幅の信頼を置いております。私なんぞ、旅の上ではただの大きな荷物に過ぎませんから。仕入れで各国を旅する時は、彼女の判断に全て従っていますよ」
ブルンブルン、とたるんだ顎肉を揺らてし答えた。同じ肉でも、マイアの肉とは有り難さに天と地ほどの差がある。
用心棒って、たぶん従業員だよね? 自分より立場が下の人間の言うことを素直に聞いて、全権を与えているあたり、ジャンゴさんの有能さが際立つな。プロに任せて後ろでどっしり構えるのってけっこう難しいと思うよ? 基本的に上に立つ管理者って、自分で何でも管理したがって、すべてをコントロールしないと不安で夜も寝られないって人種が多いからな。だから組織の力を活かせないで、いろんな場所で管理者の命令と許可が必要になって機能不全に陥る、なんてよくある話だ。だからジャンゴさんみたいに、自分の仕事領域とそれ以外をきっちり線引きできている、つまり管理者が職能分化を理解している組織って強いんじゃないかな。うーん、投資ってこういう組織にすべきなんだろうな。めちゃくちゃためになる。
「ん? 『彼女』ですか?」
「ええ、そうですよ。ああ、そう言えば特に話していませんでしたね。当商会の女用心棒ニステルは元闘奴です。遠い西方の国のコロシアムで名を馳せた伝説的チャンピオンなんですよ」
はー、女用心棒で元闘奴か。しかもチャンピオンときたか。めっちゃ強そうやん。こってり搾られたいね。あと、コロシアムなんてあるのね。あらやだ野蛮。
「へー、チャンピオンですか。やはりお強いので?」
「それはもう。彼女が属していたコロシアムは『人魔混合型』と言って、人対魔獣の組み合わせが盛んだったコロシアムです。さらに一対多、多対一の形式でしたから。派手な闘いは観客を魅了し、一大産業になっています。その中で長年チャンピオンをキープして、とうとう半ば形骸化していた『解放闘奴』の切符も手にしましたからね。かのコロシアムではいまだに彼女の伝説は語り継がれ、チャンピオンの席は永久欠番になっているようです。タネズ様もお強いと聞き及んでいますが、彼女ほどではないでしょう。冒険者のランクにはあまり詳しくないですが、ニステルはBランクに匹敵するそうですよ?」
Bランク! それはすごいな。今まで聞いた中で一番強そうな人だ。いや、獣人かな? わからないけど。
それにしても、ジャンゴさんめっちゃ楽しそうにしゃべるじゃん。意外と格闘技とか好きなのかな? だいぶ興奮している。少し前までの彼なら、顧客を暗に弱いなんて言わなかっただろうし。あ、別に全然不快じゃないよ? 僕が弱いのは事実だし。
「当商会には他商会を上回る強みをいくつも持っているつもりですが、一番は彼女の存在です。有り難いことに後継の育成も率先してやってくれています。おかげで商隊の輸送力は例年上昇しています。いやはや、頭が上がりません」
それはすごいな。なんでそんなスーパー人材がジャンゴさんのところにいるのか気になるけど。どうやって知り合ったんだろう。やっぱコネかな?
「素晴らしい人材ですね。それだけの人材を雇い続けるのは大変でしょう」
「それが……毎年多額の報酬を提示するのですが『そんなものはいらない』と突っぱねられてしまうんですよ。いくらかの生活費は受け取ってくれるんですが。それだけです」
ジャンゴさんが苦笑気味に言う。
ふーん、どうしてだろう。誇り高いから、かな? ちょっと違う気もする。
「信念のある方のようですね?」
「そのようです。どうやら目的があるみたいなんですが。教えてくれません。私としてはその目的を叶えてやっていつまでもここにいて欲しいのですが……。この前、『全部アタシが好きでやっていることだから、過度な報酬はいらないね。いざ出て行くっていう時に、金で縛られたくないんだ』と言われましたよ。いやはや、根っからの自由人とは扱いにくものです。気が気でありません」
根っからの自由人か。かっこいいな。そういう人物には憧れる。自分の腕っぷしで道を切り開いて、闘奴の身から自由人へ……。うん、ロマンだな。そりゃ人気出るよ。活躍を描いた本でも出されてそうだ。
「旦那様、資料の準備が完了しました」
おっちゃん奴隷が分厚い資料の束を持ってきた。そんな新人OLみたいな資料の持ち方しないでくれ。
「うむ、うむ」
ジャンゴさんは機嫌良さそうにおっちゃん奴隷の尻を揉みしだく。おげぇ、これさえなければほぼ完ぺきなんだけどな。
「それでは、タネズ様。こちらお受け取り下さい」
「確かに受け取りました」
内容はチラ見しただけだけど大丈夫だろう。あとでシルビア辺りにでも確認してもらおう。
ジャンゴさんたち送られ、商館を出ようとすると急にサンドリアから契約者チャンネルで話しかけられた。
『ケイ、どうする? 誘われてるよ?』
ワッツ? 誰に? 美人のお姉さん? おっちゃん奴隷は勘弁な。
『どういうこと?』
『え、えっと……さっきの地下室から『闘い』を求める気配がする』
なにその少年漫画みたいなふわっとした回答。そういうのはベステルタがやるもんだと思っていたけど。
『ごめん、サンドリアもそういうの分かるの?』
『わ、分かるよ。ベス姉さんほどじゃないけど、あたしも一応亜人だし、そういう気配には人間よりずっと敏感だよ……』
た、たしかに暴走サンドリアの闘志たるや凄まじかったからな。
しょんぼりしてしまった。あかん。
『ご、ごめんね。サンドリアって僕の中では、妹みたいな位置づけだから、そういう印象無かったんだよ』
『い、いもうと……。そ、それなら仕方ないのかな?』
えへへ、とはにかむ雰囲気が伝わる。あぶねえ。サンドリア泣かしたらお姉様方に何されるか分かったもんじゃない。ていうかベス姉さんって呼ぶようになったのね。尊い。
正直『闘いを求める気配』とかやり過ごしたくてたまらないんだけどなぁ。
でも、アセンブラのこともあるし、不確定要素は排除しておきたい。一応行ってみるか……。気が乗らないけど。フランチェスカを出せるようにしておこう。
「タネズ様、どちらへ?」
急に方向を変えた僕をいぶかしむようにジャンゴさんが言う。
「……きょ、強者が僕を呼んでいます」
苦し紛れに言葉を捻り出した僕を、おっちゃん奴隷がものすごく怪しそうに見てくるのが印象的だった。たぶん、今日一日でおっちゃん奴隷にだいぶ不信感持たれたよなぁ。
いやー、よかったよかった。とりあえず一人優秀そうな人材を確保できたぞ。彼はいったんジャンゴさんの方で世話をして、体力が回復次第僕に引き渡してくれるらしい。値段もほぼ無料みたいなものだ。
「では、今後は傷病奴隷を中心に集めれば宜しいですね?」
「ええ、お願いします」
僕の浄火スキルを知ったジャンゴさんの食いつきっぷりはすごかった。とりあえず、有能だけど病気などで実力を発揮できない人材を積極的に集めてもらうように頼んだ。ジャンゴさんは安く仕入れた商品を高値で売り、僕は市場より安値でハイスキル人材を確保できる。うーん、悪魔だな。たぶん人の道はずれているんだろうなぁ……。
あとは契約を紙にまとめて資料にしてもらうのを待つだけか。ゴドーさんの奥さんの浄火、これなら早くできそうだな。よかった。
契約を紙にまとめてもらっている間、ジャンゴさんと世間話をする。流石、商人なだけあって話題が豊富だ。フレイムベアの毛皮の噂についても当然知っていたし、卸した人物についてなんとなく心当たりがあります、と探りを入れられた。いやぁ、やっぱり本職は違うね。シルビアも本気出せばこのくらいできるのかな。いや、難しいか。ポテンシャルはあっても、ジャンゴさんには経験がある。才覚については、言うまでもないだろう。
ショタ奴隷が用意してくれたお菓子とお茶を摘まむ。うまいなこれ。僕もプリンとか作るべきなんだろうか。でも、残念ながら作り方を知らない。お菓子の作り方なんて普通知らないよ。まぁ、自分で試すくらいはやってみるか。
「そう言えば、少し気になったんですが。バステンさんは重症化している割に手厚く看護されているように見えましたが、ジャンゴさんの知り合いだったんですか?」
「ああ、それはですね」
雑談の合間に、ふと、気になっていたことを訊いてみた。僕の勝手なイメージなんだけど、助かる見込みの無い、奴隷をずっと看病するのってどうも奴隷商人らしくないな、と思っていた。こういう言い方は嫌なんだけど、固定費がかかり続ける在庫ってことなんだよね。商人として、真っ先に切り捨てるものだと思っていた。
「以前、当商会は大変有能な用心棒を雇っている、と言った件を覚えていますか?」
「あー、はい。うっすらとですが」
ああ、そう言えばそんな話をちらっとした気がする。確かそれが強みだ、とか言っていたね。デイライトの近隣は盗賊とかモンスターがいるから物騒で、人を輸送しなくてはいけない奴隷商人にとっては、一番気を遣わなきゃいけない。だったかな? でもジャンゴさんは、その用心棒のおかげでリスクをかなり低減できるって話だったはずだ。
「その用心棒が奴隷輸送の道中で、どうやら拾ったらしいのです。あの奴隷……バステンは無一文の上ぼろぼろの状態でモンスターを切り伏せ、彷徨っていたそうです。その腕を見込んで、現地で雇い入れたようでして。しかし、ご存じの通り途中で病に倒れました。あまりにも苦しむものですから、途中で『止めを刺してやったらどうか』と言ったんですが、『最後まで足掻けば何か変わるかもしれない』と用心棒に言われ、まだ話すことのできたバステンも了承した上で、奴隷として契約を交わし、ここまで連れてきた次第です。治療代も用心棒が出しているんですよ」
バステンさん、そういう経緯だったのね。その用心棒、めっちゃいいやつだな。
ただ、気になる点が一つ。
「え、用心棒が雇ったって。ジャンゴさんは関知していないんですか?」
自分の商隊なんでしょ? そんな勝手な事させていいのかな。
「その用心棒には全幅の信頼を置いております。私なんぞ、旅の上ではただの大きな荷物に過ぎませんから。仕入れで各国を旅する時は、彼女の判断に全て従っていますよ」
ブルンブルン、とたるんだ顎肉を揺らてし答えた。同じ肉でも、マイアの肉とは有り難さに天と地ほどの差がある。
用心棒って、たぶん従業員だよね? 自分より立場が下の人間の言うことを素直に聞いて、全権を与えているあたり、ジャンゴさんの有能さが際立つな。プロに任せて後ろでどっしり構えるのってけっこう難しいと思うよ? 基本的に上に立つ管理者って、自分で何でも管理したがって、すべてをコントロールしないと不安で夜も寝られないって人種が多いからな。だから組織の力を活かせないで、いろんな場所で管理者の命令と許可が必要になって機能不全に陥る、なんてよくある話だ。だからジャンゴさんみたいに、自分の仕事領域とそれ以外をきっちり線引きできている、つまり管理者が職能分化を理解している組織って強いんじゃないかな。うーん、投資ってこういう組織にすべきなんだろうな。めちゃくちゃためになる。
「ん? 『彼女』ですか?」
「ええ、そうですよ。ああ、そう言えば特に話していませんでしたね。当商会の女用心棒ニステルは元闘奴です。遠い西方の国のコロシアムで名を馳せた伝説的チャンピオンなんですよ」
はー、女用心棒で元闘奴か。しかもチャンピオンときたか。めっちゃ強そうやん。こってり搾られたいね。あと、コロシアムなんてあるのね。あらやだ野蛮。
「へー、チャンピオンですか。やはりお強いので?」
「それはもう。彼女が属していたコロシアムは『人魔混合型』と言って、人対魔獣の組み合わせが盛んだったコロシアムです。さらに一対多、多対一の形式でしたから。派手な闘いは観客を魅了し、一大産業になっています。その中で長年チャンピオンをキープして、とうとう半ば形骸化していた『解放闘奴』の切符も手にしましたからね。かのコロシアムではいまだに彼女の伝説は語り継がれ、チャンピオンの席は永久欠番になっているようです。タネズ様もお強いと聞き及んでいますが、彼女ほどではないでしょう。冒険者のランクにはあまり詳しくないですが、ニステルはBランクに匹敵するそうですよ?」
Bランク! それはすごいな。今まで聞いた中で一番強そうな人だ。いや、獣人かな? わからないけど。
それにしても、ジャンゴさんめっちゃ楽しそうにしゃべるじゃん。意外と格闘技とか好きなのかな? だいぶ興奮している。少し前までの彼なら、顧客を暗に弱いなんて言わなかっただろうし。あ、別に全然不快じゃないよ? 僕が弱いのは事実だし。
「当商会には他商会を上回る強みをいくつも持っているつもりですが、一番は彼女の存在です。有り難いことに後継の育成も率先してやってくれています。おかげで商隊の輸送力は例年上昇しています。いやはや、頭が上がりません」
それはすごいな。なんでそんなスーパー人材がジャンゴさんのところにいるのか気になるけど。どうやって知り合ったんだろう。やっぱコネかな?
「素晴らしい人材ですね。それだけの人材を雇い続けるのは大変でしょう」
「それが……毎年多額の報酬を提示するのですが『そんなものはいらない』と突っぱねられてしまうんですよ。いくらかの生活費は受け取ってくれるんですが。それだけです」
ジャンゴさんが苦笑気味に言う。
ふーん、どうしてだろう。誇り高いから、かな? ちょっと違う気もする。
「信念のある方のようですね?」
「そのようです。どうやら目的があるみたいなんですが。教えてくれません。私としてはその目的を叶えてやっていつまでもここにいて欲しいのですが……。この前、『全部アタシが好きでやっていることだから、過度な報酬はいらないね。いざ出て行くっていう時に、金で縛られたくないんだ』と言われましたよ。いやはや、根っからの自由人とは扱いにくものです。気が気でありません」
根っからの自由人か。かっこいいな。そういう人物には憧れる。自分の腕っぷしで道を切り開いて、闘奴の身から自由人へ……。うん、ロマンだな。そりゃ人気出るよ。活躍を描いた本でも出されてそうだ。
「旦那様、資料の準備が完了しました」
おっちゃん奴隷が分厚い資料の束を持ってきた。そんな新人OLみたいな資料の持ち方しないでくれ。
「うむ、うむ」
ジャンゴさんは機嫌良さそうにおっちゃん奴隷の尻を揉みしだく。おげぇ、これさえなければほぼ完ぺきなんだけどな。
「それでは、タネズ様。こちらお受け取り下さい」
「確かに受け取りました」
内容はチラ見しただけだけど大丈夫だろう。あとでシルビア辺りにでも確認してもらおう。
ジャンゴさんたち送られ、商館を出ようとすると急にサンドリアから契約者チャンネルで話しかけられた。
『ケイ、どうする? 誘われてるよ?』
ワッツ? 誰に? 美人のお姉さん? おっちゃん奴隷は勘弁な。
『どういうこと?』
『え、えっと……さっきの地下室から『闘い』を求める気配がする』
なにその少年漫画みたいなふわっとした回答。そういうのはベステルタがやるもんだと思っていたけど。
『ごめん、サンドリアもそういうの分かるの?』
『わ、分かるよ。ベス姉さんほどじゃないけど、あたしも一応亜人だし、そういう気配には人間よりずっと敏感だよ……』
た、たしかに暴走サンドリアの闘志たるや凄まじかったからな。
しょんぼりしてしまった。あかん。
『ご、ごめんね。サンドリアって僕の中では、妹みたいな位置づけだから、そういう印象無かったんだよ』
『い、いもうと……。そ、それなら仕方ないのかな?』
えへへ、とはにかむ雰囲気が伝わる。あぶねえ。サンドリア泣かしたらお姉様方に何されるか分かったもんじゃない。ていうかベス姉さんって呼ぶようになったのね。尊い。
正直『闘いを求める気配』とかやり過ごしたくてたまらないんだけどなぁ。
でも、アセンブラのこともあるし、不確定要素は排除しておきたい。一応行ってみるか……。気が乗らないけど。フランチェスカを出せるようにしておこう。
「タネズ様、どちらへ?」
急に方向を変えた僕をいぶかしむようにジャンゴさんが言う。
「……きょ、強者が僕を呼んでいます」
苦し紛れに言葉を捻り出した僕を、おっちゃん奴隷がものすごく怪しそうに見てくるのが印象的だった。たぶん、今日一日でおっちゃん奴隷にだいぶ不信感持たれたよなぁ。
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