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早いもので王宮での生活も3ヶ月が過ぎた。リーシュの仕事は主に、以下の通りだ。





一、ラファドの護衛
(ラファド様自身、剣術も体術も強いし、僕本当に必要ですか?と疑問しかない。
むしろ僕の方がいつも守られてないか?)



二、魔力操作の指導
(僕の方がまあ、魔力量も技術的にも上なんだけれど・・・ラファド様も相当手練れじゃない?僕本当に必要ですか?(2回目))



三、食事を共にする
(これは専属魔法士としての仕事では無いらしいけれど、ラファド様たっての希望だ。今まで碌に接点もなかったからと。食事中、今日の予定を確認し合ったり、これまでのお互いの話をしたり・・・ん?そんな話してんの?い、いや、だってラファド様が領地での僕の仕事とか小さい頃の話とか婚約者がいるのかとか聞きたがるから・・・んん?これって、僕本当に必要・・・ですか・・・?(3回目))






リーシュは王宮に来たばかりの頃、ラファドに自分をどこで知ったのかそれとなく尋ねたことがあった。
ラファドから専属魔法士の指名が来る前に王宮に来たのは、確か兄の遣いで一度だけのはず。



しかしそれまで普通に話をしていたラファドが絵に描いたように狼狽えだすものだから、リーシュも釣られて慌ててしまい、それ以上は聞けず、結局謎のまま。


・・・まあ、魔力量も国の上位だし?
婚約もせず余ってたし?
手頃感があったのかな・・・?と、リーシュは考えていた。




この3ヶ月で王宮での暮らしにもだいぶ慣れ、あれだけ嫌がっていた王都も暮らしてみれば静かだし(王宮だからね)、いつも部屋は綺麗だし、仕事も(一応)あって給料も結構もらえるし、何事も食わず嫌いも良くないな、とリーシュは少~しだけ反省した。




そしてこの3ヶ月でラファドについてわかったことが沢山ある。
剣術、体術、もはや超人だ!とリーシュが一人で納得するほど強い。
第1王子と第2王子もそれなりに強いと聞いたが、ラファドは抜きん出ているらしい。



愛想はまあ・・・・・・そんなよくないが(どの口が言うんだ)、この人に仕えることができてよかったな、とリーシュが自然に思うくらい仕事もできる人物だ。



だがリーシュ以外の者に対しての態度が、温度に例えると3度・・・いや、5度は低い。
決して見下したような嫌な感じでは無いのだが・・・ただ"近づくな"と、威圧感を感じる。
それもあって、急に専属魔法士が決まったものだから、王宮で働いてるものたちはそりゃあもう驚いて。
リーシュが来て数日は、柱の影から、庭の木の影から・・・、リーシュを一目見ようとする騎士やらメイドやらが相当数居た。
そんな人間がラファドの目に入れば20度は温度が下がり、さささーーと人がいなくなったのは言うまでも無い。




リーシュ自身元々あまり人付き合いは得意ではないのだが"郷に入れば~"とも言うし、人間関係が良好なことに越したことはない。
それなりに顔見知りもできた。
16歳とは言え、仮にも伯爵家の人間である。それなりの世渡りはできねば。



中でも騎士のマイクやゴルドなんかは、ラファドの冷たーい威圧にも負けずよく話しかけてくれる。
メイドのサシャは本当に身の回りのことを良くしてくれて助かっている。
ベッド横のサイドテーブルにいつも小さな花も挿してくれるのだ。



そんな穏やかな日々を過ごしていたリーシュは、まさかあんなことになるなんて、この時は思いもよらなかった。
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