30 / 45
30.
自由時間と……
しおりを挟む
「自由行動っていっても、あの性悪な1組女子達の大部屋なんて行きたくないしね~。ここでノンビリしていてもいい、詩奈?」
若葉が、自分に付き合って、自由行動時間だというのに、出かけようとしないのが申し訳無くも有ると同時に、救われた気がした詩奈。
「うん、その方が、私は助かる~! 矢本君と北岡君は、浜口先生と同室で、どうしているんだろうね~?」
「あっ、それなんだけど、もしかしたら、もうそろそろ……」
と若葉が言いかけた時に、ドアをノックする音。
「やっぱり~! そろそろと思っていたんだ~!」
入って来たのは、若葉が予想していた通り瑞輝と凌空だった。
「えっ、浜口先生もいるのに、抜け出して大丈夫なの?」
2人が来ると思わず、パジャマ代わりのスウェット上下に着替え、ボケボケしていた詩奈は驚いた。
「職員が別室に集まって、明日の打ち合わせしに行ったから、チャンスと思って抜け出した」
「もう寝ようとしてた?」
バスの中で睡眠不足な話をしていたのを思い出し、詩奈に尋ねた凌空。
「ううん、まだ。寛いでいただけ」
「私、トランプ持って来たから、ぶたのしっぽしようよ!」
若葉が、身を乗り出して提案した。
(ぶたのしっぽ……矢本君と手が重なるかも知れないから嬉しいけど、痛いかも)
瑞輝の手と重ねるチャンスが有るかも知れない期待よりも、怪我のせいで反射神経がいつも以上に無い事と、皆の勢いが出そうな事が怖かった。
「ぶたのしっぽは、牧田さんにぶつかったりするかも知れないし、危ないんじゃないかな?」
凌空が、詩奈の今の状況から無理そうに思えて代弁した。
「確かにそうかも……瑞輝の手をバシバシ叩こうと思ってたから、残念だけど」
「神経衰弱あたりが無難そうかな?」
「うん、若葉の希望に添えなくて悪いけど……」
申し訳なさそうに言った詩奈。
「気にしないで! 足が治った時に、皆でするの楽しみにしているから!」
(若葉……やっぱり、足が治っても、友達でいてくれるんだ!)
治った時に若葉1人だけでも、友達のままいてくれるのが有難かった。
「全部のカードでやったら広がり過ぎて、牧田さんの手が届かないかも知れないから、半分の量でやろう」
(北岡君、いつも私の事を第一に考えてくれて、優しい……)
詩奈が全部の札に届きやすいように、半分の量で、あまり広げずにトランプを置いた凌空。
「凌空の得意分野だけど、半分しか札が無いなら、俺も負けない!」
「罰ゲームとか決めない?」
若葉が楽しそうに提案してきた。
「内容によるな~、どんな罰ゲーム?」
「『好きな人を白状する 』とかってどう?」
目をキラキラさせて言った若葉。
(えっ、好きな人を白状って……!!)
自分が負けた時の事を考え、ドキッとした詩奈。
「却下!」
両腕で×を作った瑞輝。
「え~っ、つまんないの! まあ、早くしないと、浜口先生戻るし、始めようか~」
罰ゲームが無くなってホッとした詩奈。
神経衰弱は、予想通り記憶力の良い凌空が圧倒的有利に進んでいた。
「つまんね~、凌空ばっかじゃん! しかも、記憶だけでなく、運にまで味方されてる!」
まだ1組しか取れてない瑞輝が、既に10組以上取れている凌空の積まれたカードを見て不満を漏らした。
「北岡君、さすが強いね~!」
やっと2組目が取れた詩奈の右横では、若葉も同じだけ取れていた。
その時、突然、部屋が真っ暗になった。
「えっ、何? 暗い!」
「うそっ、停電! あっ、私、懐中電灯の位置、分かっているから、私が取りに行く! 動くとトランプがズレるし、詩奈が危ないから、皆、ジッとしててね!」
若葉がソッと立ち上がり、懐中電灯の有る、2つ並んだベッドの内側へ、手探りしながらゆっくりと進んだ。
暗くなってすぐ、詩奈の左側にいた瑞輝が、詩奈の手に自分の手を重ねて来た。
「牧田、大丈夫か? 危ないから、下手に動くなよ」
(あっ、矢本君の手だ……暗闇は怖いけど、何だか安心する)
「肝試しより驚いたけど、大丈夫」
(大丈夫と思えるのは、矢本君が隣にいて、こうして手を重ねてくれているから……停電に感謝したいくらい幸せ!)
ベッド横まで辿り着いた若葉は、暗闇の中、懐中電灯を設置してある場所から取り外すのに苦戦している様子。
「もうちょっと待ってね、見付かってはいるんだけど、暗いし、取り外し方がよく分からなくて……」
その時、詩奈の唇に、誰かの暖かい唇がそっと触れた。
若葉が、自分に付き合って、自由行動時間だというのに、出かけようとしないのが申し訳無くも有ると同時に、救われた気がした詩奈。
「うん、その方が、私は助かる~! 矢本君と北岡君は、浜口先生と同室で、どうしているんだろうね~?」
「あっ、それなんだけど、もしかしたら、もうそろそろ……」
と若葉が言いかけた時に、ドアをノックする音。
「やっぱり~! そろそろと思っていたんだ~!」
入って来たのは、若葉が予想していた通り瑞輝と凌空だった。
「えっ、浜口先生もいるのに、抜け出して大丈夫なの?」
2人が来ると思わず、パジャマ代わりのスウェット上下に着替え、ボケボケしていた詩奈は驚いた。
「職員が別室に集まって、明日の打ち合わせしに行ったから、チャンスと思って抜け出した」
「もう寝ようとしてた?」
バスの中で睡眠不足な話をしていたのを思い出し、詩奈に尋ねた凌空。
「ううん、まだ。寛いでいただけ」
「私、トランプ持って来たから、ぶたのしっぽしようよ!」
若葉が、身を乗り出して提案した。
(ぶたのしっぽ……矢本君と手が重なるかも知れないから嬉しいけど、痛いかも)
瑞輝の手と重ねるチャンスが有るかも知れない期待よりも、怪我のせいで反射神経がいつも以上に無い事と、皆の勢いが出そうな事が怖かった。
「ぶたのしっぽは、牧田さんにぶつかったりするかも知れないし、危ないんじゃないかな?」
凌空が、詩奈の今の状況から無理そうに思えて代弁した。
「確かにそうかも……瑞輝の手をバシバシ叩こうと思ってたから、残念だけど」
「神経衰弱あたりが無難そうかな?」
「うん、若葉の希望に添えなくて悪いけど……」
申し訳なさそうに言った詩奈。
「気にしないで! 足が治った時に、皆でするの楽しみにしているから!」
(若葉……やっぱり、足が治っても、友達でいてくれるんだ!)
治った時に若葉1人だけでも、友達のままいてくれるのが有難かった。
「全部のカードでやったら広がり過ぎて、牧田さんの手が届かないかも知れないから、半分の量でやろう」
(北岡君、いつも私の事を第一に考えてくれて、優しい……)
詩奈が全部の札に届きやすいように、半分の量で、あまり広げずにトランプを置いた凌空。
「凌空の得意分野だけど、半分しか札が無いなら、俺も負けない!」
「罰ゲームとか決めない?」
若葉が楽しそうに提案してきた。
「内容によるな~、どんな罰ゲーム?」
「『好きな人を白状する 』とかってどう?」
目をキラキラさせて言った若葉。
(えっ、好きな人を白状って……!!)
自分が負けた時の事を考え、ドキッとした詩奈。
「却下!」
両腕で×を作った瑞輝。
「え~っ、つまんないの! まあ、早くしないと、浜口先生戻るし、始めようか~」
罰ゲームが無くなってホッとした詩奈。
神経衰弱は、予想通り記憶力の良い凌空が圧倒的有利に進んでいた。
「つまんね~、凌空ばっかじゃん! しかも、記憶だけでなく、運にまで味方されてる!」
まだ1組しか取れてない瑞輝が、既に10組以上取れている凌空の積まれたカードを見て不満を漏らした。
「北岡君、さすが強いね~!」
やっと2組目が取れた詩奈の右横では、若葉も同じだけ取れていた。
その時、突然、部屋が真っ暗になった。
「えっ、何? 暗い!」
「うそっ、停電! あっ、私、懐中電灯の位置、分かっているから、私が取りに行く! 動くとトランプがズレるし、詩奈が危ないから、皆、ジッとしててね!」
若葉がソッと立ち上がり、懐中電灯の有る、2つ並んだベッドの内側へ、手探りしながらゆっくりと進んだ。
暗くなってすぐ、詩奈の左側にいた瑞輝が、詩奈の手に自分の手を重ねて来た。
「牧田、大丈夫か? 危ないから、下手に動くなよ」
(あっ、矢本君の手だ……暗闇は怖いけど、何だか安心する)
「肝試しより驚いたけど、大丈夫」
(大丈夫と思えるのは、矢本君が隣にいて、こうして手を重ねてくれているから……停電に感謝したいくらい幸せ!)
ベッド横まで辿り着いた若葉は、暗闇の中、懐中電灯を設置してある場所から取り外すのに苦戦している様子。
「もうちょっと待ってね、見付かってはいるんだけど、暗いし、取り外し方がよく分からなくて……」
その時、詩奈の唇に、誰かの暖かい唇がそっと触れた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
家出を決行した結果
棗
恋愛
フィービーの婚約者ミゲルには大切な幼馴染がいる。病弱な幼馴染をいつも優先するミゲルや母が亡くなって以降溝が出来てしまった父と兄との関係にフィービーは疲れていた。
デートの約束をしてもいつも直前になって幼馴染を理由にキャンセルされ、幼馴染にしか感情を見せないミゲルを、フィービーを見ようとしない父や兄を捨てる決心をしたフィービーは侍女や執事の手を借りて家出を決行した。
自分を誰も知らない遠い場所へ行ったフィービーは、新しい人生の幕開けに期待に胸を躍らせた。
※なろうさんにも公開しています。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる