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番外編
ユキから見た二人
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一つ年下の君は俺たちよりもずっと小さかった。
従兄弟の家に遊びにいくのはかなり久しぶりだったけど、従兄弟よりも先に目があったのは君。
俺の目を見て「はじめまして」と無邪気な顔でお辞儀をした彼の瞳は、新月の夜のような黒。
もちもちしたほっぺに、赤みの強い小さな唇は思わず触りたくなるほど。
だけど俺の中で何かが芽吹くより先に、彼は俺ではない別の相手の元へ、嬉しそうに駆けていく。
「クロヴィスくん!あのね、僕ね、今日見てもらいたいことがあって、」
「走らなくていい。怪我でもしたら大変だ。」
「あ、ごめんなさい、僕、う、嬉しくてつい・・・」
「俺だっ・・・・・・とにかく、庭に行こう。ユキも行くだろう?」
「・・・お、俺はいいよ。」
「?二人で遊んでるから、気が変わったら来てくれ。じゃあ行こう、ラウー。」
「うん!!」
二人は、恋をしている。
幼いながら、すぐに分かった。
彼の瞳に本当の意味で俺が映ることはきっとない。
だから"芽吹く前"にそれが消えてよかった。
それで本当に、よかったんだ。
----------------☆
「何、その顔。」
「・・・今日から・・・しばらくここで寝かせてください・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・自分で寝床つくってよ・・・?」
「・・・あ、ありがとうございます・・・」
疲れ果てて頭が回らない俺の目の前で、しおしおと寝床の準備を始める竜人。
何でそんな目が赤いのか、大体見当はついてる。
だって・・・・・・"あの現場"の後処理したの、俺だから!
「あれだけ言っただろうが!こんの・・・っ、馬鹿クロヴィス!!」
「?!アントスや、やめろって!そもそも俺が余計なこと言ったからでっ、」
「ミゲルは関係ない!俺はこの馬鹿ヒョウに用があんの!!」
「・・・ラウーが・・・泣いた・・・?俺のせいで・・・?」
「ラウーくん何て言ったと思う?!"邪魔してごめんなさい"だって!誰の邪魔だよ!このっ・・・馬ぁ鹿!」
あー・・・・・・外に出てすぐいらんもん見たなぁ・・・
見てないフリして帰りてぇ・・・
ラウーとの模擬戦闘の練習は本当に疲れる。
模擬と言ってもあいつ容赦ないから、俺も容赦しない。気を抜いたら俺吹っ飛ぶよ?
嬉しそうに走って帰るラウーを見送って、学科長補佐と少し話し込んでしまった。
俺もそろそろ帰って休もう・・・・・・と思ったんだけども。
史科も士官科も、普段魔法科と関わらない。
でもアントスとは中央にある図書館で何度も顔を合わせるうちに話すようになった。
二年になってクロちゃんと同室になったのはさすがに笑ったけど、不思議な縁を感じた。
アントスは普段とても穏やかな奴だ。
誰にでも気さくに話しかけるし、声を荒げるところなんて見たことがない。
・・・・・・いや、今日初めて見たか。
「ちゃんと言わないと気持ちは伝わらないって俺言ったよなぁ?!」
「・・・・・・言った。」
「じゃあ何でラウーくんがあんなことになんの?!」
「だ、だから、それは多分クロヴィスが隠れて会いに行ってる恋人に早く会わせろって、お、俺が、話してたのを聞いてたんだと・・・」
「クロヴィスがコソコソ隠れてラウーくんの周りを嗅ぎ回るからそんな変な噂が立つんだろ!!このヘタレ!!!」
「じゃあ・・・っ、どうすればよかったんだ!!」
「知るか!それくらい自分で考えろ!!」
「ちょ、ちょ、二人ともストップ!!!」
拘束魔法を咄嗟に使ってしまったけど、これは仕方ない。
あー・・・二人とも意外と魔力あるなー・・・魔力の消費辛いなー・・・
喉グルグル鳴らしながら、俺に威嚇フェロモンぶつけてくるのやめてくれないかなー・・・
「言っとくけど、ラウーも馬鹿でしょ。」
「あ゛?!」「は?!」
「子どもの頃からそう。もう俺がラウー貰おうか?」
「・・・っ、ユキ、俺と決闘しろ・・・!」
「は?やだし。て言うか、そんなことしてもラウーが喜ぶわけないじゃん。」
「それはっ、わか、らない・・・だろう・・・」
「はい、まずそれが駄目。本当、そういうところ。全くもって互いの中心部分が見えてない。」
「・・・??」
ラウーは俺と会ったことがあるなんて、これっぽっちも覚えてなかった。
俺、子どもの頃から割と顔はいいし優しいよ?むしろクロちゃんより何倍も愛想いいんだが?
でもさ、顔とか愛想とか優しいとか。
俺がそうであっても、そんなことラウーには全く意味がない。
「クロちゃんじゃなきゃ、意味ないんだよ。」
「・・・ユキ?何言っ、て・・・」
「多分さ、今会っても・・・いや、クロちゃん止めても行くだろうけど、まあ、とにかく相手にされないと思う。」
「は?」
「だって似てるんだもん、二人のそういう馬鹿なとこ。」
「・・・は?」
心底意味がわからないって顔してるね、クロちゃん。
そんな顔しても駄目だから。
これは二人の問題、でしょう?
「いっぱい悩むといいよ。」
拘束魔法を解くとクロちゃんは間を置かず立ち上がり、アントスの元へ行き頭を下げた。小さく「ラウーを送ってくれてありがとう」と言って。
アントスはまだむすっとした顔をしていたけど、魔法科の寮の方を指さすと「さっさと行け」とだけ言って、自分の寮へと帰っていく。
さて、ここで問題です。
クロちゃんは去り際俺に何て言ったと思う?
「ラウーは絶対に、渡さない」だって。
「・・・いつもそのくらい自分を出せっつーの。」
・・・さ、あとはあっちの尻を叩くだけ。
俺にできるのはそこまでだけど、いざとなったら──・・・
「貰っちゃお。」
芽吹くのは、二人のこの恋路を見守ってからでも遅くない。
俺は一つ、んー・・・っと大きな伸びをして残る一人、細目のミゲルの肩を「お疲れ」と叩いてから寮へ戻った。
----------------⭐︎
これからいちゃラブ編へ進みます(本当かよ)。
あと二~三話ほどあります。
ぼちぼちお付き合いください☺︎
読んでくださる方、いつもありがとうございます。
----------------⭐︎
従兄弟の家に遊びにいくのはかなり久しぶりだったけど、従兄弟よりも先に目があったのは君。
俺の目を見て「はじめまして」と無邪気な顔でお辞儀をした彼の瞳は、新月の夜のような黒。
もちもちしたほっぺに、赤みの強い小さな唇は思わず触りたくなるほど。
だけど俺の中で何かが芽吹くより先に、彼は俺ではない別の相手の元へ、嬉しそうに駆けていく。
「クロヴィスくん!あのね、僕ね、今日見てもらいたいことがあって、」
「走らなくていい。怪我でもしたら大変だ。」
「あ、ごめんなさい、僕、う、嬉しくてつい・・・」
「俺だっ・・・・・・とにかく、庭に行こう。ユキも行くだろう?」
「・・・お、俺はいいよ。」
「?二人で遊んでるから、気が変わったら来てくれ。じゃあ行こう、ラウー。」
「うん!!」
二人は、恋をしている。
幼いながら、すぐに分かった。
彼の瞳に本当の意味で俺が映ることはきっとない。
だから"芽吹く前"にそれが消えてよかった。
それで本当に、よかったんだ。
----------------☆
「何、その顔。」
「・・・今日から・・・しばらくここで寝かせてください・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・自分で寝床つくってよ・・・?」
「・・・あ、ありがとうございます・・・」
疲れ果てて頭が回らない俺の目の前で、しおしおと寝床の準備を始める竜人。
何でそんな目が赤いのか、大体見当はついてる。
だって・・・・・・"あの現場"の後処理したの、俺だから!
「あれだけ言っただろうが!こんの・・・っ、馬鹿クロヴィス!!」
「?!アントスや、やめろって!そもそも俺が余計なこと言ったからでっ、」
「ミゲルは関係ない!俺はこの馬鹿ヒョウに用があんの!!」
「・・・ラウーが・・・泣いた・・・?俺のせいで・・・?」
「ラウーくん何て言ったと思う?!"邪魔してごめんなさい"だって!誰の邪魔だよ!このっ・・・馬ぁ鹿!」
あー・・・・・・外に出てすぐいらんもん見たなぁ・・・
見てないフリして帰りてぇ・・・
ラウーとの模擬戦闘の練習は本当に疲れる。
模擬と言ってもあいつ容赦ないから、俺も容赦しない。気を抜いたら俺吹っ飛ぶよ?
嬉しそうに走って帰るラウーを見送って、学科長補佐と少し話し込んでしまった。
俺もそろそろ帰って休もう・・・・・・と思ったんだけども。
史科も士官科も、普段魔法科と関わらない。
でもアントスとは中央にある図書館で何度も顔を合わせるうちに話すようになった。
二年になってクロちゃんと同室になったのはさすがに笑ったけど、不思議な縁を感じた。
アントスは普段とても穏やかな奴だ。
誰にでも気さくに話しかけるし、声を荒げるところなんて見たことがない。
・・・・・・いや、今日初めて見たか。
「ちゃんと言わないと気持ちは伝わらないって俺言ったよなぁ?!」
「・・・・・・言った。」
「じゃあ何でラウーくんがあんなことになんの?!」
「だ、だから、それは多分クロヴィスが隠れて会いに行ってる恋人に早く会わせろって、お、俺が、話してたのを聞いてたんだと・・・」
「クロヴィスがコソコソ隠れてラウーくんの周りを嗅ぎ回るからそんな変な噂が立つんだろ!!このヘタレ!!!」
「じゃあ・・・っ、どうすればよかったんだ!!」
「知るか!それくらい自分で考えろ!!」
「ちょ、ちょ、二人ともストップ!!!」
拘束魔法を咄嗟に使ってしまったけど、これは仕方ない。
あー・・・二人とも意外と魔力あるなー・・・魔力の消費辛いなー・・・
喉グルグル鳴らしながら、俺に威嚇フェロモンぶつけてくるのやめてくれないかなー・・・
「言っとくけど、ラウーも馬鹿でしょ。」
「あ゛?!」「は?!」
「子どもの頃からそう。もう俺がラウー貰おうか?」
「・・・っ、ユキ、俺と決闘しろ・・・!」
「は?やだし。て言うか、そんなことしてもラウーが喜ぶわけないじゃん。」
「それはっ、わか、らない・・・だろう・・・」
「はい、まずそれが駄目。本当、そういうところ。全くもって互いの中心部分が見えてない。」
「・・・??」
ラウーは俺と会ったことがあるなんて、これっぽっちも覚えてなかった。
俺、子どもの頃から割と顔はいいし優しいよ?むしろクロちゃんより何倍も愛想いいんだが?
でもさ、顔とか愛想とか優しいとか。
俺がそうであっても、そんなことラウーには全く意味がない。
「クロちゃんじゃなきゃ、意味ないんだよ。」
「・・・ユキ?何言っ、て・・・」
「多分さ、今会っても・・・いや、クロちゃん止めても行くだろうけど、まあ、とにかく相手にされないと思う。」
「は?」
「だって似てるんだもん、二人のそういう馬鹿なとこ。」
「・・・は?」
心底意味がわからないって顔してるね、クロちゃん。
そんな顔しても駄目だから。
これは二人の問題、でしょう?
「いっぱい悩むといいよ。」
拘束魔法を解くとクロちゃんは間を置かず立ち上がり、アントスの元へ行き頭を下げた。小さく「ラウーを送ってくれてありがとう」と言って。
アントスはまだむすっとした顔をしていたけど、魔法科の寮の方を指さすと「さっさと行け」とだけ言って、自分の寮へと帰っていく。
さて、ここで問題です。
クロちゃんは去り際俺に何て言ったと思う?
「ラウーは絶対に、渡さない」だって。
「・・・いつもそのくらい自分を出せっつーの。」
・・・さ、あとはあっちの尻を叩くだけ。
俺にできるのはそこまでだけど、いざとなったら──・・・
「貰っちゃお。」
芽吹くのは、二人のこの恋路を見守ってからでも遅くない。
俺は一つ、んー・・・っと大きな伸びをして残る一人、細目のミゲルの肩を「お疲れ」と叩いてから寮へ戻った。
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これからいちゃラブ編へ進みます(本当かよ)。
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読んでくださる方、いつもありがとうございます。
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