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51~最終話
その日に向けて《クロ視点》【上】
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遅かれ早かれ、敵が動くだろうことはわかっていた。
宰相、デラージ=バーグは忠臣である。
国に忠誠を誓い、国家繁栄のため尽力する、その忠義は疑いようもない。
――しかし、何を以て国のためと考えるかについては個々に答えの分かれるものだ。
宰相は、この国の軍事力を強化することで周辺国の優位に立とうとした。
財を守り、増やすことが国の繁栄に繋がると信じて。
俺はそれに真っ向から対立している。
周辺国と友好的な関係を築けている現在、我が国だけが軍事力を強化したとなればいらぬ憶測を生む。周辺国との関係に緊張が走れば民の平穏が脅かされかねず、それを是とすることはできない。
国の繁栄は、民あってのものだからだ。
財を取るか、民を取るか。
互いに国のためを想いながらも、主張が相容れることはない。
かかる火の粉ごとき己の手で払えなくては王など務まるはずもなく、俺と宰相の問題に父上が関与してくることはない。
父上も軍事力増強には難色を示しているものの、国へと忠誠を誓う宰相にとって国の象徴たる『国王』だけは排斥の対象とならないようだった。
語学、演算、情報処理。思想は違えどその優れた能力を失うのは惜しく、たまの凶行に影が散らつこうと、通り一遍の調査のみで血眼になってまで犯人を暴き出そうとはしてこなかった。
自分にかかる凶行さえうまくやり過ごせれば、国は有用な人物を失わずに済むのだと。
そんな自暴自棄にも似た自己犠牲精神を、今になり激しく後悔している。
俺が敵を野放しにしていたせいで、矛先が向けられたのだ。
何の罪もないヒナに。
いつ行動を起こすかもわからない相手を、二十四時間、三百六十五日、絶えず監視し続けることは難しい。
しかし、今回は二週間。
俺の即位阻止が目的であれば、この期間に必ず仕掛けてくる。
すでに不審な動きがあるとの情報は入っているが、『動き』だけを理由に捕らえることはできない。
決定的な『事』が起こらなくては――。
わかりやすくヒナへの警護を増やし、活動範囲は狭めて、極力姿を見せないように。
ヒナには不自由な思いをさせてしまうが、日がな一日レッスンに打ち込むヒナは、自由に出歩ける時間がないことにあまり不便を感じていない様子なのが救いだった。
俺がいるのは城の離れで、魔力干渉を理由に使用人含め限られた人物の出入りしかない。
宰相といえどそこに介入するのは難しく、息を潜めて機会を窺われているような緊張感だけが付きまとっていた。
宰相、デラージ=バーグは忠臣である。
国に忠誠を誓い、国家繁栄のため尽力する、その忠義は疑いようもない。
――しかし、何を以て国のためと考えるかについては個々に答えの分かれるものだ。
宰相は、この国の軍事力を強化することで周辺国の優位に立とうとした。
財を守り、増やすことが国の繁栄に繋がると信じて。
俺はそれに真っ向から対立している。
周辺国と友好的な関係を築けている現在、我が国だけが軍事力を強化したとなればいらぬ憶測を生む。周辺国との関係に緊張が走れば民の平穏が脅かされかねず、それを是とすることはできない。
国の繁栄は、民あってのものだからだ。
財を取るか、民を取るか。
互いに国のためを想いながらも、主張が相容れることはない。
かかる火の粉ごとき己の手で払えなくては王など務まるはずもなく、俺と宰相の問題に父上が関与してくることはない。
父上も軍事力増強には難色を示しているものの、国へと忠誠を誓う宰相にとって国の象徴たる『国王』だけは排斥の対象とならないようだった。
語学、演算、情報処理。思想は違えどその優れた能力を失うのは惜しく、たまの凶行に影が散らつこうと、通り一遍の調査のみで血眼になってまで犯人を暴き出そうとはしてこなかった。
自分にかかる凶行さえうまくやり過ごせれば、国は有用な人物を失わずに済むのだと。
そんな自暴自棄にも似た自己犠牲精神を、今になり激しく後悔している。
俺が敵を野放しにしていたせいで、矛先が向けられたのだ。
何の罪もないヒナに。
いつ行動を起こすかもわからない相手を、二十四時間、三百六十五日、絶えず監視し続けることは難しい。
しかし、今回は二週間。
俺の即位阻止が目的であれば、この期間に必ず仕掛けてくる。
すでに不審な動きがあるとの情報は入っているが、『動き』だけを理由に捕らえることはできない。
決定的な『事』が起こらなくては――。
わかりやすくヒナへの警護を増やし、活動範囲は狭めて、極力姿を見せないように。
ヒナには不自由な思いをさせてしまうが、日がな一日レッスンに打ち込むヒナは、自由に出歩ける時間がないことにあまり不便を感じていない様子なのが救いだった。
俺がいるのは城の離れで、魔力干渉を理由に使用人含め限られた人物の出入りしかない。
宰相といえどそこに介入するのは難しく、息を潜めて機会を窺われているような緊張感だけが付きまとっていた。
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