1,227 / 1,560
1226 激突
しおりを挟む
「ア、ラ・・・タ・・・っ!」
地面に倒れ伏しているレイチェルは、その強烈な重圧によって言葉を発する事はできなかった。
最初に受けたモノよりもはるかに重い。指先を動かす事さえできない程のとてつもない威力だった。
しかしレイチェルは見た。僅かに開いた瞼から、光を纏う黒髪の男を。
ハビエルのこのとてつもない闇に呑まれず、真向から対峙している。
キミってヤツは・・・待ってろと言ったのに・・・
だけどこいつの闇に打ち勝つには、アラタ、キミの光しかないだろう。
いけアラタ!キミの力を見せてやれ!
レイチェルはこの場に駆けつけた、光の力を持つ仲間に全てを託して祈った。
「・・・その闇を見れば分かる。お前を倒せば全て解決ってわけだな」
一人言のように呟くと、アラタは右足を一歩後ろへ引き、左足を前に出した。
両の拳は軽く握り、右拳は目線の高さで、左拳はやや前に出して構える。
目の前にいる男は左の肩から先を喪失している。傷口からはおびただしい量の出血をしており、身に纏う深紅のローブもボロボロに切り刻まれている。深刻なダメージを抱えている事は一目で分かった。
おそらくさっきのあの攻撃だ。
距離はあったがハッキリと見えた。風の上級魔法、トルネード・バーストに似ているがまるで別物だった。
離れていても、ものすごい冷気が肌に刺さったし、風に混じった氷で肌が切られそうになった、
向かい合うこの男の、その背中に広がる抉られた大地、なぎ倒された樹々、破壊された家屋を見れば、あれがどれほどの破壊力だったのかは十分に想像できる。
あれは風魔法と氷魔法を合わせたんだ、合成魔法・・・ミゼルさんは完成させていたんだ。
しかしどれだけダメージを負っていても、この男はレイチェル達をまとめて倒した強敵である。
もっと慎重に挑まなければならないはずだ。だが不思議と気負いは無く、平常心のまま向かい合う事ができた。
これはきっと、今も自分を護ってくれているこの光のおかげなのだろう。
戦いには相性がある。
体術だけならば自分はレイチェルには適わない。百回やって百回負けるだろう。
しかし相手が闇であるならば、他の誰よりも自分が最適である。
「・・・貴様、俺の闇を恐れていないようだな?その光・・・そうか、それが闇に対抗できる理由か?赤毛の女も似たような光を出していたが、性質はずいぶん異なるようだな?」
ハビエル・フェルトゥザは、レイチェル達へ止めは刺さずに、目の前で光を纏う男、サカキアラタに向き直った。
ハビエルもまた感じ取っていた。
この光を纏った男こそ、この戦いにおける最大の敵であると。
この体から発している闇は、同じ空間にいるだけでも少なくないプレッシャーを与えるものだが、この光を纏う男にはまるで影響が見られない。間違いなくこの光の力によるものだろう。
「レイチェルの闘気の事か?似ているが違う。俺の力は光、闇を倒すための力だ」
そう答えると、アラタの体から発せられる光が力強さを増した。
それは周囲を取り囲む闇を吹き飛ばす程に強く、暗闇に包まれていた空間を大きく照らし出す。
「お前は俺が倒す」
確固たる意志をその目に宿し、アラタの闘志が燃え上がった。
アラタの光によって、その体から発する闇が押され出す。
このまま光が大きくなれば、村を覆う闇さえ吹き飛ばしてしまうだろう。真正面から自分に対抗する力をぶつけてくる男に、ハビエルの表情が変わった。
「・・・なるほど、闇を倒す力と言うだけの事はある。貴様の光には確かに闇を払う力があるようだ。だがな、逆もまた然(しか)りだぞ」
左肩の傷口を押さえる右手を離すと、ハビエルは拳を握り締め、天に向かって叫び声を上げた。
「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーッツ!」
腹の奥底から怒りも憎しみも何もかも、全てを吐き出すような絶叫とともに、内に宿した膨大なる闇が解き放たれる。
光りが闇を払うのならば、闇が光を呑み込む事も然り。
アラタの光が闇を吹き飛ばさんと押していたが、再び闇が光を覆い始める。
「ッ!こ、この圧力は!?」
想像していた以上の闇の圧に、アラタは思わず後ずさりしそうになった。
少しでも気を抜くと、一気に飲み込まれてしまいそうだ。
これほどの闇なら、レイチェル達が倒されてしまった事も無理はないだろう。
光の力を持たない人間が、闇に抗う術はないのだから。
「これでも耐えるか!面白い!まさかここまで闇に抗える人間がいたとはな!俺達の戦いは今日ここで貴様を潰すためにあったようだ!俺達の名誉のために、俺達の勝利のためにその光を消してやるぞ!」
「ぐぅっ!お、俺は負けない!闇に世界を支配なんて絶対にさせない!仲間達のためにも、この世界に光を取り戻すためにも、お前の闇を消してやる!」
せめぎ合う光と闇の中で、アラタもハビエルも理解した。
ここで全てが決まると・・・
長かったこの戦いに、ついに決着の時が来た。
地面に倒れ伏しているレイチェルは、その強烈な重圧によって言葉を発する事はできなかった。
最初に受けたモノよりもはるかに重い。指先を動かす事さえできない程のとてつもない威力だった。
しかしレイチェルは見た。僅かに開いた瞼から、光を纏う黒髪の男を。
ハビエルのこのとてつもない闇に呑まれず、真向から対峙している。
キミってヤツは・・・待ってろと言ったのに・・・
だけどこいつの闇に打ち勝つには、アラタ、キミの光しかないだろう。
いけアラタ!キミの力を見せてやれ!
レイチェルはこの場に駆けつけた、光の力を持つ仲間に全てを託して祈った。
「・・・その闇を見れば分かる。お前を倒せば全て解決ってわけだな」
一人言のように呟くと、アラタは右足を一歩後ろへ引き、左足を前に出した。
両の拳は軽く握り、右拳は目線の高さで、左拳はやや前に出して構える。
目の前にいる男は左の肩から先を喪失している。傷口からはおびただしい量の出血をしており、身に纏う深紅のローブもボロボロに切り刻まれている。深刻なダメージを抱えている事は一目で分かった。
おそらくさっきのあの攻撃だ。
距離はあったがハッキリと見えた。風の上級魔法、トルネード・バーストに似ているがまるで別物だった。
離れていても、ものすごい冷気が肌に刺さったし、風に混じった氷で肌が切られそうになった、
向かい合うこの男の、その背中に広がる抉られた大地、なぎ倒された樹々、破壊された家屋を見れば、あれがどれほどの破壊力だったのかは十分に想像できる。
あれは風魔法と氷魔法を合わせたんだ、合成魔法・・・ミゼルさんは完成させていたんだ。
しかしどれだけダメージを負っていても、この男はレイチェル達をまとめて倒した強敵である。
もっと慎重に挑まなければならないはずだ。だが不思議と気負いは無く、平常心のまま向かい合う事ができた。
これはきっと、今も自分を護ってくれているこの光のおかげなのだろう。
戦いには相性がある。
体術だけならば自分はレイチェルには適わない。百回やって百回負けるだろう。
しかし相手が闇であるならば、他の誰よりも自分が最適である。
「・・・貴様、俺の闇を恐れていないようだな?その光・・・そうか、それが闇に対抗できる理由か?赤毛の女も似たような光を出していたが、性質はずいぶん異なるようだな?」
ハビエル・フェルトゥザは、レイチェル達へ止めは刺さずに、目の前で光を纏う男、サカキアラタに向き直った。
ハビエルもまた感じ取っていた。
この光を纏った男こそ、この戦いにおける最大の敵であると。
この体から発している闇は、同じ空間にいるだけでも少なくないプレッシャーを与えるものだが、この光を纏う男にはまるで影響が見られない。間違いなくこの光の力によるものだろう。
「レイチェルの闘気の事か?似ているが違う。俺の力は光、闇を倒すための力だ」
そう答えると、アラタの体から発せられる光が力強さを増した。
それは周囲を取り囲む闇を吹き飛ばす程に強く、暗闇に包まれていた空間を大きく照らし出す。
「お前は俺が倒す」
確固たる意志をその目に宿し、アラタの闘志が燃え上がった。
アラタの光によって、その体から発する闇が押され出す。
このまま光が大きくなれば、村を覆う闇さえ吹き飛ばしてしまうだろう。真正面から自分に対抗する力をぶつけてくる男に、ハビエルの表情が変わった。
「・・・なるほど、闇を倒す力と言うだけの事はある。貴様の光には確かに闇を払う力があるようだ。だがな、逆もまた然(しか)りだぞ」
左肩の傷口を押さえる右手を離すと、ハビエルは拳を握り締め、天に向かって叫び声を上げた。
「グオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーッツ!」
腹の奥底から怒りも憎しみも何もかも、全てを吐き出すような絶叫とともに、内に宿した膨大なる闇が解き放たれる。
光りが闇を払うのならば、闇が光を呑み込む事も然り。
アラタの光が闇を吹き飛ばさんと押していたが、再び闇が光を覆い始める。
「ッ!こ、この圧力は!?」
想像していた以上の闇の圧に、アラタは思わず後ずさりしそうになった。
少しでも気を抜くと、一気に飲み込まれてしまいそうだ。
これほどの闇なら、レイチェル達が倒されてしまった事も無理はないだろう。
光の力を持たない人間が、闇に抗う術はないのだから。
「これでも耐えるか!面白い!まさかここまで闇に抗える人間がいたとはな!俺達の戦いは今日ここで貴様を潰すためにあったようだ!俺達の名誉のために、俺達の勝利のためにその光を消してやるぞ!」
「ぐぅっ!お、俺は負けない!闇に世界を支配なんて絶対にさせない!仲間達のためにも、この世界に光を取り戻すためにも、お前の闇を消してやる!」
せめぎ合う光と闇の中で、アラタもハビエルも理解した。
ここで全てが決まると・・・
長かったこの戦いに、ついに決着の時が来た。
0
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
武装法人二階堂商会 ―― 企業買収(M&A)で異世界を支配する!
Innocentblue
ファンタジー
日本で企業買収の最前線を駆け抜けてきた敏腕社長・二階堂漣司。
裏切りにより命を落としたはずの彼が目を覚ましたのは、
剣と魔法が支配する異世界の戦場だった。
与えられたスキルは《企業買収(M&A)》。
兵士も村も土地も国家さえも、株式として評価・買収・支配できる異能の力。
「ならば、この世界そのものを買い叩く」
漣司は《武装法人二階堂商会》を設立。
冷徹な参謀にして最強の魔導士リュシア、獣人傭兵団、裏社会の戦力――
すべてを子会社として編成し、経済と武力を融合した前代未聞の経営戦争へと踏み出す。
弱小の村を救済し、都市と契約を結び、裏切り者を切り捨て、敵対勢力を力で買収する。
交渉は戦争、戦争は経営。
数字が命運を決め、契約が国境を塗り替える。
やがて商会は、都市国家・ギルド・貴族・宗教勢力すら巻き込み、
世界の価値そのものを再定義する巨大企業へと変貌していく。
これは、剣ではなく契約で世界を制圧する男の物語。
奪うのではない。支配するのでもない。
価値を見抜き、価値を操り、世界に値札を付ける――
救済か、支配か。正義か、合理か。
その境界線を踏み越えながら、蓮司は異世界そのものを経営していく。
異世界×経済×武力が激突する、知略と覇道の武装経営ファンタジー。
「この世界には、村があり、町があり、国家がある。
――全部まとめて、俺が買い叩く」
正しい聖女さまのつくりかた
みるくてぃー
ファンタジー
王家で育てられた(自称)平民少女が、学園で起こすハチャメチャ学園(ラブ?)コメディ。
同じ年の第二王女をはじめ、優しい兄姉(第一王女と王子)に見守られながら成長していく。
一般常識が一切通用しない少女に友人達は振り回されてばかり、「アリスちゃんメイドを目指すのになぜダンスや淑女教育が必要なの!?」
そこには人知れず王妃と王女達によるとある計画が進められていた!
果たしてアリスは無事に立派なメイドになれるのか!? たぶん無理かなぁ……。
聖女シリーズ第一弾「正しい聖女さまのつくりかた」
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる