緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#19

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 「か、勘違いしないで!実家が、鍵屋で、父から小さい頃教わったの!疚しい事なんて、してきていないから!」
 「そうですか…。」
 大谷は、一応納得したようだった。
 「それより、中入るぞ。」


 部屋の中は、壁一面びっしりと、棚で埋まっていた。棚には、本やちょっとした小物なんかが、所狭しと並んでいる。
 多少、多少色褪せている物も、あるが、それでも、古本特融の黴臭さは、無かった。
 私は、一冊、手に取り、パラパラと、ページを捲った。
 本のタイトルから、何となく気が付いていたが、本文は、日本語では無かった。
 「流石に、何の本か、分からないな。」
 寺井さんも、一冊本を捲り、そう呟いた…。
 「せめて、何語か分れば、スマホ使って、翻訳できそうだが…。」
 落胆しつつ、それぞれ、本を元の位置に戻した。
 「これ、見て下さい。」
 大谷は、部屋の奥にあった、机の前に立っていた。
 「どうした。」
 「この本だけ、不自然に、こんな所に置いてあったので、開いてみたんです。そしたら、これが…。」
 大谷が示した本を、私たちも、覗いた。この本もまた、日本語では無かったが、さっき見た本と違うのは、様々な形や模様が、描かれた、挿絵が入っていた。
 それも、1ページや2ページとかの、範囲ではない。
 更には、ページの余白に、手書きの文字で、書きなぐったような、コメントも、多々あった。
 「他の本とかは、落書きさえない、綺麗な本なのに、この本だけ、どうして?」
 私が、そう言うと、大谷は、挿絵を一つ一つ、指でなぞる様に、示していった。
 「これ、何かの儀式じゃないですか?」
 「儀式?」
 長さがそれぞれ違う波線が、縦に、三つ並んでいる模様を、指さした。
 「はい。だって、この模様…。」
 大谷は、本を持ちながら、窓際の腰位の高さの棚の上に載っていた、小さい、小物入れようの箪笥の前に立った。
 「ほら、この上の疵、この模様と、そっくりじゃないですか?」
 私たちも近づき、その箪笥を、見た。
 確かに、天板に、本に書かれている、模様と、酷似した模様の疵が、付いていた。
 「これ、明らかに彫られてるな…。」
 寺井さんは、そう言うと、小物入れの引き出しの一番上を、開け。
 その中身を見て、私と大谷は、震えあがった。
 
 引き出しから出てきたのは、紫の布の上に束ねられた状態で、乗せられていた、黒髪だった。
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