風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-

Keitetsu003

文字の大きさ
91 / 544
六章

六話 伊藤ほのかの再戦 勝率0パーセントのリベンジ編 その一

しおりを挟む
「あぁ……あああああああああああああああああああああああああっ!」

 は、恥ずかしい! し、死ねる! マジ死ねる! 誰か介かいしゃくして! 今すぐ介錯してお願いぃいいいいいいい!
 私はベットの上でお気に入りのハートネット(テディベア)を抱いて足をバタバタしていた。
 先輩とキス、マウストゥマウス、接吻せっぷん、口づけ。何度も何度もしちゃった。
 途中で、先輩の祖母さんが来てくれなかったら……来なければ最後まで……ち、違う違うちがーーーーーう!
 思い出しただけで顔から火が出そうになる。

 先輩のキス、唇がふれたあのやわかい感触……先輩の吐息……獅子王先輩にされたキスなんかより、インパクトがあって、うわが……。
 な、何が、上書きしてください、よっ! ハズい! こんなの私のキャラじゃない! 知的なイメージが、キャラが音をたてて崩れていく。

 く、黒歴史だ……人生最大の汚点だわ! ターン○どこ! 月○蝶で全てなかったことにしてよ!
 心頭滅却しんとうめっきゃくよ、ほのか。
 何も考えないよう、心を落ち着かせて、瞼を閉じると、ふいにキスシーンをおもいだ……。

 いやぁああああああああああああああああああああああああああああ!

 セーブポイントはどこ! ロードさせて! ボス戦の前には必ずあるでしょ!

「姉ちゃん、うる……ぼが!」
うるさい! 消えろ! 部屋に勝手に入ってくるな!」

 ハートネットを剛に叩きつけ、布団を頭からかぶる。
 お願い……お願いだから、記憶を消して……マインドア○シンで消し去って……。



 あ、足が重い。
 ストレスでマジヤバいかも。登校するのがとてもつらい……。
 さわやかな朝なのに、気分はとても憂鬱ゆううつ……。
 私の華麗なる輝かしいキラキラな女子高生ライフはどこにいったの? ライフがつきかけてるんですけど?
 グレードのランクが1段階以上アップすれば回復するのかな? それは知恵袋か。

 辛い……。
 このことは、絶対に誰にも知られてはいけない。墓の中まで持っていくのよ、ほのか。
 慎重に行動しないと。慎重に、慎重に。



 お昼休み。

「ほのほの、先輩とヤっちゃったの?」
「ぶぶほっ!」

 私は飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
 明日香たちとお昼を食べていたら、急にるりかが話を振ってきた。明日香も慣れているのか、私の吹き出したお茶をお盆でガードしている。
 るりか、お茶を飲んているときに話しかけてくるなんて、絶対に狙ってるよね。

「なななななな、何の事?」
「ほのか、足震えてるし、声裏返ってるし、手が震えてるし……」

 無理! 冷静でいるなんて無理!
 私の持っていたマグカップがかたかたと震えている。

「え、ウソ、マジで!」
「……黙秘権もくひけん行使こうしします」
「ほのか、ここは裁判所じゃないし、黙秘権なんて認められないし」

 私の権利はどこにあるの?
 ここ日本だよね? 日本国憲法知らないの? 憲法三十八条一項知らないの?
 こうなったら、三十六計……。

「逃がさないし」
「はいはい、本当は話したいんだよね? 分かってますって!」

 明日香に右手を、るりかに左手を同時に捕まれた。
 逃げられない!

「で、何があったし?」
「ナニモナイヨ?」

 ナニモナイナニモナイナニモナイナニモナイナニモナイナニモナイ。
 ゼッタイニハナシテハナラナイ。

「水臭いよ、ほのほの。教えてくれたら、お赤飯、用意したのに」
「るりかは私のおかんか!」

 お赤飯って、センスが昭和だよね?
 でも、出されたら美味しくいただくけどね!

「ほのかのお腹には藤堂先輩の子が出来たし。生命の神秘だし」

 藤堂先輩の子? 生命の神秘?
 なにそれ?

「何言ってるの、明日香?」
「だから、セックスしたし?」

 明日香が親指を中指と人差し指の間にいれて尋ねてきた。
 セッ! セセセセセ……。

「な、ななななななに言ってんの言っちゃってるの! そんなわけないし! 私、処女だし!」

 食堂が静まり返っていることに気づき、私は何をしでかしたのか、理解してしまった。
 あ、ああああああああああああああ!
 わた、わた、私、なんてことを!

「おいおい、聞いたか?」
「処女だってよ」
「ごくり」
「信じられん」
「ブラフでしょ? ヤリマンのくせにカマトトぶってんじゃねーよ」

 あまりの失態に頭を抱えてしまう。
 黒歴史だ……また、消せない汚点がうまれてしまった。なんで歴史は繰り返されるの!
 ター○Xはどこ! おにーさんが役立たずだからこんなことに……。
 消えたい……今すぐこの場から消え去りたい。後、ヤリマンって言った女、必ず地獄をみせてやる。

「まあまあ、気にするなし」
「生きてればいいことあるよ」
「あんたらのせいでしょうが!」

 なんなのよ、もう!
 そっとしておいてよ! でも、慰めてよ!
 机にうつ伏せになっている私にるりかが優しく頭を撫でてくれる。明日香が私に優しく話しかけてきた。

「ならキスしたし?」

 ビクッ!

「したんだ」
「……」
「ちっ、ビッチめ」
「ビッチ言うな!」

 え、今、舌打ちしたよね? なんで?

「落ち込んでたと思ったら、男とキスするとか何考えてるし」
「彼氏でもないのに」

 ええええっ! ここ、責められるところ? 祝福してくれるところだよね?
 それが友達ってもんだよね?
 私達、友達だよね?

「つまんないし。女の友情より男だし」
「ビッチだよね」
「おたくらに言われたくないわ!」

 何股してるのよ、あんたたちは!
 女の友情よりも彼氏のデート優先してきたくせに!

「うそうそ、冗談だし」
「私は冗談じゃないけどね」
「うわああああああん」
「うそうそ! 冗談だから!」

 本当に泣けてきた。
 一杯一杯なのに! 私のメンタル、湯豆腐並なの!
 頭にぶつけても、逆にこっちがつぶれちゃうレベルなの!
 二人になぐさめてもらい、なんとか立て直した私に待っていたのは、非情な現実だった。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる

ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。 幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。 幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。 関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】16わたしも愛人を作ります。

華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、 惨めで生きているのが疲れたマリカ。 第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...