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坂道を下るボールには絶対に追いつけない
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「ち、違います!こんな庶民の証言などデタラメです父上!」
焦ったモルガは、ポルーカへ訴えた。
「そ、そうだな。デロイア殿、その庶民の書いた証言の束、こちらにも見せてもらおう。」
「いえ、こちらは一度写す為、預からせていただきます。破られたり、破損されては困りますからね。」
デロイアはポルーカを横目に書類を見続けた。
ポルーカ達は図星だったのか、一瞬黙り込んだ。
だが、2人はしぶとかった。
「こんな庶民の書いた証言など金を積んで書かせたに過ぎない!」
「そうです!真に受けてはなりませんぞ、デロイア殿!」
「おや、わたし達は根無し草と新参者ですよ?その様な金があるとでも?」
「うるさい!黙れ!」
墓穴を掘ったポルーカ達は、喚く事しか出来なかった。
「そういえば、ご子息のお尻の方は大丈夫でしょうか?昨晩はかなり派手に、転倒されていましたので。」
追い打ちとばかりに優は言った。
「そ、それは!」
「あぁ、あの時はかなり酔っておられましたからね。覚えていらっしゃらないかもしれないですね。」
「俺はシラフだった!酒など飲んでない!お前に突き飛ばされて俺は尻を打ったんだ!その上、腕まで握られてこの有り様だ!」
「おや、それは物的証拠となりますね。では、そのお尻のケガを拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
「なっ!?」
デロイアは優の意図を汲み、発言した。
要は、この場で尻を晒せと言っているのだ。
無駄にプライドの高い2人は、尻込みするしか出来なかった。
「黙秘するということは、見せられないと捉えてよろしいですか?それならば証拠とはなりませんね。」
「う、腕だ!コイツに傷つけられた腕なら証拠になるだろう!」
モルガは包帯が大袈裟に巻かれた腕を素早く突き出した。
「腕ですか……。その様子ですとかなりの重傷ですね。」
「そ、そうだぞ!折れる一歩手前だったのだ!」
モルガは、これでもかと腕を見せつけるように振った。
「だそうですが、軍人としてのご意見をお伺いしてもよろしいでしょうか?ルキアス隊長。」
「一般人に腕を掴まれただけで、骨折寸前までいく者など軍人とは呼べぬな。本当に重傷ならばな。」
「なっ、隊長までコイツらの味方ですか?お前、さては料理に何かしらの毒を仕込んだな!?それで隊長を含め、全員がお前に操られているんだ!」
「毒を仕込む?では、貴方が操られないのはなぜでしょうか?昨晩店にご来店された方々と、同じ料理をお食べになったのに。」
「それは、俺の飲んでた酒のおかげだ!酒が毒を浄化したんだ!…………あ。」
決定打だった。
男3人は、顔を見合わせニヤリと笑った。
「おやおや、酒は飲んでないと先ほどおっしゃっていたのは、我々の聞き間違いですかな?」
「いや、それは無いでしょう。あんなに大見得を切っていたのだから。」
「全くですな。これが事実ならば、支離滅裂な虚言を吐いていた、という事になりますね。」
追い詰められたポルーカは、金貨の入った袋を取り出した。
「これで訴訟を取り下げろ!金なら、いくらでも積む!」
すると、3人は真顔になった。
まるで予想していた通りとでも言いたげに。
「申し訳ありません。当ギルドとしては、特定の相手からこのようなものを受け取る訳にはいかないのです。」
デロイアは恭しく、
「な、ならばルキアス殿!証言をこれで無かったことに!」
「軍人たるもの、このようなもので動かせると思うな。と皆に教育している立場なのでお断りさせてもらう。」
ルキアスは堂々と、
「で、ではお主。スグルとか言ったな。これを受け取れ!お前たちには、身に余るほどの大金であろう!」
「えぇ、そうですね。私たちのような根無し草や、新参者にはもったいない金額です。しかし…………、金で下請けからの訴えを取り消したとなると、保護組合の方から何と言われるか、分かったもんじゃありませんからねぇ。」
優はもったいぶるように、断った。
ポルーカ達は、怒りと屈辱で顔を真っ赤にし俯いた。
そんな2人に優は近づき、耳元で話しかけた。
「メリーに謝れ。誠心誠意、頭を下げ、心を込めて謝罪するんだ。そうすりゃ、営業妨害と暴行未遂の訴えは取り下げてやる。」
大人が子供に謝罪する。
口では簡単に言えることだが、それを出来るかは、また別問題だ。
特に、2人のようなプライドの高すぎる人には。
「き、貴様ら後悔するぞ!私を敵にまわすとどうなるか思い知るが良い!!行くぞ、モルガ!!」
「ち、父上!お待ちください!!お前たち、覚えてろよ!」
ポルーカは怒りを表すかのようにドスドスと、モルガは逃げるように去っていったのだった。
焦ったモルガは、ポルーカへ訴えた。
「そ、そうだな。デロイア殿、その庶民の書いた証言の束、こちらにも見せてもらおう。」
「いえ、こちらは一度写す為、預からせていただきます。破られたり、破損されては困りますからね。」
デロイアはポルーカを横目に書類を見続けた。
ポルーカ達は図星だったのか、一瞬黙り込んだ。
だが、2人はしぶとかった。
「こんな庶民の書いた証言など金を積んで書かせたに過ぎない!」
「そうです!真に受けてはなりませんぞ、デロイア殿!」
「おや、わたし達は根無し草と新参者ですよ?その様な金があるとでも?」
「うるさい!黙れ!」
墓穴を掘ったポルーカ達は、喚く事しか出来なかった。
「そういえば、ご子息のお尻の方は大丈夫でしょうか?昨晩はかなり派手に、転倒されていましたので。」
追い打ちとばかりに優は言った。
「そ、それは!」
「あぁ、あの時はかなり酔っておられましたからね。覚えていらっしゃらないかもしれないですね。」
「俺はシラフだった!酒など飲んでない!お前に突き飛ばされて俺は尻を打ったんだ!その上、腕まで握られてこの有り様だ!」
「おや、それは物的証拠となりますね。では、そのお尻のケガを拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」
「なっ!?」
デロイアは優の意図を汲み、発言した。
要は、この場で尻を晒せと言っているのだ。
無駄にプライドの高い2人は、尻込みするしか出来なかった。
「黙秘するということは、見せられないと捉えてよろしいですか?それならば証拠とはなりませんね。」
「う、腕だ!コイツに傷つけられた腕なら証拠になるだろう!」
モルガは包帯が大袈裟に巻かれた腕を素早く突き出した。
「腕ですか……。その様子ですとかなりの重傷ですね。」
「そ、そうだぞ!折れる一歩手前だったのだ!」
モルガは、これでもかと腕を見せつけるように振った。
「だそうですが、軍人としてのご意見をお伺いしてもよろしいでしょうか?ルキアス隊長。」
「一般人に腕を掴まれただけで、骨折寸前までいく者など軍人とは呼べぬな。本当に重傷ならばな。」
「なっ、隊長までコイツらの味方ですか?お前、さては料理に何かしらの毒を仕込んだな!?それで隊長を含め、全員がお前に操られているんだ!」
「毒を仕込む?では、貴方が操られないのはなぜでしょうか?昨晩店にご来店された方々と、同じ料理をお食べになったのに。」
「それは、俺の飲んでた酒のおかげだ!酒が毒を浄化したんだ!…………あ。」
決定打だった。
男3人は、顔を見合わせニヤリと笑った。
「おやおや、酒は飲んでないと先ほどおっしゃっていたのは、我々の聞き間違いですかな?」
「いや、それは無いでしょう。あんなに大見得を切っていたのだから。」
「全くですな。これが事実ならば、支離滅裂な虚言を吐いていた、という事になりますね。」
追い詰められたポルーカは、金貨の入った袋を取り出した。
「これで訴訟を取り下げろ!金なら、いくらでも積む!」
すると、3人は真顔になった。
まるで予想していた通りとでも言いたげに。
「申し訳ありません。当ギルドとしては、特定の相手からこのようなものを受け取る訳にはいかないのです。」
デロイアは恭しく、
「な、ならばルキアス殿!証言をこれで無かったことに!」
「軍人たるもの、このようなもので動かせると思うな。と皆に教育している立場なのでお断りさせてもらう。」
ルキアスは堂々と、
「で、ではお主。スグルとか言ったな。これを受け取れ!お前たちには、身に余るほどの大金であろう!」
「えぇ、そうですね。私たちのような根無し草や、新参者にはもったいない金額です。しかし…………、金で下請けからの訴えを取り消したとなると、保護組合の方から何と言われるか、分かったもんじゃありませんからねぇ。」
優はもったいぶるように、断った。
ポルーカ達は、怒りと屈辱で顔を真っ赤にし俯いた。
そんな2人に優は近づき、耳元で話しかけた。
「メリーに謝れ。誠心誠意、頭を下げ、心を込めて謝罪するんだ。そうすりゃ、営業妨害と暴行未遂の訴えは取り下げてやる。」
大人が子供に謝罪する。
口では簡単に言えることだが、それを出来るかは、また別問題だ。
特に、2人のようなプライドの高すぎる人には。
「き、貴様ら後悔するぞ!私を敵にまわすとどうなるか思い知るが良い!!行くぞ、モルガ!!」
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