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1~10話
私も食べ物ではありません【上】
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「おわわわっ、高い……っ!!」
クロが立ち上がると同時に、視界がぐんと高まった。
おそらく他の『人間』と比較してもかなりの長身だろうクロの手のひらの上で、そのあまりの高さに慄く。
高い所は苦手ではないけれど、囲いも命綱もない状態ではさすがに不安だ。
「落とすつもりは毛頭ないが、ヒナも気をつけていてくれ」
「はいっ!」
力強く返事をすると、私はクロの親指を引き寄せて両腕でぎゅっとしがみついた。
「オッケーです!」
「かっ――――――!」
右手で顔を覆ったクロがわなわなと打ち震える。
え、なになに、やめて!? 揺らさないで!?
ガチャッ
「わ……」
ドアの向こうに広がっていたのは、今までいた部屋の三倍はありそうなほど広く、そして一切の飾り気を排除した質実な空間だった。
真っ先に視界に飛び込んでくるのは、どっしりと大きな執務机。
広い天板の上では私の身長よりも高そうな書類の山々が連なり、長い山脈をなしている。
一瞬休み明けの会社のデスクを思い出しかけ、ふるふると頭を振って記憶を追い払った。
机の背面にある大きな窓からは明るい日が差し込み、今が日の高い時間帯であることがわかる。
その隣に掛けられているのは国旗だろうか?
濃紺に太い白の十字が入り、中央には羽根のついた獅子のような生き物が描かれていた。
奥の壁には大きな本棚が三台並び、見るからに難しそうな分厚い本がぎっしりと詰まっている。
部屋の一角には応接セットのようなソファとローテーブルもあるけれど、ピンと革の張られた座面は固そうで、ゆったりとくつろげるような雰囲気ではなさそうだ。
「ここは俺の執務室だ」
「……じゃあ、今までいた部屋は?」
「あそこは休憩室として使っている」
「へぇー」
何とはなしに休憩室のほうを振り返ってみる。――と、今しがた通ったばかりのそこにはなぜか、あるはずのドアがなかった。
「?」
私が後ろを気にしていることに気付いたクロが、見やすいよう身体の向きを変えてくれる。
改めて壁を見て、私は再度首を捻った。
クロが立ち上がると同時に、視界がぐんと高まった。
おそらく他の『人間』と比較してもかなりの長身だろうクロの手のひらの上で、そのあまりの高さに慄く。
高い所は苦手ではないけれど、囲いも命綱もない状態ではさすがに不安だ。
「落とすつもりは毛頭ないが、ヒナも気をつけていてくれ」
「はいっ!」
力強く返事をすると、私はクロの親指を引き寄せて両腕でぎゅっとしがみついた。
「オッケーです!」
「かっ――――――!」
右手で顔を覆ったクロがわなわなと打ち震える。
え、なになに、やめて!? 揺らさないで!?
ガチャッ
「わ……」
ドアの向こうに広がっていたのは、今までいた部屋の三倍はありそうなほど広く、そして一切の飾り気を排除した質実な空間だった。
真っ先に視界に飛び込んでくるのは、どっしりと大きな執務机。
広い天板の上では私の身長よりも高そうな書類の山々が連なり、長い山脈をなしている。
一瞬休み明けの会社のデスクを思い出しかけ、ふるふると頭を振って記憶を追い払った。
机の背面にある大きな窓からは明るい日が差し込み、今が日の高い時間帯であることがわかる。
その隣に掛けられているのは国旗だろうか?
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奥の壁には大きな本棚が三台並び、見るからに難しそうな分厚い本がぎっしりと詰まっている。
部屋の一角には応接セットのようなソファとローテーブルもあるけれど、ピンと革の張られた座面は固そうで、ゆったりとくつろげるような雰囲気ではなさそうだ。
「ここは俺の執務室だ」
「……じゃあ、今までいた部屋は?」
「あそこは休憩室として使っている」
「へぇー」
何とはなしに休憩室のほうを振り返ってみる。――と、今しがた通ったばかりのそこにはなぜか、あるはずのドアがなかった。
「?」
私が後ろを気にしていることに気付いたクロが、見やすいよう身体の向きを変えてくれる。
改めて壁を見て、私は再度首を捻った。
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