緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#17

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 「意識があるって、あれから、どれだけ時間が、経ったと思っているの…。医者でもない貴方がどこで、どうやって…。」
 女性は、そこまで言うと、何かを思い出したかの様に、ハッと息を飲んだ。
 「まさか、屋根裏の牢を抉じ開けたの…。」
 女性のその言葉に、男性は、軽く鼻で笑い、答えた。
 「その“まさか”だよ。どうやら、純血じゃないと、駄目らしくてさ…。親父は騙せても、俺は騙せなかったな。」
 女性の顔は、青ざめており、身体も、震わせていた。
 
 バタン!

 その時、何処からか、また、扉が閉まる音が、聞こえた。
 私たちは、思わず振り返った。どうやら、上階の方からの様だった。
 「何?」
 私が、呟いた後、改めて、応接室の方に目を戻した。だが、灯りは、既に消えており、さっきまで、聞こえていた、二人の声も、人影も、一切なくなっていた…。まるで、さっきまでの出来事が、幻想だったみたいに、部屋は、静まり返っていた。
 「どうなってるんだ…。」
 寺井さんが、扉を開け、暗くなった、応接室に、入った。
 「確かに今、二人いましたよね?」
 「はい。カメラにも、さっきのやり取りは、撮影できています。」
 「ちょっと、気が引けるが、さっき音がした方に、行ってみるか?」
 寺井さんの提案に、私と、大谷は、頷き、階段を上った。
 階段を上がった、突き当りの壁には、大きな絵画が、飾られていた。場所は分からないが、海外の山の風景を、描いた物らしい。
 その他、廊下の壁には、所々にランプが取り付けられていたり、絵画や、装飾品が飾られていたりと、かなりお洒落な作りになっていた。
 
 さっきの音は、二階の方から聞こえたのは、間違いないが、何処からした音なのかは、はっきりと分からない…。今、目に見えている扉の数だけでも、6つ。これを、一つ一つ、潰していくしか、無い。
 私たちは、取り敢えず、一番階段から一番近い、扉をあけた。室内は、15畳くらいあり、中央に、天蓋付きのベッドや、ソファとテーブルでできた、談話スペース。壁際には、暖炉や、クローゼットらしい、折れ戸が見受けられる。
 「ここは、客室みたいだな…。」
 寺井さんが、暖炉上に飾られている装飾品を、見詰め、そう言った。
 確かに、一家の寝室にしては、豪華すぎる。
 一人二人、泊まるには、丁度いい広さだが、私だったら、落ち着かず、眠れないだろう…。
 それから、3人で、何か手掛かりになりそうなものを、この部屋から、探したが、目ぼしいものは、見当たらなかった。
 「ここではなさそうですね…。」
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