朝日に捧ぐセレナーデ 〜天使なSubの育て方〜

沈丁花

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第二部

突然の別れ⑦(東弥side)

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舌をこれ以上ないほどに深くまで絡めあい、何度も何度も違う角度から唇を重ねた。

名残惜しさを覚えながらもそろそろ静留が苦しそうなので唇を離すと、彼は全力疾走した後のように肩を上下させ始める。

「ごめん、苦しかった?」

「…えっとね、うれし、かった…。」

静留の顔は真っ赤で、恥ずかしそうに視線を泳がせている様子が可愛らしい。

__俺もちゃんと言わなきゃね。

「静留、collar首輪のことだけど、できなかった理由をちゃんと話してもいい?」

彼が落ち着いたのを見計らって話を切り出すと、静留は申し訳なさそうに俯いた。

「おしえて。おしえてもらえないとわからなくて、ごめんなさい…。」

それを知らないところも全て引っくるめて好きだったと、これからそれを教えるのにそう返すのは酷だろうか。

すこし迷った末東弥は何も言わず、ただ口元に優しい笑みを浮かべる。

「結婚するときに結婚式をするみたいに、パートナーになるときにclaimクレイムっていうのをするんだ。

そのときにcollarを渡すんだけど、それと一緒に、その、…セックスをすることになってて…。」

中高生でもあるまいし、この年になって顔を赤らめてこの単語を言うことになるとは思わなかった。

静留に対してその単語を発することは、何かとても後ろめたい。

「…せっくす…?」

言いながら、静留はきょとんと首を傾げた。

少なくともそんなあどけない表情を浮かべて発する単語ではない。

しかしその内容をしっかり説明しなければ静留に示しがつかないのだ。

きっと母に言われた内容でひどく傷つき、東弥に“自分を手放してもいい”、などと言うほどだったのだから。

「怖がってもいい。けど嫌がらないで聞いてね。したくないとか、汚いとか言われたら結構凹むから。セックスっていうのはね…。」

その男同士のやり方と意味について彼にもわかる言葉で説明すると、静留は顔を両の手のひらで覆ってしまった。






「東弥さんは、それ、したいの…?」

指の隙間からこちらを覗きながら、震える声で彼が言う。

一言で答えるのなら、したい。

静留の白い身体をベッドに横たえ、自分のために足を開かせ、その小さな身体で受け入れてほしいと思う。

でも、すぐにしたいわけじゃない。

「いずれはしたいと思うよ。でも今すぐしたいとか、そう言うわけじゃないかな。むしろ静留がどうしてもしたくないなら、しなくてもいい。

静留がしたいと思ったときにしたいな。俺には静留しかいないから、そういうこともゆっくり知っていけばいいと思ってた。」

東弥の答えを聞いて、静留はほっとしたように柔らかに笑んだ。

それからじっと東弥の目を見て、顔を真っ赤にして言う。

「…ぼくは、…はずかしい、けど、東弥さんのになりたい。首輪、つけてほしい…。」

__ここが病院じゃなかったら、危なかったかもな…。

この状況に初めて感謝した。

潤んだ瞳でそんなことを言われたら、たまったものではない。

「いきなり本番じゃなくて、例えば今夜にしてることをもう少し本番に近づけたりして、少しずつ練習しようね。それに怪我が治らないとできないし…。

静留のこと大切にしたいから、ゆっくりしたい。それでもいい?」

彼の手首を優しく掴み、顔を覆う両手を外す。

彼は少し不安そうに眉をひそめていた。

「…嫌…?」

「いやじゃない、けど…。

東弥さんのしるし、はやくほしい…。」

予想外の内容が返ってきて驚く。

なんだこの可愛い返答は。

しかしcollarを渡すならちゃんとclaimの儀式をしたい。そしてそれを静留が痛がらないためには数週間単位の準備が必要で。

迷った末、一つの答えにたどり着いた。

なにかcollarの代わりになるものを印として渡せばいい。婚約指輪だって、結婚式の前に渡すではないか。

例えば…。

「そういえば静留、ピアノはずっと弾いてないの?」

「…?うん。」

「それは大変だ。今から梨花さんに連絡するから、ちゃんと練習しないと。」

「…でも…。」

「コンサートのこともあるでしょう?梨花さんと相談して、終わったらまたここに来ればいいから。」

「…うん…。」

「それまで一緒にお話ししよう。」

「うん!」

結果的に少し話をはぐらかす形になってしまったが、思いついたことを実行するためなので仕方ない。

「もしもし?あのさ、お願いがあるんだけど…。」

梨花が血相を変えて静留を回収しにきた後、東弥はある人物に連絡を入れた。
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