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二人が頭を抱えていると、『バシャン、パリン』と何かが落ち、割れる音が隣の部屋から聞こえてきた。
その小さな音にルイーズとハザックは飛び上がる。
なぜなら、その部屋には寝ているはずのリシェルがいるからだ。
「「リシェル?!」」
息ぴったりに愛しい名前を口にし、何があったのかと、慌てて隣の部屋の扉を開けた。
むせ返るような強烈な甘い香りが、全身を刺すように広がった。
「あ・・・、騒がしくて、ご、めんなさい・・・お、お水、飲みたくて・・・、ぼく・・・」
大きなベッド横のサイドボードから水がぽたり、ぽたりと垂れている。
床にはコップの破片が転がっていてそれを拾おうとしたのか、リシェルは床に座っていた。
白肌は赤く染まり、息も荒いまま。
身体の熱からか、目には生理的な涙が浮かぶ。
二人にとってその姿はもう我慢ならない、堪らない姿だった。
激しく開かれた扉の前で固まったように動かない二人。
リシェルは身体に溜まり続ける特有の熱のせいでどうも頭が回らない。
しかしその二人の様子が何だかおかしいことはかろうじて分かった。
目は血走っているように見えるし、額には汗が浮かんでいた。
「ど・・・、どうかされましたか・・・?」
リシェルは恐る恐る口を開く。
絞り出した声はとても小さくリシェルは二人にその声が届いたのか不安だったが、ハザックのまだら模様の耳がリシェルの声に合わせてぴくりと動いたのが見えた。
少しだけホッとする。
今、リシェルは大きな声を出させそうに無い上に動けそうも無い。
かと言って、心配してきてくれただろう二人を無視しているとも思われたくなかった。
とりあえず自分の声は届いていそう・・・だが、どうしたのだろうと今度は首を傾げる。
その瞬間柔らかなリシェルの黒髪が揺れ、白い首元が見えた。
それを見た二人は我慢できず、揃って生唾を飲んだ。
「・・・なあ、ルイーズ。お互い、我慢の限界だろ。」
「最初の口付けは私からだからな。」
「はあ???ふっっざけんなよ!!」
「出ていってもらっても構わない。騎士を呼ぶか?・・・ここは私達の国だ。」
「・・・・・・クソッ!」
「あ、あの・・・兄さま、どうされたんですか?お声が小さくて、聞こえなくて・・・。ハザック様も・・・何か怒って、らっしゃいます、か?ぼく、何か失礼なことで」
「リシェルは何も悪くないよ。」
「そ、うで・・・すか・・・?えっと・・・ぼく、今こんな、状態で・・・・・・お見苦しくてすみま、せん・・・」
「リシェルが謝る必要はないんだよ。・・・今から、楽にしてあげるからね。」
「・・・?お医者様から、お薬は存在しないって・・・」
「俺たちが薬みたいなものだ。・・・リシェル、怖がらないで欲しい。」
「・・・くすり?あの、お二人のことは怖くはないで、すけど・・・えっと、その・・・ど、どうして・・・近づく必要が・・・?」
リシェルは困惑顔だ。
なぜなら少しずつ、少しずつ、床に座り込んだままの自分の方に美丈夫二人が近づいてくるからである。
汗もかいてるし、服も整えていないし、色々と不敬にあたりそう、とリシェルは慌て出す。
そんな慌てるリシェルをまるで捕まえるように軽々抱え上げたのは、うっとりと微笑むルイーズだった。
そのルイーズの隣でむすっ、と納得のいかない表情のハザック(自分が抱えたかったらしい)だが、ちゃっかりリシェルの手を握っていた。「柔らかい・・・」と思わず呟いたハザックを鬼の形相で睨みつけるのはもちろん青い瞳の彼である。
「ぼ、ぼ、僕、そのうち自分で、立てますか、ら、その辺にでもおろしていただけると・・・!それに、ハザック、様も・・・ぼ、ぼく、手にも汗かいてて、その、汚いで」
「リシェルはいつも綺麗で美しいよ。この豹男は目障りだから、すぐにでも追い出したいところだけど、リシェルの身体のために・・・、チッ、仕方ないんだ。我慢してね。」
「お前・・・割と口悪いよな。」
「兄さま、こ、国賓に向かって、」
「気にしなくていいよ。・・・不本意だけど、これから長い付き合いになるだろうし。いつまでも猫被っていられないよ。」
「リシェルはいずれ連れて行くからな。」
「・・・それは追々話そう。アルジャーノに譲ってからじゃないと動けない。」
「ひゃっ、ルイーズ様、そ、そんな撫でないでください!」
「は?ルイーズ、お前どこ触ったんだよ、代われよ!」
「・・・うるさい奴だな、本当。あと、ルイーズ様じゃないだろう?兄さん、と。ね?リシェル。」
「ひゃっ!ル、イーズ兄さま!分かりました、から!お、お、お尻!を、な、撫でないで、くださいぃ・・・」
「はああああ??!ふっっざけんな!ルイーズてめぇ!!!」
「・・・はあ・・・。何でこんなうるさい奴が私と同じ番なんだ・・・」
「・・・???」
リシェルは思わず気が遠くなりかけたが、むにゅ、っと尻を揉まれ、意識をすぐさま引き戻された。
そして尻を揉んでいるのにも関わらず、何食わぬ顔のルイーズと、ぎゃーぎゃー騒ぎ立てるハザックとともに、リシェルは先程まで寝ていた大きな大きなベッドへと再び運ばれたのである。
その小さな音にルイーズとハザックは飛び上がる。
なぜなら、その部屋には寝ているはずのリシェルがいるからだ。
「「リシェル?!」」
息ぴったりに愛しい名前を口にし、何があったのかと、慌てて隣の部屋の扉を開けた。
むせ返るような強烈な甘い香りが、全身を刺すように広がった。
「あ・・・、騒がしくて、ご、めんなさい・・・お、お水、飲みたくて・・・、ぼく・・・」
大きなベッド横のサイドボードから水がぽたり、ぽたりと垂れている。
床にはコップの破片が転がっていてそれを拾おうとしたのか、リシェルは床に座っていた。
白肌は赤く染まり、息も荒いまま。
身体の熱からか、目には生理的な涙が浮かぶ。
二人にとってその姿はもう我慢ならない、堪らない姿だった。
激しく開かれた扉の前で固まったように動かない二人。
リシェルは身体に溜まり続ける特有の熱のせいでどうも頭が回らない。
しかしその二人の様子が何だかおかしいことはかろうじて分かった。
目は血走っているように見えるし、額には汗が浮かんでいた。
「ど・・・、どうかされましたか・・・?」
リシェルは恐る恐る口を開く。
絞り出した声はとても小さくリシェルは二人にその声が届いたのか不安だったが、ハザックのまだら模様の耳がリシェルの声に合わせてぴくりと動いたのが見えた。
少しだけホッとする。
今、リシェルは大きな声を出させそうに無い上に動けそうも無い。
かと言って、心配してきてくれただろう二人を無視しているとも思われたくなかった。
とりあえず自分の声は届いていそう・・・だが、どうしたのだろうと今度は首を傾げる。
その瞬間柔らかなリシェルの黒髪が揺れ、白い首元が見えた。
それを見た二人は我慢できず、揃って生唾を飲んだ。
「・・・なあ、ルイーズ。お互い、我慢の限界だろ。」
「最初の口付けは私からだからな。」
「はあ???ふっっざけんなよ!!」
「出ていってもらっても構わない。騎士を呼ぶか?・・・ここは私達の国だ。」
「・・・・・・クソッ!」
「あ、あの・・・兄さま、どうされたんですか?お声が小さくて、聞こえなくて・・・。ハザック様も・・・何か怒って、らっしゃいます、か?ぼく、何か失礼なことで」
「リシェルは何も悪くないよ。」
「そ、うで・・・すか・・・?えっと・・・ぼく、今こんな、状態で・・・・・・お見苦しくてすみま、せん・・・」
「リシェルが謝る必要はないんだよ。・・・今から、楽にしてあげるからね。」
「・・・?お医者様から、お薬は存在しないって・・・」
「俺たちが薬みたいなものだ。・・・リシェル、怖がらないで欲しい。」
「・・・くすり?あの、お二人のことは怖くはないで、すけど・・・えっと、その・・・ど、どうして・・・近づく必要が・・・?」
リシェルは困惑顔だ。
なぜなら少しずつ、少しずつ、床に座り込んだままの自分の方に美丈夫二人が近づいてくるからである。
汗もかいてるし、服も整えていないし、色々と不敬にあたりそう、とリシェルは慌て出す。
そんな慌てるリシェルをまるで捕まえるように軽々抱え上げたのは、うっとりと微笑むルイーズだった。
そのルイーズの隣でむすっ、と納得のいかない表情のハザック(自分が抱えたかったらしい)だが、ちゃっかりリシェルの手を握っていた。「柔らかい・・・」と思わず呟いたハザックを鬼の形相で睨みつけるのはもちろん青い瞳の彼である。
「ぼ、ぼ、僕、そのうち自分で、立てますか、ら、その辺にでもおろしていただけると・・・!それに、ハザック、様も・・・ぼ、ぼく、手にも汗かいてて、その、汚いで」
「リシェルはいつも綺麗で美しいよ。この豹男は目障りだから、すぐにでも追い出したいところだけど、リシェルの身体のために・・・、チッ、仕方ないんだ。我慢してね。」
「お前・・・割と口悪いよな。」
「兄さま、こ、国賓に向かって、」
「気にしなくていいよ。・・・不本意だけど、これから長い付き合いになるだろうし。いつまでも猫被っていられないよ。」
「リシェルはいずれ連れて行くからな。」
「・・・それは追々話そう。アルジャーノに譲ってからじゃないと動けない。」
「ひゃっ、ルイーズ様、そ、そんな撫でないでください!」
「は?ルイーズ、お前どこ触ったんだよ、代われよ!」
「・・・うるさい奴だな、本当。あと、ルイーズ様じゃないだろう?兄さん、と。ね?リシェル。」
「ひゃっ!ル、イーズ兄さま!分かりました、から!お、お、お尻!を、な、撫でないで、くださいぃ・・・」
「はああああ??!ふっっざけんな!ルイーズてめぇ!!!」
「・・・はあ・・・。何でこんなうるさい奴が私と同じ番なんだ・・・」
「・・・???」
リシェルは思わず気が遠くなりかけたが、むにゅ、っと尻を揉まれ、意識をすぐさま引き戻された。
そして尻を揉んでいるのにも関わらず、何食わぬ顔のルイーズと、ぎゃーぎゃー騒ぎ立てるハザックとともに、リシェルは先程まで寝ていた大きな大きなベッドへと再び運ばれたのである。
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