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ここ数日、ラファドの様子がおかしいようだ。
この日も朝食、昼食の時いなかった。
「あの・・・・・・ラファド様、お疲れのようですし、今日は終わりましょう。差し出がましいですが、目の下に隈もできていらっしゃいます。少しお休みになられたらいかがでしょうか?」
午後の魔力操作指導の時間。
さすがにリーシュと共にいるが、集中出来ていない様子。
怪我でもしたら大変だ、とリーシュは判断した。
「・・・すまない。ここ数日、少し面倒なことが・・・・・・チッ。続いていてな。」
「さ、左様でしたか。」
「歳下のリーシュにまで心配かけているなんて・・・本当に情けない。俺は大丈夫だ。続けよう。」
「・・・いいえ、ラファド様。無理は禁物です。体を休めることも大切ですよ。」
「・・・・・・し、しかし・・・」
リーシュの前で舌打ちなんて、珍しい。
"少し面倒"と言った件は、"相当面倒"なんだろう。
ラファドと押し問答になりながらもこの日の指導は早めに終わった。
リーシュに少し時間ができた。
「夕食まで何をしようかな」と、自室まで歩いていると、上官に魔物討伐報告をし終えた騎士のマイクとゴルドと出会った。
ひらひらと大きな手を振りながらリーシュに近づく二人。
「こりゃ珍しい!1人じゃねーか。ちょうどいい。俺たちに付き合え。肉でも食おう。」
赤髪のマイクはそのままリーシュの肩に太い腕を掛け、有無を言わさず、ずるずるずるーと街まで連れ出したのだった。
王都に来てすぐ、街には来たがその時はラファドがすぐ隣にいた。
ガーディナーの転移魔法で連れてこられて、碌に荷物も準備できていなかったリーシュの王宮生活で必要な日用品や雑貨などを買った後、そのまま殆ど歩きもせず馬車で王宮に戻った。
マイクとゴルドにこうして連れられ、馴染みだという屋台の串焼きを頬張りながら、街を歩くのはとても新鮮で、リーシュは意外と楽しめていた。
「んん・・・やっぱり魔力の"塵"は疲れるなぁ。串焼きもおいしかったし、街も賑やかで楽しいですけど。」
リーシュはこめかみを親指でぐりぐりと押しながら、へらっと力無く笑う。
「魔力の"塵"ねぇ~。お前、殿下と同じようなこと言うのな。」
「ん~・・・?じゃあ二人は違うの?」
「平々凡々な俺たちは塵なんて感じて生きてねぇよ。」
「ふぅ~ん・・・」
「ふぅんってお前・・・、そういや殿下も同じこと言ってたな。それが原因でなかなか専属魔法士決まらなかったとか。見た目全然ちげーけど、案外似たもの同士なのかもな。」
「似た者同士・・・」
マイクは追加で買ってきた串焼きを頬張りながら、何も考えてなさそうにハハっと笑った。
「"塵"は魔力量が多い人にしかわからないから・・・あ、今の決して嫌味とかでは無いよ!?」
「分かってるっつーの。」
「僕の場合はこう・・・自分に意識が向けられると、その人から漏れ出した"塵"がフヨフヨ僕の周りに浮かんでくるっていうか、なんと言うか・・・」
「・・・だいぶ鬱陶しいな、それ。」
「・・・まあ簡単に言えば疲れるんです。感じ方は人それぞれで。ラファド様は"うるさい"って感じるのかもしれないなぁ。」
うーんと唸りながら、リーシュはラファドのことを考える。
彼と一緒にいる時、そんな素振り見せなかったけれど、実はリーシュから彼に向けて無意識に"塵"が出ているのかもしれない。
そのせいであんなに疲れている・・・?
面倒なことってもしかしたら自分自身が原因の一つだったりする?
だとしたら何か対策をしないと・・・!と、ぐるぐると頭の中に考えが浮かぶ。
そんなリーシュを横目に最後の一口をガブリと口に頬張り、もぐもぐ口を動かすマイク。
「・・・リーシュ、お前よからぬ方向に考えてないか?」
「・・・・・・夕食のときにお話ししてみるか・・・・・・ブツブツ」
「おーい。殿下はお前のこと絶対うるさいなんか思ってねぇぞ。聞こえてるか~?」
マイクがリーシュに声をかけるも、リーシュの頭の中はラファドのことでいっぱいだった。
「こりゃ全く聞こえてないな」と隣にいた茶髪のゴルドがぽつりと呟く。
その日の夕食、ラファドはまた姿を現さず、リーシュは一人だった。
この日も朝食、昼食の時いなかった。
「あの・・・・・・ラファド様、お疲れのようですし、今日は終わりましょう。差し出がましいですが、目の下に隈もできていらっしゃいます。少しお休みになられたらいかがでしょうか?」
午後の魔力操作指導の時間。
さすがにリーシュと共にいるが、集中出来ていない様子。
怪我でもしたら大変だ、とリーシュは判断した。
「・・・すまない。ここ数日、少し面倒なことが・・・・・・チッ。続いていてな。」
「さ、左様でしたか。」
「歳下のリーシュにまで心配かけているなんて・・・本当に情けない。俺は大丈夫だ。続けよう。」
「・・・いいえ、ラファド様。無理は禁物です。体を休めることも大切ですよ。」
「・・・・・・し、しかし・・・」
リーシュの前で舌打ちなんて、珍しい。
"少し面倒"と言った件は、"相当面倒"なんだろう。
ラファドと押し問答になりながらもこの日の指導は早めに終わった。
リーシュに少し時間ができた。
「夕食まで何をしようかな」と、自室まで歩いていると、上官に魔物討伐報告をし終えた騎士のマイクとゴルドと出会った。
ひらひらと大きな手を振りながらリーシュに近づく二人。
「こりゃ珍しい!1人じゃねーか。ちょうどいい。俺たちに付き合え。肉でも食おう。」
赤髪のマイクはそのままリーシュの肩に太い腕を掛け、有無を言わさず、ずるずるずるーと街まで連れ出したのだった。
王都に来てすぐ、街には来たがその時はラファドがすぐ隣にいた。
ガーディナーの転移魔法で連れてこられて、碌に荷物も準備できていなかったリーシュの王宮生活で必要な日用品や雑貨などを買った後、そのまま殆ど歩きもせず馬車で王宮に戻った。
マイクとゴルドにこうして連れられ、馴染みだという屋台の串焼きを頬張りながら、街を歩くのはとても新鮮で、リーシュは意外と楽しめていた。
「んん・・・やっぱり魔力の"塵"は疲れるなぁ。串焼きもおいしかったし、街も賑やかで楽しいですけど。」
リーシュはこめかみを親指でぐりぐりと押しながら、へらっと力無く笑う。
「魔力の"塵"ねぇ~。お前、殿下と同じようなこと言うのな。」
「ん~・・・?じゃあ二人は違うの?」
「平々凡々な俺たちは塵なんて感じて生きてねぇよ。」
「ふぅ~ん・・・」
「ふぅんってお前・・・、そういや殿下も同じこと言ってたな。それが原因でなかなか専属魔法士決まらなかったとか。見た目全然ちげーけど、案外似たもの同士なのかもな。」
「似た者同士・・・」
マイクは追加で買ってきた串焼きを頬張りながら、何も考えてなさそうにハハっと笑った。
「"塵"は魔力量が多い人にしかわからないから・・・あ、今の決して嫌味とかでは無いよ!?」
「分かってるっつーの。」
「僕の場合はこう・・・自分に意識が向けられると、その人から漏れ出した"塵"がフヨフヨ僕の周りに浮かんでくるっていうか、なんと言うか・・・」
「・・・だいぶ鬱陶しいな、それ。」
「・・・まあ簡単に言えば疲れるんです。感じ方は人それぞれで。ラファド様は"うるさい"って感じるのかもしれないなぁ。」
うーんと唸りながら、リーシュはラファドのことを考える。
彼と一緒にいる時、そんな素振り見せなかったけれど、実はリーシュから彼に向けて無意識に"塵"が出ているのかもしれない。
そのせいであんなに疲れている・・・?
面倒なことってもしかしたら自分自身が原因の一つだったりする?
だとしたら何か対策をしないと・・・!と、ぐるぐると頭の中に考えが浮かぶ。
そんなリーシュを横目に最後の一口をガブリと口に頬張り、もぐもぐ口を動かすマイク。
「・・・リーシュ、お前よからぬ方向に考えてないか?」
「・・・・・・夕食のときにお話ししてみるか・・・・・・ブツブツ」
「おーい。殿下はお前のこと絶対うるさいなんか思ってねぇぞ。聞こえてるか~?」
マイクがリーシュに声をかけるも、リーシュの頭の中はラファドのことでいっぱいだった。
「こりゃ全く聞こえてないな」と隣にいた茶髪のゴルドがぽつりと呟く。
その日の夕食、ラファドはまた姿を現さず、リーシュは一人だった。
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