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番外編
ティフから見た二人
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僕は過去何度も魔物を討伐したことがある。
実家は標高の高い山の麓。
山に入ればいくらでも魔物は居たし、そいつらを練習台にして僕は技術を向上させたと言ってもいい。
だから正直ここに在学中の上級生を含んだ魔法科の生徒には負ける気がしない。
何なら士官科の生徒にだって勝つ自信がある。
少々性格に難ありの僕の兄も今では上級士官。
幼少期から彼にコテンパンにやられていた僕からすれば、並大抵の士官志望の学生じゃ、相手にならない。
・・・・・・ただし、この学校に居る生徒の中に少数存在する"並大抵"に該当しない彼らのことも、僕はよく知っている。
「ティ、ティフくん!こちら・・・えっと、あの・・・ぼ、僕の、幼馴染の、」
「恋人の。」
「・・・っ、こ、こ、恋人の、クロヴィスさんです・・・!」
ここは食堂、いつものテラス席。
僕の目の前に座った真っ赤な顔のラウーくん。
ああ・・・神様、ありがとうございます。
今日もラウーくんは綺麗で可愛いです。
しかもいつも優しくて、魔法使い出すと凶悪になるギャップが最高です。
でも。
「・・・・・・初めまして。魔法科一年のティフです。よろしくお願いします。」
「・・・・・・ああ。よろしく。」
「・・・?」
隣に座ってる貴方の恋人、めちゃくちゃ目が怖いですけどね。
こうやって面と向かって直接会うのは、もちろん「初めまして」だけど、僕はこのクロヴィス先輩の気配をこれまで何度も"感じたこと"がある。
魔法科の訓練場の通路から。
寮の近くのベンチ付近から。
教室棟門の外から。
そして、ラウーくんの体から。
だから初めましてって、気持ちにあまりならない。
・・・どうやらそれは先輩も、同じらしい。
近くで見ると益々際立つその存在感。
ラウーくん同様、顔も体もとてもお美しい。
あっっっんなに嫉妬丸出しのフェロモンを出す獣人だから、僕はてっきり・・・・・・失礼ながら色々と妄想してました。
表情はあまり崩れないタイプなんですね。
「・・・ティフくん?さっきからどうしたの、って、わあっ!?」
「別に、ナンデモナイヨ。」
「そ、そう?ちょ、ちょっと、クロヴィスさん、急に、ど、どっ、どうしたんですか?!」
「・・・・・・理由がないといけないのか?」
「そっ・・・んな、ことは、ないですけど・・・、うう、」
「(・・・oh)」
喉が鳴り出す二秒前って感じの顔で、何を言ってらっしゃいますか、先輩。
理由ならあるでしょう、立派な嫉妬が。
それともあれですか?
そのマーキングに相当する行為は無意識ですか?
テーブルで微妙に隠れてはっきりとは見えないけど、背後から尻尾がぐるりとラウーくんに巻き付いてるのわかるし、腕でラウーくんの腰に手を回して固定してますよね。
ラウーくん真っ赤な顔でわたわたしてるからすぐ分かります。
辛うじてまだ出てないだけで、威嚇フェロモン・・・、いや、すでにちょっと出てますね。
ほら、その証拠に僕たちの様子を興味津々で窺っていた獣人の同級生、先輩方が席を立ち始めました。制御していても尚、凄い威力。
はぁ~~・・・本当にまさか、まさか。
あの士官科三年、鉄壁のクロヴィス先輩がラウーくんのストー・・・・・・、こほん。
陰ながら護衛、していたなんて、ねえ。
「ティフくんは僕の大事な友達だから、紹介しておきたくて・・・へへ、」
「・・・嬉しい。ありがとう。」
「クロヴィスさんはこう見えてちょっと、」
「ラウー。」
「は、はい!何でしょう?」
「クロヴィス。」
「あっ・・・は、はい、ク、クロヴィスさ」
「クロヴィス。」
「・・・えっと、ク、ロヴィス・・・は、こう見えて、ひ、人見知りで・・・怖い人じゃないから、ね・・・?」
「・・・ウン!ワカッタヨ!(棒読み)」
「へへ、よかったぁ。」
もう・・・本当に嬉しそう。
うん、うん。僕はその顔が見れて、本当に安心した。
きっとこれからも末長く一緒に過ごすんだろうけどさ、一応・・・ね。
「あの、クロヴィス先輩。一つよろしいでしょうか。」
「・・・何だ。」
「僕、ラウーくんの笑った顔がとても好きです。勿論、友人として。」
「・・・ああ。」
「先日のように・・・ラウーくんが辛い時は友人の僕が護りますので、ご安心ください。」
目に見えてやつれていくラウーくんは、本当に見てられなかった。
本人は気丈に振る舞おうと頑張っていたけど、僕に出来ることは何だってしたし、ラウーくんのためならこれからだって、する。
わ~・・・目に見えて、表情が曇りましたね。
ラウーくんも僕と先輩をハラハラした顔で交互に目で追って忙しい。
さて、先輩は何て言うのかな。
「ありがとう。」
「・・・は?」
「ラウーの側で・・・支えてくれたんだろう?だから、ありがとう。」
「い、いや、僕そんな大したことは、してな」
「何言ってるの!ティフくんは、いっぱい助けてくれた!あの時は・・・本当にありがとう。」
「・・・うん。どういたしまして。」
前に身を乗り出して、テーブルの上の僕の手を握ったラウーくんの目は真剣そのもの。
うっかり泣きそうになってしまった。
本当に大したことはできなかったけど、少しでも力になれたなら・・・よかった。
クロヴィス先輩、フェロモンから察するにもっと子どもっぽいことする人だと勝手に思ってたけど意外と大人な対応──・・・・・・
「だが、安心してくれ。今後ラウーが辛い時は俺が側にいる。」
「うわあっ!?ク、ク、クロッ、ひえっ、」
「今からラウーの部屋で勉強会だ。もう行こう。」
「あ、あれ?そ、そうでしたっけ・・・って、お、下ろしてくださいぃ・・・っ!」
「では、これで失礼する。」
「ティ、ティフくん、また教室でっ、ひゃっ!クロヴィス!匂い嗅ぐのやめてくださいって、言ってるのに!」
「ラウーくん、またねー(棒読み)」
「ま、またね!んやっ、もう、クロヴィス?!」
「・・・・・・」
訂正しよう。
全然大人じゃない、この獣人。
ラウーくんが華奢とは言え、立派に成人した男。なのにあんなに軽々担ぎ上げるとは・・・・・・筋力ヤバいでしょ。
そして最後にちらりと振り向いたクロヴィス先輩の目。
「・・・あれは敵わないなぁ。」
恐ろしいほどの執着に塗れた愛情を、ラウーくんは知っているのかな。
クロヴィス先輩の体に隠れてラウーくんはもう見えない。
だけど僕はそちらに向けてひらひらと手を振って見送った。
----------------⭐︎
番外編の『アントスから見た二人』に挿絵を追加しました!
良ければご覧ください☺︎
2024.6.2
実家は標高の高い山の麓。
山に入ればいくらでも魔物は居たし、そいつらを練習台にして僕は技術を向上させたと言ってもいい。
だから正直ここに在学中の上級生を含んだ魔法科の生徒には負ける気がしない。
何なら士官科の生徒にだって勝つ自信がある。
少々性格に難ありの僕の兄も今では上級士官。
幼少期から彼にコテンパンにやられていた僕からすれば、並大抵の士官志望の学生じゃ、相手にならない。
・・・・・・ただし、この学校に居る生徒の中に少数存在する"並大抵"に該当しない彼らのことも、僕はよく知っている。
「ティ、ティフくん!こちら・・・えっと、あの・・・ぼ、僕の、幼馴染の、」
「恋人の。」
「・・・っ、こ、こ、恋人の、クロヴィスさんです・・・!」
ここは食堂、いつものテラス席。
僕の目の前に座った真っ赤な顔のラウーくん。
ああ・・・神様、ありがとうございます。
今日もラウーくんは綺麗で可愛いです。
しかもいつも優しくて、魔法使い出すと凶悪になるギャップが最高です。
でも。
「・・・・・・初めまして。魔法科一年のティフです。よろしくお願いします。」
「・・・・・・ああ。よろしく。」
「・・・?」
隣に座ってる貴方の恋人、めちゃくちゃ目が怖いですけどね。
こうやって面と向かって直接会うのは、もちろん「初めまして」だけど、僕はこのクロヴィス先輩の気配をこれまで何度も"感じたこと"がある。
魔法科の訓練場の通路から。
寮の近くのベンチ付近から。
教室棟門の外から。
そして、ラウーくんの体から。
だから初めましてって、気持ちにあまりならない。
・・・どうやらそれは先輩も、同じらしい。
近くで見ると益々際立つその存在感。
ラウーくん同様、顔も体もとてもお美しい。
あっっっんなに嫉妬丸出しのフェロモンを出す獣人だから、僕はてっきり・・・・・・失礼ながら色々と妄想してました。
表情はあまり崩れないタイプなんですね。
「・・・ティフくん?さっきからどうしたの、って、わあっ!?」
「別に、ナンデモナイヨ。」
「そ、そう?ちょ、ちょっと、クロヴィスさん、急に、ど、どっ、どうしたんですか?!」
「・・・・・・理由がないといけないのか?」
「そっ・・・んな、ことは、ないですけど・・・、うう、」
「(・・・oh)」
喉が鳴り出す二秒前って感じの顔で、何を言ってらっしゃいますか、先輩。
理由ならあるでしょう、立派な嫉妬が。
それともあれですか?
そのマーキングに相当する行為は無意識ですか?
テーブルで微妙に隠れてはっきりとは見えないけど、背後から尻尾がぐるりとラウーくんに巻き付いてるのわかるし、腕でラウーくんの腰に手を回して固定してますよね。
ラウーくん真っ赤な顔でわたわたしてるからすぐ分かります。
辛うじてまだ出てないだけで、威嚇フェロモン・・・、いや、すでにちょっと出てますね。
ほら、その証拠に僕たちの様子を興味津々で窺っていた獣人の同級生、先輩方が席を立ち始めました。制御していても尚、凄い威力。
はぁ~~・・・本当にまさか、まさか。
あの士官科三年、鉄壁のクロヴィス先輩がラウーくんのストー・・・・・・、こほん。
陰ながら護衛、していたなんて、ねえ。
「ティフくんは僕の大事な友達だから、紹介しておきたくて・・・へへ、」
「・・・嬉しい。ありがとう。」
「クロヴィスさんはこう見えてちょっと、」
「ラウー。」
「は、はい!何でしょう?」
「クロヴィス。」
「あっ・・・は、はい、ク、クロヴィスさ」
「クロヴィス。」
「・・・えっと、ク、ロヴィス・・・は、こう見えて、ひ、人見知りで・・・怖い人じゃないから、ね・・・?」
「・・・ウン!ワカッタヨ!(棒読み)」
「へへ、よかったぁ。」
もう・・・本当に嬉しそう。
うん、うん。僕はその顔が見れて、本当に安心した。
きっとこれからも末長く一緒に過ごすんだろうけどさ、一応・・・ね。
「あの、クロヴィス先輩。一つよろしいでしょうか。」
「・・・何だ。」
「僕、ラウーくんの笑った顔がとても好きです。勿論、友人として。」
「・・・ああ。」
「先日のように・・・ラウーくんが辛い時は友人の僕が護りますので、ご安心ください。」
目に見えてやつれていくラウーくんは、本当に見てられなかった。
本人は気丈に振る舞おうと頑張っていたけど、僕に出来ることは何だってしたし、ラウーくんのためならこれからだって、する。
わ~・・・目に見えて、表情が曇りましたね。
ラウーくんも僕と先輩をハラハラした顔で交互に目で追って忙しい。
さて、先輩は何て言うのかな。
「ありがとう。」
「・・・は?」
「ラウーの側で・・・支えてくれたんだろう?だから、ありがとう。」
「い、いや、僕そんな大したことは、してな」
「何言ってるの!ティフくんは、いっぱい助けてくれた!あの時は・・・本当にありがとう。」
「・・・うん。どういたしまして。」
前に身を乗り出して、テーブルの上の僕の手を握ったラウーくんの目は真剣そのもの。
うっかり泣きそうになってしまった。
本当に大したことはできなかったけど、少しでも力になれたなら・・・よかった。
クロヴィス先輩、フェロモンから察するにもっと子どもっぽいことする人だと勝手に思ってたけど意外と大人な対応──・・・・・・
「だが、安心してくれ。今後ラウーが辛い時は俺が側にいる。」
「うわあっ!?ク、ク、クロッ、ひえっ、」
「今からラウーの部屋で勉強会だ。もう行こう。」
「あ、あれ?そ、そうでしたっけ・・・って、お、下ろしてくださいぃ・・・っ!」
「では、これで失礼する。」
「ティ、ティフくん、また教室でっ、ひゃっ!クロヴィス!匂い嗅ぐのやめてくださいって、言ってるのに!」
「ラウーくん、またねー(棒読み)」
「ま、またね!んやっ、もう、クロヴィス?!」
「・・・・・・」
訂正しよう。
全然大人じゃない、この獣人。
ラウーくんが華奢とは言え、立派に成人した男。なのにあんなに軽々担ぎ上げるとは・・・・・・筋力ヤバいでしょ。
そして最後にちらりと振り向いたクロヴィス先輩の目。
「・・・あれは敵わないなぁ。」
恐ろしいほどの執着に塗れた愛情を、ラウーくんは知っているのかな。
クロヴィス先輩の体に隠れてラウーくんはもう見えない。
だけど僕はそちらに向けてひらひらと手を振って見送った。
----------------⭐︎
番外編の『アントスから見た二人』に挿絵を追加しました!
良ければご覧ください☺︎
2024.6.2
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