緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#3

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 「お待たせして、申し訳ございません。あの洋館の事ですよね…。正直言って私共もそんなに詳しくは話せません。」
 「というと?」
 「別に口止めが掛かっている訳でもなく、単純に解らないのです。明治の終わり頃から。大正の初め位から有るとしか解らないのですよ…。」
 それは噂の中でもそうだ。正確な年代は不明で、浅井さんの言った、その二つの説が濃厚なだけ。中には、昭和中ごろと言う者や平成初期と語る人も様々だった。
 「そうですか…。他にこの土地に詳しい人とか、そう言った施設とかに何か心当たりがあったりしませんか。」
 「そうですね…。私共が知らないことを歴史資料館の方が知っている訳ありませんからね…。となると、神社や寺などに行ってみたらどうでしょう。」
 ポンと膝を打つ様に答えた。神社仏閣は歴史が詰まった建物。当然この土地の言い伝えや歴史については専門的であると言っても過言ではない…。
 「なるほど…。じゃぁちょっと行ってみます。」
 「申し訳ない、せっかく取材にいらしたのにお役に立てず…。」
 「構いませんよ。知って居ろと言う方が無理な話ですから。」
 私的には結局解らず仕舞いで、制作打ち切りに成った方が有難いのだが、言える訳がない。
 「頑張って下さい。私の娘も、このコーナー毎回楽しみにしているので。
 ぜひ、あの洋館の真相を、確かめて下さい。」
 去り際に、浅井さんから、労いの言葉を、貰い、私たちは、役所を後にした。
 
「それなりに、歴史があって、社務所や、住職が常駐している、神社仏閣となると、さっきの山の麓にある、神社しか、ありませんよ…。」
 車のハンドルに、凭れ掛かって、運転していた、大谷が、嫌そうに、ため息を吐く様に、そう言った。
 彼の気持ちは、解らなくもない…。
 「私だって、あそこだけは、行きたくないよ…。」
 昔から、そこの神社には、怒ると怖い、おじいちゃん神主が、管理している神社だからだ…。実際、私が小学生の時の、同級生の男の子達が、放課後、その神社の近くで、遊んでおり、境内の草花を踏み荒らしたとして、学校に怒鳴りに来たくらいだ…。
 だから、この近くの子どもたちからは、非情に恐れられた存在だ…。
 「流石に、アポなしとはいえ、大人は怒られたりしないよね?」
 「その時は、その時さ。不義理があるのは、こっちなんだから。最悪、放送までは時間あるし、“後日改めて”ってことも、出来るだろう…。」
 助手席で、スマホを弄っていた寺井さんが、応えた…。
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