緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#18

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 私たちは、廊下に戻り、隣の部屋を、虱潰しに、開けて行った。一階と違い、部屋の数は、多い物の、生活スペースが、中心らしく、寝室や子供部屋、化粧室や浴室など言った、大きさは、それ程でもない、部屋が続いた。
 そして、二階最後の部屋、廊下の突き当りを左に曲がった最奥の扉に到頭、行きついてしまった。
 「流れで行くと、ここが、多分、例の“書斎”って奴だろうな。」
 寺井さんが、そう言った。書斎は、この洋館で、唯一、事件現場となった、部屋だ。ここが、一番の曰く付きという訳だ。
 私自身、それ程、“心霊”などの、オカルトめいた話には、興味が無いが、気にしていない訳では無い。当然、こんな時間に、こんな不気味な場所に居るのだって、嫌だ…。
 ましてや、殺人事件があった場所になんて…。
 寺井さんが、ドアノブに手を掛けた。
 「あれ?」
 ガチャガチャと、ノブを回しては居るが、開かない様だった…。
 「鍵穴が、付いていますね…。」
 大谷が、ノブの辺りを、指さし、そう言った。
 見た所、よく洋画や、マンガなどで、見る事のできる、“ウォード錠”と言われるものだ。スケルトンキーといわれる、円筒状の軸に、平坦な矩形型の歯が付いている鍵で開ける必要がある。
 「鍵なんて、何処にも、無かったけどな…。」
 それもそうだ、仮にも、ここは、不動産会社が、管理している建造物、室内の物にしろ、鍵の管理は、徹底しているのだろう…。
 だが…。
 「それ、私にも見せて貰って良いですか?」 
 私は、ポケットから、スマホを取り出し、フラッシュライトを点け、鍵穴を覗いた。
 奥の形状は、分からないが、歯の数と、凹凸の位置は、何となく分かる。これなら、道具がなくても、何とかできそうだ。
 「大谷さん、六角レンチ貸して下さい。」
 「良いですけど…。開けられるんですか?」
 「昔ね、色々あってね…。大抵の鍵なら、解錠できます。」
 私は、彼から、六角レンチの束を貰い、更に、自分のポケットからヘアピン3本を取り出した。
 ヘアピンを少し、折り曲げ、加工し、それらを鍵穴に突っ込み、中の形状を確認し、無理やり回せる場所を探った。
 多少錆び付いており、動きは、ぎこちないが、それでも、回りそうだ…。
 何度か、強めに鍵穴を弄り、六角レンチを回すと『ガチャリ』と、小気味いい音が廊下に、響き渡った。
 「開きました。」
 「よくやった。大谷、今のところは、カットしておけよ。」
 「…はい…。ていうか、陣内さんに、こんな特技があったとは…。」
 大谷が、落胆したような声を漏らした。
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