緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

文字の大きさ
25 / 72
廃洋館

#5

しおりを挟む
 幸い、社務所内の壁に、連絡先や、神主の自宅の住所などが書かれた、紙が貼られており、何とか、連絡が取れ、必然的に、アポも取れてしまった。
 「電話越しだったとはいえ、割と、感じの良い人でしたよ?」
 じゃんけんで負けた大谷が、神主に連絡を入れることになってしまった…。のだが…。
 「あれ?私の思っていた、人物像とは、かけ離れていますね…。」
 報道関係で、働く人間として、噂話には、かなり敏感になっている。
 この神社の神主、「生駒保木」は、昔から、かなり有名な、“頑固オヤジ”だった。
 噂によると、神社の後ろの山や、森も、神社の境内らしく、無断で、立ち入ろうとする者には、たとえ、地元の人間だろうと、警察沙汰にするほど、短気な性格だ。
 実際、過去に、何度か、何かしらの警察沙汰を、起こしている、要注意人物だ。
 「とりあえず、その生駒って、爺さんの自宅に向かうぞ、ここから、そう遠くないみたいだしな。」
 車のエンジンを掛けた寺井さんが、そう言った。
 「御朱印、買っていくんで、もう少し、待って下さい。」
 大谷が、そう言いながら、財布を取り出した。
 「私も、お守り買おうかな…。」
 「ったく…。早くしろ…。」
 
 
 「僕、一時期、御朱印集めるのに、ハマっていた頃がありまして…。その癖で、今でも、御朱印帳と、糊、持ち歩いているんですよ。」
 大谷が、鞄から、蛇腹状になった、冊子を取り出し、買ったばかりの御朱印を、テープ糊で、ペタリと貼り始めた。
 「私、御朱印なんて、初めて見たけど、直接書いてくれるんじゃないんですね…。」
 「社務所や寺務所に常に、数人職員が居て、広い境内が広いところでは、直接記帳してくれるところが、多いですが、ああいった、人の往来が少ない所では、台帳を予め作って、配るって所も少なくありません。
 ただ、有名な、大きい社寺だと、台帳にしていたり、両方を取り入れている所が、あります。」
 和紙の台帳を張り終え、パタンと、御朱印帳を閉じた。
 「へぇ…。そんな事、初めて聞いたんだけど…。」
 「御朱印は、結構深いんですよ…。」
 「いや、そうじゃなくて、貴方の趣味よ…。結構、付き合い長いと思ってたけど、そんな趣味、初耳なんだけど…。」
 大谷とは、“仕事”での付き合いは、かなり長い。同期で、お酒にも強いという事もあり、入社した当時から腹を割って話せる飲み友達として、良い仲だと思っていたが…。まだ知らない事が、あることに少し、ショックが、あった…。
 「え、えーと…。そう言えば、陣内さんは、お守り、何かったんですか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

きさらぎ駅

水野華奈
ホラー
親友から電話があった。 きさらぎ駅という場所にいるらしい… 日常の中の小さな恐怖が今始まる。 触れてしまったが最後。 二度と戻れない。

雨が止むとき、人形は眠る

秋初夏生
ホラー
「雨の日に人が突然倒れる」という不可解な事件が、金沢で続発していた。 冥府庁調査課の神崎イサナと黒野アイリは調査の末、ひがし茶屋街に佇む老舗の人形店「蓮月堂」へ辿り着く。 そこでは“誰も作った覚えのない人形が、夜ごと少しずつ増えている”という奇妙な噂が立っていた。 病に伏す人形師・桐生誠士は、異変の真相解明を二人に託し、さらに姿を消した元弟子の人形師“斎宮”を探してほしいと願う。 増え続ける人形、曖昧に濁される証言、消えた記録。静かな雨音の下で、隠された想いが少しずつ輪郭を帯びていく。 これは、失ったものを手放せなかった人間の執念が引き起こす、じわじわと心を侵す怪異の物語。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

洒落にならない怖い話【短編集】

鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。 意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。 隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...