政略結婚が恋愛結婚に変わる時。

美桜羅

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望んだ未来

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母さんは、睨んでも表情を何一つ変えずその倍の目力で見下ろす父さんに肩がすくんだのだろう、少し息を飲みながら。

『…っ知哉さん、そんな顔ばかりしてないでもう少し笑って下さい!』

母さんのその言葉に。

父さんは思いっきり眉を寄せながら。

『…うるさい。何で楽しくも無いのに笑わなきゃいけないの、意味が分からない。』

その言葉に母さんは画面の方を向きながら。

『…だって、せっかくのパリなのに…』

そう言って眉を下げる母さんを、後ろから父さんは眉を寄せながら見て。

『…瑞紀、こっちおいで。』

父さんのその言葉に、母さんはその綺麗な顔でゆっくりと微笑んで父さんの方に振り返って。

それから、そんな母さんをさっきとは比べ物になら無いくらいの優しい顔で微笑む父さんに向かって、母さんは少し小走りで携帯を手に持ったままかけてゆく。

それから、母さんは20センチの身長差を必死で埋めるように背伸びをして。

そんな母さんを、可愛い可愛い、と目で訴えて見ている父さんに気づかずに。

父さんと一緒に画面に写って。

『じゃあ、お土産たくさん買って行くからね!』

そう笑う母さんを。

父さんは少し眉を寄せながら見る。

でもその顔には、やはり母さんを愛しいと思う気持ちがにじみ出てて。

…プツン

そこで、動画は終わっていた。



おいおい。

一体何が言いたかったんだ。

またいつものノロケか。

父は俺を睨みながら全力で否定してるけど、こんなのはノロケ以外の何者でもない。

そう思いながら。

画面をスクロールすると。

一枚の画像が出てきて。

TVで何度も見た事のある名所の前で。

こちらを見ながら、綺麗な顔で笑う母と。

カメラの方なんか見向きもせずに母だけを、少し笑いながら見る父。

その写真を見ながら、ため息をついて。

…またか。

父はいつも母と二人で写真を取る時、カメラの方を見ずに母の方を見て笑う。

俺とか、妹には決して向けない笑顔で。

母と父は。

昔から。

周りにも言われるほど。

人目を引く見た目をしてて、とてもお似合いで。

そんな父と、母を誇らしく思ってる事は俺だけの秘密。



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