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【第六話】蒲生攻略
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松坂城攻略を目指すため、島津義弘は叔父の忠将・尚久と共に蒲生城の攻囲陣から出陣した。
「叔父上、この度の松坂城攻め、よろしくお願いいたします」
「おう、任せておけ。それにしても、おぬし、戦場をよく観察しておるな」
「わが方の勝利のために当然のことをしているまででございます」
「いや、おぬしの戦術眼をわしは高く買っておる。できるようでなかなかできることではないぞ」
島津忠将は大真面目に義弘に向かって言った。
「叔父上、改めて言われますと、それがしも照れまする」
義弘は叔父に褒められたことが何故かとても誇らしかった。
「兄上が申すから言うわけではないが、わしも其方の戦術は見事であると感心しておった。これからの島津は安泰じゃの」
島津尚久も忠将に同意した。
「尚久叔父上、そのお言葉、心に刻みまする」
「そろそろ、松坂城が見えてくると思います」
義弘配下の梅北国兼が言った。
「みなのもの、正面から一気に突っ込むぞ!」
義弘は雄たけびを上げた。
城方も弓や鉄砲で応戦してくる中、義弘は先頭に立って城に突っ込んでいく。
「殿が突っ込んでいかれたぞ!我等も続け!」
義弘が先頭を切ることにより、島津軍の士気は大いに高まっていた。
しかし、松坂城方もそう易々と城を明け渡すわけにはいかないとばかりに、激しい抵抗をみせた。
「殿、このままでは、味方の被害も甚大でございます。一旦引き上げましょう」
梅北国兼が義弘に進言した。
「しかたあるまい。一旦引き上げじゃ!」
その年の10月に入り、義弘は再び松坂城に攻めかかった。
今回は、島津貴久が後詰として帖佐に入り、同じく後詰として義久が山田に入った。
「叔父上、今回は作戦を変更します。前回は、猪武者のように正面突破しかしませんでしたが、松坂城を完全包囲の上で攻めたいと思います。
野首口からは忠将叔父上、水の手口からは尚久叔父上、それがしが率いる本隊は西の口から攻めかかりたいと思います」
「作戦承知した。此度こそ、落としてくれようぞ」
三方向から同時攻撃を受けた松坂城は一気に混乱に陥った。
しかし、抵抗は凄まじく、義弘も矢傷を四、五箇所に受けながら突撃を繰り返した。
「敵将と見たり、尋常に勝負せよ」
義弘の前に城将と思われる具足姿の人物が現れた。
「若造が、目にもの見せてくれるわ。かかってこい!」
お互いが太刀と太刀を突き合わす。義弘はその衝撃を両手で受け止め、さらに押し返した。
敵将の体がぐらりと傾く。
その刹那、義弘は返す刀で敵将の肩口を狙って思い切り太刀を振り切った。
敵将の首が跳ね上がるのがスローモーションのように見えた。
義弘は、なんとも言えない感覚が残ったままの太刀を下におろした。
足が震えているのがわかった。
勝鬨の声が聞こえたのはそのすぐあとであった。
蒲生城の蒲生範清と祁答院良重は、松坂城救援のための兵を出したが、そこには島津貴久の軍が立ちはだかっていた。
貴久は見事にこれを敗走させた。
「……の、殿!怪我は大丈夫でございますか?」
梅北国兼が義弘のもとに駆け寄ってきた。
「……ん、あ、ああ、大事ない、大事ない。これしきの傷すぐ治るわい」
「左様でございますか……。お味方の見事な勝利にございます。しかも殿は敵将を討ち取られ、大手柄でございますな」
「国兼よ、人の首を落としたことはあるか」
「はっ、それがしもそれなりに戦場を経験しておりますからな。何度かございますよ」
「わしは、今回、初めてであった。なんと申すか、嫌な感覚であるな」
「殿、何を申されますか。戦はまだまだ続きます。殿がそのような弱気なことを言ってどうされます」
「……そうじゃな、戦はまだまだ始まったばかりであったな。すまぬ、余計なことを申した」
義弘は今まで、戦は将棋の駒のようなものだと思っていた。
しかし、実際の戦は、駒にも命がある。
駒それぞれに、妻や子がおり、人生がある。
命は一度きり、死んでしまえばそこですべてが終わる。
人生を全うできるならそれは悔いのないことであろう。
だが、戦で命を落とすことはそうではない。
人生がいきなり終了するのだ。誰かのせいで。
その夜、島津陣は、戦勝に沸いていた。
義弘は、初めて敵将の首を落とした。戦場では武功を称えられ、家臣たちは歓声を上げる。
しかし、義弘は一人、血の付いた太刀を見つめて震えていた。
そこへ、兄・義久が静かに入ってきた。
「兄上、……それがしは、……人を殺してしまいました……。戦とはこんなにも……苦しいものなのでしょうか」
「義弘、おぬしは戦を好まぬことはわしが一番よく知っている。だが、民のために戦うものは、皆その苦しみを背負うのだ」
「それがしは、……戦のない世を作りたい。だが、そのために、……わしは修羅にならねばならぬのでしょうか」
「その苦しみを知る者こそ。修羅を越えられる」
義弘は涙をぬぐい、太刀を握りなおした。
「国兼よ、わしは戦のない世の中を作りたい。しかし、それを成し遂げるには、修羅になり戦を勝ち残り続けなければならない。わしは、何があっても生き残ってみせるぞ。そして、戦のない世の中を見届けるのじゃ」
「殿、それがしもお供させていただきます」
義弘たちは、松坂城を落とした翌日、城の北側にある漆に兵を進めた。
漆の栫野城や遠江ヶ塁には祁答院の部隊が在陣していたが、兵たちはろくに戦いもせず祁答院へ逃げていった。
漆を抑えたことによって、祁答院から蒲生への補給路を断つことに成功したのである。
松坂城を攻略した島津軍は、11月には本格的に蒲生城の包囲に入った。
島津義久・義弘は城の西方に陣取り、東方の蒲生新城には島津貴久・尚久、島津忠将は馬立に陣取って城の北側を抑えた。
12月に入ると、反島津連合の菱刈重豊が蒲生氏救援のため、米丸に陣取った。島津軍は菱刈勢に難儀することになる。
翌年の4月に入り、島津軍は、菱刈陣に総攻撃を加えた。
「かかれ!かかれ!」
義弘は叫びながら、菱刈陣に突撃を敢行した。
途中、楠原某という敵将に出会い、一騎討となった。
義弘の勢いを楠原に止めることは不可能であった。
楠原の首は宙を舞い、義弘に討ち取られた。
島津軍の攻撃は凄まじく、菱刈勢は、300人が討ち取られ、大将の菱刈重豊も敗戦を覚悟し、戦場で切腹して果てた。
菱刈勢が敗れたことで、蒲生城は支城の北村城との連絡も絶たれ完全に孤立する。
すでに補給も絶たれており、城中に食糧もなく、蒲生範清は使者を島津貴久に遣わした。
「我が蒲生城は食糧も底をつき、最早抵抗する力もございません。城は明け渡します故、蒲生範清の命はお助けいただけるようお願い申し上げます」
「範清どのはどちらへ落ち延びられるご予定か」
貴久は尋ねた。
「祁答院良重さまを頼るつもりでございます」
「蒲生家は、我が島津家の国老も務めたことがある家柄、命だけはお助けしましょう」
「ありがたき幸せにございます。戻って主に伝えまする」
「父上、蒲生範清を生かして逃がしてしまってよかったのですか」
島津義久が尋ねた。
「蒲生は所領をすべて失った。ここで範清の命まで取っては後に禍根を残すだけじゃ。もうやつには反抗する力もあるまい」
「そうですね。無駄に命を奪う事はないでしょうね。父上、勉強になりました」
「義久、そなたは島津本家を継ぐ身である。一つの事象に対して、二手先、三手先を見越した手を打つことが肝要じゃ。お主がわしの跡を継いでどのような国のカタチを目指すのかはわからぬが、そのことだけは忘れるでないぞ」
「はっ、肝に命じまする」
「わしは、兄弟に恵まれておるが、おぬしも兄弟に恵まれておる。特に義弘は武勇においては我が家随一である。それらをうまく束ねよりよい国造りを目指すがよい」
「義弘ですか。確かにあやつはそれがしにはないものを持っております。歳久、又七郎もそれぞれ特徴があり、それがしに欠けている部分をよく補ってくれると思います」
「兄弟でよく話をすることじゃ。そしてみなが同じ方向を向いて動けば必ずやうまくいくであろう」
その夜、義久は義弘の陣を訪ねた。
「義弘、今回は見事な戦働きであったな」
「それがしは、先年、岩劔城の城番を任された際に、民の様子などを念入りに見て回りました。民は疲れ切っています。戦がなくなり、治安が安定すれば、民も安心して農事にいそしむことができるようになります。苗を植える喜び、苗の成長を見守る喜び、収穫の喜び。これに勝るものはございません。それがしは、戦のない世を目指したいのです」
「義弘よ、島津家の悲願は薩摩・大隅・日向の三州一統である。わしはそれに向けて邁進するつもりである。少なくとも、その三州の民が不幸になるようなことは絶対に許さぬつもりじゃ。おぬしの武勇は島津家中随一である。戦のない世を作るために、その力を大いに活かし、わしの手助けをしてもらいたい。さすれば、自ずとおぬしの願いも叶うのではないか」
「兄上、自分自身では自分の力がいかなるものなのか、よくわかっていない部分がございます。しかし、兄上がそれがしのことをそのように評価していただけるのでしたら、精一杯兄上についてゆくつもりでございます」
その夜は兄弟水入らずで久しぶりに杯を重ねた。
義弘は兄の本音が聞けて嬉しかった。
普段は口数の少ない兄から話かけられたことも嬉しかった。
久しぶりにうまい酒を呑み、時間が経つのを忘れるほどであった。
「叔父上、この度の松坂城攻め、よろしくお願いいたします」
「おう、任せておけ。それにしても、おぬし、戦場をよく観察しておるな」
「わが方の勝利のために当然のことをしているまででございます」
「いや、おぬしの戦術眼をわしは高く買っておる。できるようでなかなかできることではないぞ」
島津忠将は大真面目に義弘に向かって言った。
「叔父上、改めて言われますと、それがしも照れまする」
義弘は叔父に褒められたことが何故かとても誇らしかった。
「兄上が申すから言うわけではないが、わしも其方の戦術は見事であると感心しておった。これからの島津は安泰じゃの」
島津尚久も忠将に同意した。
「尚久叔父上、そのお言葉、心に刻みまする」
「そろそろ、松坂城が見えてくると思います」
義弘配下の梅北国兼が言った。
「みなのもの、正面から一気に突っ込むぞ!」
義弘は雄たけびを上げた。
城方も弓や鉄砲で応戦してくる中、義弘は先頭に立って城に突っ込んでいく。
「殿が突っ込んでいかれたぞ!我等も続け!」
義弘が先頭を切ることにより、島津軍の士気は大いに高まっていた。
しかし、松坂城方もそう易々と城を明け渡すわけにはいかないとばかりに、激しい抵抗をみせた。
「殿、このままでは、味方の被害も甚大でございます。一旦引き上げましょう」
梅北国兼が義弘に進言した。
「しかたあるまい。一旦引き上げじゃ!」
その年の10月に入り、義弘は再び松坂城に攻めかかった。
今回は、島津貴久が後詰として帖佐に入り、同じく後詰として義久が山田に入った。
「叔父上、今回は作戦を変更します。前回は、猪武者のように正面突破しかしませんでしたが、松坂城を完全包囲の上で攻めたいと思います。
野首口からは忠将叔父上、水の手口からは尚久叔父上、それがしが率いる本隊は西の口から攻めかかりたいと思います」
「作戦承知した。此度こそ、落としてくれようぞ」
三方向から同時攻撃を受けた松坂城は一気に混乱に陥った。
しかし、抵抗は凄まじく、義弘も矢傷を四、五箇所に受けながら突撃を繰り返した。
「敵将と見たり、尋常に勝負せよ」
義弘の前に城将と思われる具足姿の人物が現れた。
「若造が、目にもの見せてくれるわ。かかってこい!」
お互いが太刀と太刀を突き合わす。義弘はその衝撃を両手で受け止め、さらに押し返した。
敵将の体がぐらりと傾く。
その刹那、義弘は返す刀で敵将の肩口を狙って思い切り太刀を振り切った。
敵将の首が跳ね上がるのがスローモーションのように見えた。
義弘は、なんとも言えない感覚が残ったままの太刀を下におろした。
足が震えているのがわかった。
勝鬨の声が聞こえたのはそのすぐあとであった。
蒲生城の蒲生範清と祁答院良重は、松坂城救援のための兵を出したが、そこには島津貴久の軍が立ちはだかっていた。
貴久は見事にこれを敗走させた。
「……の、殿!怪我は大丈夫でございますか?」
梅北国兼が義弘のもとに駆け寄ってきた。
「……ん、あ、ああ、大事ない、大事ない。これしきの傷すぐ治るわい」
「左様でございますか……。お味方の見事な勝利にございます。しかも殿は敵将を討ち取られ、大手柄でございますな」
「国兼よ、人の首を落としたことはあるか」
「はっ、それがしもそれなりに戦場を経験しておりますからな。何度かございますよ」
「わしは、今回、初めてであった。なんと申すか、嫌な感覚であるな」
「殿、何を申されますか。戦はまだまだ続きます。殿がそのような弱気なことを言ってどうされます」
「……そうじゃな、戦はまだまだ始まったばかりであったな。すまぬ、余計なことを申した」
義弘は今まで、戦は将棋の駒のようなものだと思っていた。
しかし、実際の戦は、駒にも命がある。
駒それぞれに、妻や子がおり、人生がある。
命は一度きり、死んでしまえばそこですべてが終わる。
人生を全うできるならそれは悔いのないことであろう。
だが、戦で命を落とすことはそうではない。
人生がいきなり終了するのだ。誰かのせいで。
その夜、島津陣は、戦勝に沸いていた。
義弘は、初めて敵将の首を落とした。戦場では武功を称えられ、家臣たちは歓声を上げる。
しかし、義弘は一人、血の付いた太刀を見つめて震えていた。
そこへ、兄・義久が静かに入ってきた。
「兄上、……それがしは、……人を殺してしまいました……。戦とはこんなにも……苦しいものなのでしょうか」
「義弘、おぬしは戦を好まぬことはわしが一番よく知っている。だが、民のために戦うものは、皆その苦しみを背負うのだ」
「それがしは、……戦のない世を作りたい。だが、そのために、……わしは修羅にならねばならぬのでしょうか」
「その苦しみを知る者こそ。修羅を越えられる」
義弘は涙をぬぐい、太刀を握りなおした。
「国兼よ、わしは戦のない世の中を作りたい。しかし、それを成し遂げるには、修羅になり戦を勝ち残り続けなければならない。わしは、何があっても生き残ってみせるぞ。そして、戦のない世の中を見届けるのじゃ」
「殿、それがしもお供させていただきます」
義弘たちは、松坂城を落とした翌日、城の北側にある漆に兵を進めた。
漆の栫野城や遠江ヶ塁には祁答院の部隊が在陣していたが、兵たちはろくに戦いもせず祁答院へ逃げていった。
漆を抑えたことによって、祁答院から蒲生への補給路を断つことに成功したのである。
松坂城を攻略した島津軍は、11月には本格的に蒲生城の包囲に入った。
島津義久・義弘は城の西方に陣取り、東方の蒲生新城には島津貴久・尚久、島津忠将は馬立に陣取って城の北側を抑えた。
12月に入ると、反島津連合の菱刈重豊が蒲生氏救援のため、米丸に陣取った。島津軍は菱刈勢に難儀することになる。
翌年の4月に入り、島津軍は、菱刈陣に総攻撃を加えた。
「かかれ!かかれ!」
義弘は叫びながら、菱刈陣に突撃を敢行した。
途中、楠原某という敵将に出会い、一騎討となった。
義弘の勢いを楠原に止めることは不可能であった。
楠原の首は宙を舞い、義弘に討ち取られた。
島津軍の攻撃は凄まじく、菱刈勢は、300人が討ち取られ、大将の菱刈重豊も敗戦を覚悟し、戦場で切腹して果てた。
菱刈勢が敗れたことで、蒲生城は支城の北村城との連絡も絶たれ完全に孤立する。
すでに補給も絶たれており、城中に食糧もなく、蒲生範清は使者を島津貴久に遣わした。
「我が蒲生城は食糧も底をつき、最早抵抗する力もございません。城は明け渡します故、蒲生範清の命はお助けいただけるようお願い申し上げます」
「範清どのはどちらへ落ち延びられるご予定か」
貴久は尋ねた。
「祁答院良重さまを頼るつもりでございます」
「蒲生家は、我が島津家の国老も務めたことがある家柄、命だけはお助けしましょう」
「ありがたき幸せにございます。戻って主に伝えまする」
「父上、蒲生範清を生かして逃がしてしまってよかったのですか」
島津義久が尋ねた。
「蒲生は所領をすべて失った。ここで範清の命まで取っては後に禍根を残すだけじゃ。もうやつには反抗する力もあるまい」
「そうですね。無駄に命を奪う事はないでしょうね。父上、勉強になりました」
「義久、そなたは島津本家を継ぐ身である。一つの事象に対して、二手先、三手先を見越した手を打つことが肝要じゃ。お主がわしの跡を継いでどのような国のカタチを目指すのかはわからぬが、そのことだけは忘れるでないぞ」
「はっ、肝に命じまする」
「わしは、兄弟に恵まれておるが、おぬしも兄弟に恵まれておる。特に義弘は武勇においては我が家随一である。それらをうまく束ねよりよい国造りを目指すがよい」
「義弘ですか。確かにあやつはそれがしにはないものを持っております。歳久、又七郎もそれぞれ特徴があり、それがしに欠けている部分をよく補ってくれると思います」
「兄弟でよく話をすることじゃ。そしてみなが同じ方向を向いて動けば必ずやうまくいくであろう」
その夜、義久は義弘の陣を訪ねた。
「義弘、今回は見事な戦働きであったな」
「それがしは、先年、岩劔城の城番を任された際に、民の様子などを念入りに見て回りました。民は疲れ切っています。戦がなくなり、治安が安定すれば、民も安心して農事にいそしむことができるようになります。苗を植える喜び、苗の成長を見守る喜び、収穫の喜び。これに勝るものはございません。それがしは、戦のない世を目指したいのです」
「義弘よ、島津家の悲願は薩摩・大隅・日向の三州一統である。わしはそれに向けて邁進するつもりである。少なくとも、その三州の民が不幸になるようなことは絶対に許さぬつもりじゃ。おぬしの武勇は島津家中随一である。戦のない世を作るために、その力を大いに活かし、わしの手助けをしてもらいたい。さすれば、自ずとおぬしの願いも叶うのではないか」
「兄上、自分自身では自分の力がいかなるものなのか、よくわかっていない部分がございます。しかし、兄上がそれがしのことをそのように評価していただけるのでしたら、精一杯兄上についてゆくつもりでございます」
その夜は兄弟水入らずで久しぶりに杯を重ねた。
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