24 / 72
廃洋館
#4
しおりを挟む
神社のある、山の麓に近づくにつれ、民家は少なくなり、周りには、田んぼや、畑ばかり…。学生の頃は、当然、都会の暮らしに憧れた時もあった。だが、最近は、この田舎らしい、風景も、嫌いではなくなった。
「生憎の空模様ですね…。」
ルームミラー越しに、私に目配せしていた、大谷が、何かを察したのか、そう、声を掛けてきた。
「そうね…。」
朝から降っていた雨は、今は止んでいる物の、いつ降り始めるか、分からない、どんよりとした、灰色の雲が、空一面を、覆っている。
「こんな天気の日に、喜ぶのは、蛙か、農家の人達くらいだろうな。」
相変わらず、スマホから目を離さないでいる、寺井さんも、便乗してきた。
「じゃぁ、私は“蛙”ですね。」
神社に、到着したのは、役場を出発してから、40分後だった。近くの集落からは、数百メートル離れた位置の、木々で覆われた場所に、その神社はある。
私の曽祖父が生まれるよりも、もっと前からある、神社なのだが、真新しい見た目をしている。なんでも、数年前、瓦や床材の張替え、塗料の塗替えを、行ったと、聞いていた。
鳥居をくぐり、一度本堂を、お参りし、私たち三人は、境内の脇にある、社務所らしきところに、向かった。
普段から、人気のない神社だというのに、豪勢にも、お守りやお札、御朱印まで、販売している。逆を言えば、ここまでグッズを、並べ、販売しているのだから、少なくとも、誰かは居る筈だ…。
とりあえず、窓口のところにあった、呼び鈴を鳴らした。
だが、社務所の中からは人っ子一人の、気配すら感じない…。
「ごめん下さい!ピーチテレビの者です!森の上にある、例の洋館について、伺いたいのですが!」
寺井さんが、叫ぶように、訊ねた。それでも、誰も、出てこない…。
「留守…なんじゃないですかね…。」
「かもしれないわね…。ん?」
私は、社務所の窓口の、端の方に、小さな賽銭箱の様なものを、見つけた。
その箱の、側面には、
・御守各種六百円
・御朱印五百円
・厄除鈴三百円
・おみくじ三百円……
と、事細かく、それぞれの、グッズの値段が書かれていた…。
「もしかして、無人販売…。」
不用心な…。と一瞬言いかけたが、ここは、神社の境内。盗みを働く輩こそ、罰当たりだ…。それに、この神社に、観光客など、殆ど来ない。来るとしたら、御朱印集めをしている、物好き程度だ…。だから、“盗まれる”という、概念が、この場所には、存在しない。
「御朱印、買っていこうかな…。」
「生憎の空模様ですね…。」
ルームミラー越しに、私に目配せしていた、大谷が、何かを察したのか、そう、声を掛けてきた。
「そうね…。」
朝から降っていた雨は、今は止んでいる物の、いつ降り始めるか、分からない、どんよりとした、灰色の雲が、空一面を、覆っている。
「こんな天気の日に、喜ぶのは、蛙か、農家の人達くらいだろうな。」
相変わらず、スマホから目を離さないでいる、寺井さんも、便乗してきた。
「じゃぁ、私は“蛙”ですね。」
神社に、到着したのは、役場を出発してから、40分後だった。近くの集落からは、数百メートル離れた位置の、木々で覆われた場所に、その神社はある。
私の曽祖父が生まれるよりも、もっと前からある、神社なのだが、真新しい見た目をしている。なんでも、数年前、瓦や床材の張替え、塗料の塗替えを、行ったと、聞いていた。
鳥居をくぐり、一度本堂を、お参りし、私たち三人は、境内の脇にある、社務所らしきところに、向かった。
普段から、人気のない神社だというのに、豪勢にも、お守りやお札、御朱印まで、販売している。逆を言えば、ここまでグッズを、並べ、販売しているのだから、少なくとも、誰かは居る筈だ…。
とりあえず、窓口のところにあった、呼び鈴を鳴らした。
だが、社務所の中からは人っ子一人の、気配すら感じない…。
「ごめん下さい!ピーチテレビの者です!森の上にある、例の洋館について、伺いたいのですが!」
寺井さんが、叫ぶように、訊ねた。それでも、誰も、出てこない…。
「留守…なんじゃないですかね…。」
「かもしれないわね…。ん?」
私は、社務所の窓口の、端の方に、小さな賽銭箱の様なものを、見つけた。
その箱の、側面には、
・御守各種六百円
・御朱印五百円
・厄除鈴三百円
・おみくじ三百円……
と、事細かく、それぞれの、グッズの値段が書かれていた…。
「もしかして、無人販売…。」
不用心な…。と一瞬言いかけたが、ここは、神社の境内。盗みを働く輩こそ、罰当たりだ…。それに、この神社に、観光客など、殆ど来ない。来るとしたら、御朱印集めをしている、物好き程度だ…。だから、“盗まれる”という、概念が、この場所には、存在しない。
「御朱印、買っていこうかな…。」
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
雨が止むとき、人形は眠る
秋初夏生
ホラー
「雨の日に人が突然倒れる」という不可解な事件が、金沢で続発していた。
冥府庁調査課の神崎イサナと黒野アイリは調査の末、ひがし茶屋街に佇む老舗の人形店「蓮月堂」へ辿り着く。
そこでは“誰も作った覚えのない人形が、夜ごと少しずつ増えている”という奇妙な噂が立っていた。
病に伏す人形師・桐生誠士は、異変の真相解明を二人に託し、さらに姿を消した元弟子の人形師“斎宮”を探してほしいと願う。
増え続ける人形、曖昧に濁される証言、消えた記録。静かな雨音の下で、隠された想いが少しずつ輪郭を帯びていく。
これは、失ったものを手放せなかった人間の執念が引き起こす、じわじわと心を侵す怪異の物語。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる