【完結】待って、待って!僕が好きなの貴方です!

N2O

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番外編

アントスから見た二人

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士官科と史科は昨年から一クラスずつ増えた関係で、首席だろうが三年だろうが他科だろうが、関係なく必ず二人一部屋だ。


俺は二年の時から士官科の同級でユキヒョウの獣人、クロヴィスと同室。
士官科と史科のカリキュラムは全く違うし、まあ成績は比べようがないから仕方ないのかもしれないけど・・・もっと俺より同室適任者居たんじゃないの・・・・・・?

だってこいつ、入学から一度も士官科首席を譲ったことがない異常し・・・・・・・・・完璧な男。
毎日訓練を欠かすことはないし、座学も一切手を抜かない。


何かとプレッシャーの大きい士官家系でもないはずなのに、どうしてそんなに頑張る必要があるのだろう。
そもそも実家は結構大きな商会らしいし、そんなにがむしゃらに頑張んなくてもそっち継げばよかったんじゃ・・・って、ずっと疑問だった。


そしてこの疑問はある人物の登場から、突如として解けていく。






「なあ、クロヴィス。今年魔法科にヤバい子入ってくるよ。」

「そうか。指導が大変だな。」

「いや、そういう意味のヤバいじゃなくてさ、良い意味でヤバいんだって。」

「・・・へえ。」

「あ、まーたすぐ興味無くす!お前何なら興味持つの?!」

「・・・・・・」

「無視すんな!!」





同室歴二年を目前にすると、こんな世間話(?)も普通になる。
クロヴィスは俺の話を聞きながら、ベッドの上で筋トレ中。もう筋肉は十分すぎるほどついてると思うんですが・・・?







「なんかさ~、首席で入学する子なんだけど、」

「・・・あ、ああ。」

「何とびっくり!あの竜人族!目がくりくりで、礼儀正しくて、黒髪なんか艶っ々!めっちゃ可愛かったんだな~~これが!」

「・・・・・・・・・み、見たのか?」

「あー、ちょっとだけね。今日俺入学手続きに駆り出されてただろ?心底面倒だったけど、そん時に、も~~そこら中話題沸騰!いやぁ、あれは絶対獲り合いに・・・・・・って、ど、どうした、クロヴィス!?」

「・・・何がだ。」

「いや、今俺のこと超威嚇してんじゃん!?」

「・・・・・・してな、」
「してるって!フェロモン出すな!!怖ぇよ!!」

「・・・・・・抑え方がわからない。」

「実は馬鹿なの?!」






明らかに動揺したクロヴィス。
筋トレは完全に停止してるし、威嚇フェロモンめっちゃ出てるし。
「頭を冷やしてくる」と突然部屋を出て行ったかと思えば三十分後汗だくで帰ってきた。どうやら走りに行ってきたらしい。
・・・え?もう外真っ暗ですけど?






「先程はすまなかった。もう大丈夫だ。」

「一体何だったわけ?もしかして・・・あの子知り合い?」

「・・・・・・・・・・・・」

「なるほど。知り合いか。」

「なっ、んで分かる・・・?!」

「いや、分かるでしょ。顔に出てる。」

「・・・・・・もう一度、頭を、」
「しなくていい!正直に話してみろ、こら。」

「・・・・・・・・・な、いな?」

「は?なんて?」

「・・・彼に・・・惚れてないだろうな・・・?」

「・・・・・・はい?」






クロヴィスの背後でゴゴゴゴ、と地鳴りが響いてそう。また威嚇フェロモン出始めた。
えーっと・・・なるほど?
これは所謂嫉妬・・・ってやつか・・・・・・、え?クロヴィスが?






「クロヴィスさあ、」

「・・・ああ、何だ。」

「その子の事、めっちゃくちゃ好きなんだ?」

「な゛っ・・・・・・・・・んで、そう・・・思・・・う・・・」

「もしかして恋人なわけ?」

「・・・・・・・・・」

「に、なりたいわけ?」

「・・・・・・・・・・・・(こくり)」

「・・・・・・」「・・・・・・」






多分無意識なんだろうが、クロヴィスはいつも自信に満ち溢れてる。自信を持つだけのことをクロヴィスは毎日欠かさずやってるわけだし、当然だ。

だが!そんな無敵無敗のクロヴィスともあろう者がこんなにも挙動不審!不安げな顔!
入学してから数えきれないほど交際の申し込みがあったと聞いたこと(噂で)がある。
断り方もクロヴィスらしくバッサリと、つけ入る隙もなかったとか。

・・・なるほど!納得!すでに心に決めた人が居たってことだ!
え~~~~~?!何だそれ、猛烈に推せる!
俺、史科の獣人ですから!
歴史上にもこういう恋物語が山程あるわけだよ!
何なら俺の専門はそっちだよ!




「・・・・・・俺、応援する。」

「?!本当、か?!」

「告白は?したことあんの?」

「・・・・・・な、ない。俺には今まで望みがなかったと言うか・・・」

「の、望み?!まさかの不戦敗?!何それ?!」

「・・・・・・幼少の頃から、彼は・・・強い人が好きだと言っていた・・・から・・・、その、」

「・・・・・・?!」






はーーーい!何それ、何の話?!
つまりこうか?!
あの竜人ちゃんに好かれたいが為に今まであーーーーんなに頑張ってたわけ?!
クロヴィスお前、実はそんな一途な男だったの?!







「士官科の・・・首、席なら・・・・・・まだ望みはあるだろうか・・・?」

「ある!!!間違いなくあるだろ!!!ここ一応この国トップクラスの名門校だぞ?!」

「そ、そうか。彼もわざわざ隣国からここに通うために、家族を説得してまでこちらに来ることになったわけだしな。」

「・・・え?そうなの?て言うか、何でそんなこと知ってんの?クロヴィス、寮の外出届出したことないだろ?抜け出してんの?!」

「そんなわけないだろう。毎月手紙のやりとりを・・・、俺はそこまで器用じゃないから、返事が出せない時もあるんだが、彼は欠かさず送ってくれる。・・・優しいんだ。」

「・・・・・・ソウナンダネ(くぅ・・・っ、これは絶対向こうも気があるやつだ・・・)」






その後もクロヴィスから色々聞き出すことに成功。
竜人ちゃんの名前はラウー。クロヴィスとは幼馴染ってやつだ。
ラウーくんの実家も商会で昔、交流があったんだって。

クロヴィスは出会った瞬間、ラウーくんに一目惚れ。
その時からラウーくんはめちゃくちゃ可愛くて、クロヴィスは彼に会いに行くために、死に物狂いで家の手伝いをしていたらしい。






「クロヴィスが恋愛下手なのは十分わかった。」

「・・・不甲斐ない。」

「あのな、ラウーくんが強い奴が好きだったとしてもそればっかり追求しても駄目だ。ちゃんと自分の気持ちを相手にアピールする必要もあるんだぞ?分かるか?」

「・・・わ、分かる・・・ように・・・これから努力する。」

「お前のフォローは俺がする。だが、あれは確実に有象無象が狙ってくるぞ?」

「・・・・・・殺、」
「すなよ?」

「・・・・・・・・・努力する。」

「逆に怖ぇな。」






まずはフェロモンを抑える訓練だな、と俺が提案すると真面目なあいつは次の日図書館から本を借りてきた。
・・・それ親が子どもに獣人のこと教える時につかう絵本な。





この約半月後、ラウーくんが想像以上に可愛いこと。
クロヴィスが意外とポンコツだということ。


そして自分よりも圧倒的に強い相手を殴る羽目になるとは、思ってもみないわけである。





「(本当、幸せになってくれよ。親友馬鹿。)」



----------------⭐︎



「この二人、もうちょっと何とかならないの?」

「いや~・・・どうするかねぇ・・・」







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