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31~40話
世界の始まりを迎える指輪【中】
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「本当に申し訳ありませんでした!! 無償奉仕でもなんでもしますので、どうか命だけはお助けを……!」
どこぞの時代劇のような台詞になってしまったけれど、命乞いする場面なんて物語の中でしか見たことがないのだ。
座り込んだテーブルに手のひらをつき、おもむろに土下座の姿勢に入ろうとしたところでクロが言った。
「ヒナに、触れた石の色や魔力を吸い込む力はないだろう。そんな力があれば、照明や小型ランプのスイッチに使用している魔石だってとうに変質しているはずだ」
「あ……」
ドールハウスの壁に埋め込まれた鮮やかな石が頭に浮かぶ。
照明のオンオフのため今まで何度も触れているけれど、たしかに色も機能も失われてはいない。
「現にこの宝石も、込められた魔力は変わっていない」
「じゃあ、なんで色が……」
私の質問を受け止めながら、クロは得心したようにゆっくりと頷いた。
「ああ、――ようやく意味がわかった」
私にはさっぱりである。
「ヒナ、我が国の国旗の元となった伝承を知っているか?」
「……いいえ」
ちらりと壁にかかった国旗を見て、左右に首を振る。
この世界のことなんて、クロが教えてくれたことだけしか知らないのだから。
「遠い昔、世界は闇だった。永い年月を経て無の闇から幾柱かの神が生まれると、うち一柱――翼を持つ獅子の姿をした神レオドラグノアが、その鋭い鉤爪で闇を切り裂き世界の始まりをもたらしたんだ」
濃紺地に太い白の十字が入り、その中央に羽根のついた獅子のような生き物が描かれた国旗。
あれは世界の始まりの光景だったのか。
そういえば指輪にも、羽根のついた獅子のモチーフが彫られていたはずだ。
けれど、今の話が指輪とどう関係するのかはわからない。
頭に疑問符を浮かべたままちらりと後ろを振り返れば、ヤシュームも私と同じような顔をしてクロを見つめていた。
どこぞの時代劇のような台詞になってしまったけれど、命乞いする場面なんて物語の中でしか見たことがないのだ。
座り込んだテーブルに手のひらをつき、おもむろに土下座の姿勢に入ろうとしたところでクロが言った。
「ヒナに、触れた石の色や魔力を吸い込む力はないだろう。そんな力があれば、照明や小型ランプのスイッチに使用している魔石だってとうに変質しているはずだ」
「あ……」
ドールハウスの壁に埋め込まれた鮮やかな石が頭に浮かぶ。
照明のオンオフのため今まで何度も触れているけれど、たしかに色も機能も失われてはいない。
「現にこの宝石も、込められた魔力は変わっていない」
「じゃあ、なんで色が……」
私の質問を受け止めながら、クロは得心したようにゆっくりと頷いた。
「ああ、――ようやく意味がわかった」
私にはさっぱりである。
「ヒナ、我が国の国旗の元となった伝承を知っているか?」
「……いいえ」
ちらりと壁にかかった国旗を見て、左右に首を振る。
この世界のことなんて、クロが教えてくれたことだけしか知らないのだから。
「遠い昔、世界は闇だった。永い年月を経て無の闇から幾柱かの神が生まれると、うち一柱――翼を持つ獅子の姿をした神レオドラグノアが、その鋭い鉤爪で闇を切り裂き世界の始まりをもたらしたんだ」
濃紺地に太い白の十字が入り、その中央に羽根のついた獅子のような生き物が描かれた国旗。
あれは世界の始まりの光景だったのか。
そういえば指輪にも、羽根のついた獅子のモチーフが彫られていたはずだ。
けれど、今の話が指輪とどう関係するのかはわからない。
頭に疑問符を浮かべたままちらりと後ろを振り返れば、ヤシュームも私と同じような顔をしてクロを見つめていた。
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