スキル【ファミレス】を使っていたら伝説になりました。

キンモクセイ

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質に勝つには数の暴力が1番手っ取り早い

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 騒動から1夜開け、優達は有言実行とでもいいたげに「ファルタール」の前にいた。優は荷物の入った袋を肩に掛けていた。

「ほ、ほんとにやるんですか?優さん。」

「あぁ、こういう事は早めにやった方が良い。」

「うむ。スグル殿の言う通りだな。」

 なぜルキアスまでいるのか。

 優の持つ袋には、何が入っているのか。

と、メリーは疑問が頭に浮かんだが、それをよそに大人達は建物の中に入っていき、慌てて追いかける事しか出来なかった。

ギルド内に入ると、昨日の受付嬢がこちらを見てすぐに奥へと引っ込んだ。

少しすると、ギルドマスターのデロイアが先ほどの受付嬢を連れ立って、優達のもとへ駆け付けた。

「スグル様、メリー様。昨日の件は伺っております。お怪我などは大丈夫でしたでしょうか?」

「昨日の件は、まだお話ししてない筈ですが………。」

「実は、此方の受付担当の者が、広場での騒ぎの一部始終を見ていたそうで、出勤と同時に私に知らせて来たのです。」

受付嬢は膝を折り、メリーと目線を合わせた。

「メリー様、大丈夫でしたか?お助け出来ず、申し訳ありません。」

「だ、大丈夫です。ケガも無いです。心配させてごめんなさい。」

「とんでもない事でございます。実は私には、メリー様と同じくらいの姪がいるので、お会いした時から出来るだけお支えしたいと、思っておりました。」

「そうだったんですね。ありがとうございます。」

「経緯が伝わっているのなら、話は早いな。我らの要望は、分かっているだろう?」

「ルキアス隊長もご同行とは。スグル様の人脈の広さには、驚きを隠せません。」

「恐縮です。世間話はここまでにしましょう、話を進めても良いですか?」

「えぇ、そうですね。では、私の執務室へご案内致します。そちらで詳細を伺わせていただきます。此方へどうぞ。」

一同は、デロイアの執務室へ案内され、事の詳細を語った。





「なんと…………、そんな事があったのですね……。」

デロイアは、淡々と話す優とは打って変わって、衝撃を受けていた。

「それで、今回の件のことで3人に営業妨害と器物破損、無銭飲食の3つで訴訟を起こそうかと考えてます。」

「かしこまりました……。ですが、申し上げにくいのですが、こういった件での訴訟には、物的証拠と第三者の証言が必須となっております。」

「それなら問題ありません。」

優は、持っていた袋から荷物を取り出そうとした時だった。

キーの尻尾が、3つに分かれ扉の方を向き、毛を逆立てた。

執務室の外から、騒々しい音が聞こえてきた。

「お待ち下さい!ギルドマスターは只今、別の方との会議中です!」

「えぇい、うるさいぞ!受付嬢ごときが私を止めるな!」

声の主は、ドスドスと足音を立てながら此方へ近づきその勢いのまま、バンッ!と荒々しく扉を開けた。

「デロイア殿!」

でっぷりとした腹にたっぷり蓄えた髭、無駄に豪華な装飾が入った服装、手にはいくつもの飾られた指輪をつけた男が入ってきた。

「これはこれはポルーカ様、ようこそおいでくださいました。ですが、只今ご覧の通り会議の最中なので、別の部屋でお待ちいただけますか?」

デロイアは、入ってきた男に丁寧に伝えるが、本人は何も気にせず語りだした。

「そんな者達よりも私の話を聞け!私の息子、モルガがこちらでギルド登録した者達から危害を加えられたと聞いた!一体どうなっている!」

「?危害とは、何が起きたのでございますか?」

「うむ、昨晩街の中央広場で友人2人と話していたら男に突き飛ばされ、ケガをしたと聞いた。更には連れていた少女に、罵倒されたと訴えてきたのだぞ!?早急に、その者たちを連れてこい!抗議をせねば!」

「父上、この者達です!」

なんと、ポルーカの後ろには、昨日の男が立って優達を指さししていた。
腕には、大袈裟な程の包帯が巻かれていて、まるで自分が1番の被害者かのような表情をしていた。

「なんだと!?小奴らがお前を傷つけたのだな!フンッ!ただの若造と小娘ではないか。」

ポルーカは、優達を睨みつけたが、すぐにあからさまに見下す態度をとった。

「ご子息がケガですか……。ですが、先ほど此方の方々から聞いた話とは全くの逆でございますね……。」

「なに!?どういった内容だったのだ!」

「それは俺から話しをします。」

優は立ち上がり話しポルーカへ話しかけた。

「はじめまして。移動食堂「ブリエ」の代表を務めています、優と申します。此方は私の下請けの「スコッル」の代表メリーです。」

「聞いた事もないな。よほど弱小な商いなのだろう。」

「それはそうでしょう。なにせこの街に着いてまだ幾日もたっておりませんし、「スコッル」は昨日登録したばかりですから。」

「ハッ!根無し草に新参者か。貴様たちの様なものにはお似合いだな。」

ポルーカは、優とメリーを値踏みするかのように見てきた。

「私どもは、ご子息とそのご友人2人から、営業中に妨害と捉えられる行為を受け、更には器物破損、無銭飲食をされたので、訴訟を考えております。」

「訴訟だと!?生意気な!大体そちらの言い分には、証拠が無いではないか!!」

「証拠ならございますよ。」

優は改めて袋を持ち、ひっくり返した。

       《《ガチャンッ
ッ!!》》

音を立てて落ちてきたのは、昨日モルガが蹴り飛ばし破壊したメニュー看板だった。

「これは、私の店で使用している備品です。貴方のご子息はこれを蹴り飛ばし、破壊した。立派な器物破損ですよね。」

「お、お前が壊したに決まっている!私の息子は清廉潔白なのだ!そのような事をするはずが無い!そもそも、証人も居ないでは無いか!!」

「証人ならおりますぞ。」

今度は、ルキアスが立ち上がった。

「これは、昨日「ブリエ」で起きた出来事を見ていた者達からの、証言を集めた書類だ。デロイア殿、確認を頼みたい。


ルキアスは、辞書が出来るのではないかといわれる程の、紙の束をデロイアの前に置いた。

「拝見させていただきます。…………ふむ、内容はほぼ同じですが、かなり詳細に書かれていますね。おや?此方の方は自分の店でされた事も記入なさっている。」

いつの間にこんなものを用意していたのかと、メリーは驚いた。

実は、これらの証言の束はメリーが仲良くなった子供達と話し込んでいる間に、優が頼んだのだ。

来店していた客全員にデザートを運んだ際に、証言をしてほしいと。

ポルーカがこれを聞けば、賄賂だと喚くに決まっている。

しかし、客達はデザートを抜きにしても証言するつもりだった。

デザートは、来客にとって優との会話をする糸口にすぎないのだった。
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