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41~50話
よろしくお願いします【下】 ※
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「そうか。治癒薬が正しく効いたようだな」
指の背でするりと頬を撫で、クロの手が胸元に下りた。
ボタンに手をかけられ、恥ずかしさを覚悟してきゅっと目を瞑る。
しかし……一瞬で済むと思ったそれが一向に進まない様子に、私はそろりと目を開いた。
クロは先日あっさりと私を脱がせたのと同一人物とは思えないほど、力む指先の操縦に苦戦しながらもどかしそうにボタンと戦っている。
気持ちが逸り、細かな動作を鈍らせているようだ。
恥ずかしいから待ってと言いたいのに、険しい表情をして真剣に手元と格闘するクロを見ていると、水を差すのも申し訳ない気持ちになってくる。
途中何度か糸が切れたような音がしたけれど、ボタンはかろうじて布地にぶら下がっているのでセーフだと思いたい。
谷間と呼ぶのもおこがましい程度のなだらかな平地があらわになり、みぞおちを下って小さなヘソが見え。
すべてのボタンを解かれたジャケットは、布地の重みでパサリと左右に滑り落ちた。
「…………」
「〰〰〰〰っ」
じっくりと見つめられ、恥ずかしさに膝を擦り合わせる。
毎日一緒にお風呂に入ってはいたけれど、あれは小さな身体での話であって、視力も悪いと思い込んでいたからこそできたことなのだ。
実は視力がよかったとわかり、さらには人間サイズに戻った今、こうして裸を晒している状態は堪らなく恥ずかしい。
もっと見応えのあるグラビア体型だったなら、見ているクロも楽しかっただろうに。
申し訳ないやら、恥ずかしいやら、居たたまれないやら……。
「私だけ裸なの、嫌です……っ!」
駄々をこねるようにイヤイヤと首を振れば、クロは言葉もなく一瞬でシャツを脱ぎ捨てた。
「――――っ、……ヒナ、触れるぞ。痛みや不快な点があれば、すべて教えてほしい」
開きかけた口を閉じ、一度ゴクリと唾液を飲み込んでから、改めてクロが告げる。
「はい……。よ、よろしくお願いします……!」
えーと私は、何をよろしくお願いしたんだっけ??
コシのある細い髪にサラサラと首筋を撫でられ、くすぐったさに首をすくめる。
熱い舌でぬろーっと首筋を舐め上げられれば、ぞわりと背筋を伝う痺れに腰が浮いた。
「ん、それ……っ」
「ここが痛むか?」
「痛くは、ない、ですけど……」
「……舐められるのは嫌か?」
「嫌じゃ、ない、ですけど……っ」
「なら、感じてくれているのか?」
「〰〰!」
ぎゅっと唇を引き結んで恨みがましくクロを見つめる。
私の反応を見てクロはとろけるように目を細めると、固く引き結ばれた唇にちゅっと口づけを落とした。
「もっと俺を感じてくれ」
「…………変な反応しちゃうかも」
「すべて愛する自信があると言っただろう」
温かな手のひらが優しくわき腹を撫で上げて、胸へと到達した。
指の背でするりと頬を撫で、クロの手が胸元に下りた。
ボタンに手をかけられ、恥ずかしさを覚悟してきゅっと目を瞑る。
しかし……一瞬で済むと思ったそれが一向に進まない様子に、私はそろりと目を開いた。
クロは先日あっさりと私を脱がせたのと同一人物とは思えないほど、力む指先の操縦に苦戦しながらもどかしそうにボタンと戦っている。
気持ちが逸り、細かな動作を鈍らせているようだ。
恥ずかしいから待ってと言いたいのに、険しい表情をして真剣に手元と格闘するクロを見ていると、水を差すのも申し訳ない気持ちになってくる。
途中何度か糸が切れたような音がしたけれど、ボタンはかろうじて布地にぶら下がっているのでセーフだと思いたい。
谷間と呼ぶのもおこがましい程度のなだらかな平地があらわになり、みぞおちを下って小さなヘソが見え。
すべてのボタンを解かれたジャケットは、布地の重みでパサリと左右に滑り落ちた。
「…………」
「〰〰〰〰っ」
じっくりと見つめられ、恥ずかしさに膝を擦り合わせる。
毎日一緒にお風呂に入ってはいたけれど、あれは小さな身体での話であって、視力も悪いと思い込んでいたからこそできたことなのだ。
実は視力がよかったとわかり、さらには人間サイズに戻った今、こうして裸を晒している状態は堪らなく恥ずかしい。
もっと見応えのあるグラビア体型だったなら、見ているクロも楽しかっただろうに。
申し訳ないやら、恥ずかしいやら、居たたまれないやら……。
「私だけ裸なの、嫌です……っ!」
駄々をこねるようにイヤイヤと首を振れば、クロは言葉もなく一瞬でシャツを脱ぎ捨てた。
「――――っ、……ヒナ、触れるぞ。痛みや不快な点があれば、すべて教えてほしい」
開きかけた口を閉じ、一度ゴクリと唾液を飲み込んでから、改めてクロが告げる。
「はい……。よ、よろしくお願いします……!」
えーと私は、何をよろしくお願いしたんだっけ??
コシのある細い髪にサラサラと首筋を撫でられ、くすぐったさに首をすくめる。
熱い舌でぬろーっと首筋を舐め上げられれば、ぞわりと背筋を伝う痺れに腰が浮いた。
「ん、それ……っ」
「ここが痛むか?」
「痛くは、ない、ですけど……」
「……舐められるのは嫌か?」
「嫌じゃ、ない、ですけど……っ」
「なら、感じてくれているのか?」
「〰〰!」
ぎゅっと唇を引き結んで恨みがましくクロを見つめる。
私の反応を見てクロはとろけるように目を細めると、固く引き結ばれた唇にちゅっと口づけを落とした。
「もっと俺を感じてくれ」
「…………変な反応しちゃうかも」
「すべて愛する自信があると言っただろう」
温かな手のひらが優しくわき腹を撫で上げて、胸へと到達した。
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