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「くそっ!こう密集してちゃ、攻撃魔法は使えねぇぞ!」
ナイフを振り回す淑女の人形に、クインズベリー軍は完全にかき回されてしまい、統率がとれずに後手後手の対応を余儀なくされていた。
ミゼルは火球や刺氷弾で応戦しようとするが、やみくもに剣を振るう兵や、人形から逃れようとする兵隊が魔法の軌道上に入り、とても応戦できる状態ではなかった。
「ミッチー、こいつは俺に任せろ!お前は兵達のフォローを頼む!これ以上犠牲者を出さないように守ってやってくれ!」
魔法を撃とうにも撃てない、魔法使いとして非常に戦い難い場を作られたミゼルに、ジャレットは前に出て指示を飛ばした。
「くそ人形がっ!やっと分かったぜ。あれだけ小さけりゃ、ユーリンのローブの中にだってもぐりこめる。そうやって刺したってわけか・・・ふざけやがってぇぇぇぇーーーーッツ!」
右手に握るのは刃の無い剣の柄。だがジャレットの闘志が膨れ上がると、それに呼応するように柄から黄金に輝くエネルギーが放出され、それは刃を形作った。
体力を闘気の剣に変える魔道具、オーラブレード。今ジャレットが放出しているエネルギーは、かつて四勇士のレオ・アフマダリエフと戦った時よりも、はるかに強い力に満ち溢れていた。
素早い動きで兵士達をかく乱しつつ、ナイフを振り回して一人、また一人と殺傷していく淑女の人形に、ジャレットが飛びかかる!
「オラァァァァァーーーーーーッツ!」
それは背後からの攻撃であり、人形が一人の兵士に向かって、ナイフを振り上げた瞬間でもあった。
攻撃の動作に入っている以上、ジャレットの攻撃はそう簡単に躱せるはずはない。躱せるはずがないのだ。
だが・・・・・
「なにっ!?」
人形の頭に振り下ろしたオーラブレードは空を切った。人形はジャレットに背中を向けたまま、剣が触れないギリギリの間隔で体を横にずらし、完璧なタイミングと間合いでオーラブレードを躱してみせた。
まるで後ろが見えているかのような動きで躱した人形に、ジャレットは意表を突かれて次の動作に遅れが生じてしまった。
「しまっ・・・!?」
その結果、反撃に移った人形がジャレットの先を取り、一瞬にしてジャレットの顔前にまで距離を詰めた。そして右手に持つナイフを、ジャレットの右目に向けて真っすぐに突き出した!
「好き勝手やってんじゃないよ」
もうあと一センチで、ジャレットの右目に刃先が触れようとしたその時、人形の後ろから横一線に振られた長物の刃が、人形の横っ面にめり込みそして弾き飛ばした。
「ッ!?」
長物を振るったアゲハは、その手に伝わった予想外の衝撃に眉をひそめた。
・・・硬い!?
アゲハのイメージでは、薙刀の刃で人形の顔面を真っ二つにできるはずだった。
だが実際にアゲハの両手に伝わってきたものは、物体を斬り裂く事とは程遠い、まるで鉄の塊でも打ち付けたかのような硬く重い手応えだった。
「・・・チッ、これは予想外だ・・・ジャレット、あの人形めちゃくちゃ硬いよ」
得物を肩にかけながら、アゲハはかすかに震える両手に目を落として舌を打った。
「悪い、助かったぜアーちゃん・・・手、どうした?」
「ああ、まさかあんなに硬いなんて思わなかったから、握りが少しあまかったようだ。無理やりぶっ飛ばしたからちょっと痺れちまったよ。」
「・・・お互い、あの人形に対する認識を改める必要があるようだな。俺もあそこまで速いと思わなかった。それに後ろが見えてるような反応をしやがる。アーちゃん、あれも魔道具だろ?なにか知らねぇか?」
ミゼルが目を向けると、アゲハは思い当たる節があるらしく、ジャレットに視線を返して口を開いた。
「あれはおそらく、淑女の人形だ。私が帝国にいた頃、宝物庫で見た事がある。だがあれはただの高価な人形で、魔道具ではないと言われていたんだが・・・・・どうやら私が抜けた後で、使いこなせる者が現れたようだな」
忌々しそうに話すアゲハを横目に、ジャレットは前方に顎を向けた。
「なるほどねぇ・・・ところでアーちゃん、その人形さんだけどどうやらお怒りのようだぜ」
ジャレットの指し示す方に目を向けると、兵達が道を開けるように左右に分かれていた。
そしてその間をゆらゆらと宙に浮く血まみれの人形が、ゆっくりとこちらに向かって来ていた。
「・・・はぁ、マジかよ?硬いとは思ったけど、ほとんどダメージないんじゃない?」
「そのようだな。アーちゃん、こりゃ持久戦になりそうだ。気合入れてけよ」
宙に浮く血まみれの人形を目にし、兵達がざわめき出すが、ジャレットとアゲハは周囲の声など聞こえていないかのように、決して淑女の人形から目を離す事はしなかった。
そして淑女の人形は二人の決意を感じ取ったのか、正面まで来るとピタリと動きを止めた。
「ちっ、正体が分かるとすげぇ嫌な圧をかけてくるな?まぁ俺のオーラブレードでぶっ壊してやるよ」
「血まみれだけど、綺麗な顔してんじゃん?私の攻撃じゃ倒せないようだけど、風の精霊はどうかな?」
ジャレットはオーラブレードを、アゲハは薙刀を、二人はそれぞれの武器を持ち構え、その刃先を人形に向けて宣言した。
「お前なんかに負けはしない!さぁかかって来い!」
ナイフを振り回す淑女の人形に、クインズベリー軍は完全にかき回されてしまい、統率がとれずに後手後手の対応を余儀なくされていた。
ミゼルは火球や刺氷弾で応戦しようとするが、やみくもに剣を振るう兵や、人形から逃れようとする兵隊が魔法の軌道上に入り、とても応戦できる状態ではなかった。
「ミッチー、こいつは俺に任せろ!お前は兵達のフォローを頼む!これ以上犠牲者を出さないように守ってやってくれ!」
魔法を撃とうにも撃てない、魔法使いとして非常に戦い難い場を作られたミゼルに、ジャレットは前に出て指示を飛ばした。
「くそ人形がっ!やっと分かったぜ。あれだけ小さけりゃ、ユーリンのローブの中にだってもぐりこめる。そうやって刺したってわけか・・・ふざけやがってぇぇぇぇーーーーッツ!」
右手に握るのは刃の無い剣の柄。だがジャレットの闘志が膨れ上がると、それに呼応するように柄から黄金に輝くエネルギーが放出され、それは刃を形作った。
体力を闘気の剣に変える魔道具、オーラブレード。今ジャレットが放出しているエネルギーは、かつて四勇士のレオ・アフマダリエフと戦った時よりも、はるかに強い力に満ち溢れていた。
素早い動きで兵士達をかく乱しつつ、ナイフを振り回して一人、また一人と殺傷していく淑女の人形に、ジャレットが飛びかかる!
「オラァァァァァーーーーーーッツ!」
それは背後からの攻撃であり、人形が一人の兵士に向かって、ナイフを振り上げた瞬間でもあった。
攻撃の動作に入っている以上、ジャレットの攻撃はそう簡単に躱せるはずはない。躱せるはずがないのだ。
だが・・・・・
「なにっ!?」
人形の頭に振り下ろしたオーラブレードは空を切った。人形はジャレットに背中を向けたまま、剣が触れないギリギリの間隔で体を横にずらし、完璧なタイミングと間合いでオーラブレードを躱してみせた。
まるで後ろが見えているかのような動きで躱した人形に、ジャレットは意表を突かれて次の動作に遅れが生じてしまった。
「しまっ・・・!?」
その結果、反撃に移った人形がジャレットの先を取り、一瞬にしてジャレットの顔前にまで距離を詰めた。そして右手に持つナイフを、ジャレットの右目に向けて真っすぐに突き出した!
「好き勝手やってんじゃないよ」
もうあと一センチで、ジャレットの右目に刃先が触れようとしたその時、人形の後ろから横一線に振られた長物の刃が、人形の横っ面にめり込みそして弾き飛ばした。
「ッ!?」
長物を振るったアゲハは、その手に伝わった予想外の衝撃に眉をひそめた。
・・・硬い!?
アゲハのイメージでは、薙刀の刃で人形の顔面を真っ二つにできるはずだった。
だが実際にアゲハの両手に伝わってきたものは、物体を斬り裂く事とは程遠い、まるで鉄の塊でも打ち付けたかのような硬く重い手応えだった。
「・・・チッ、これは予想外だ・・・ジャレット、あの人形めちゃくちゃ硬いよ」
得物を肩にかけながら、アゲハはかすかに震える両手に目を落として舌を打った。
「悪い、助かったぜアーちゃん・・・手、どうした?」
「ああ、まさかあんなに硬いなんて思わなかったから、握りが少しあまかったようだ。無理やりぶっ飛ばしたからちょっと痺れちまったよ。」
「・・・お互い、あの人形に対する認識を改める必要があるようだな。俺もあそこまで速いと思わなかった。それに後ろが見えてるような反応をしやがる。アーちゃん、あれも魔道具だろ?なにか知らねぇか?」
ミゼルが目を向けると、アゲハは思い当たる節があるらしく、ジャレットに視線を返して口を開いた。
「あれはおそらく、淑女の人形だ。私が帝国にいた頃、宝物庫で見た事がある。だがあれはただの高価な人形で、魔道具ではないと言われていたんだが・・・・・どうやら私が抜けた後で、使いこなせる者が現れたようだな」
忌々しそうに話すアゲハを横目に、ジャレットは前方に顎を向けた。
「なるほどねぇ・・・ところでアーちゃん、その人形さんだけどどうやらお怒りのようだぜ」
ジャレットの指し示す方に目を向けると、兵達が道を開けるように左右に分かれていた。
そしてその間をゆらゆらと宙に浮く血まみれの人形が、ゆっくりとこちらに向かって来ていた。
「・・・はぁ、マジかよ?硬いとは思ったけど、ほとんどダメージないんじゃない?」
「そのようだな。アーちゃん、こりゃ持久戦になりそうだ。気合入れてけよ」
宙に浮く血まみれの人形を目にし、兵達がざわめき出すが、ジャレットとアゲハは周囲の声など聞こえていないかのように、決して淑女の人形から目を離す事はしなかった。
そして淑女の人形は二人の決意を感じ取ったのか、正面まで来るとピタリと動きを止めた。
「ちっ、正体が分かるとすげぇ嫌な圧をかけてくるな?まぁ俺のオーラブレードでぶっ壊してやるよ」
「血まみれだけど、綺麗な顔してんじゃん?私の攻撃じゃ倒せないようだけど、風の精霊はどうかな?」
ジャレットはオーラブレードを、アゲハは薙刀を、二人はそれぞれの武器を持ち構え、その刃先を人形に向けて宣言した。
「お前なんかに負けはしない!さぁかかって来い!」
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