緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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廃洋館

#21

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 「送り込まれた?」
 寺井さんの言葉は、非現実的な、内容だった。現代の科学力では、タイムマシンなどと言った、機械や、装置などは、完成してない…。
 私たちが、過去に送り込まれているなんて話、俄かには、信じがたい。だが、それを、裏付けるかの様に、洋館の前に停めていた筈の、ワゴン車のヘッドライトの灯りも、ロケ用に建物の外観を、照らしていた照明も、見えない…。
 静まり返った、館内には、三人の呼吸の音が、不気味に、響いている。
 「そ、そんな、非現実的な事、起きる訳が…。」
 否定する大谷の言葉は、次第に、弱まっていく。無理もない、先ほど、見た、男女の会話も、彼の手にしている、カメラで、録画されている筈なのだから。
 「兎に角、今は、この謎を解かねぇと…。
 陣内、お前が見た、この模様は、何処にあった?」
 「確か、この階段裏の所に…。」
 私は、灯りを階段裏の部分に、向けた。すると、私の目の高さより、少し、低い位置に、例の三角形のマークがあった。
 「間違いなさそうだな…。何か、近くに、怪しいものは、無いか?」
 私は、床に手を着き、手探りで、その“何か”を探した。また、人の髪の様なものだったら、嫌だが、それでも、必死に探した。それで、元の時間に戻れるのかは、分からないが、“何か”をしていないと、気が狂いそうで、仕方がなかった。
 その時、右手の指先に、何か、堅い物が、当たった。私は、思わず、手を引っ込めた。
 この感触は、私も知っている…。私の考え過ぎであって欲しいと、願った。
 「な、何か、ありました…。」
 普通に話した筈だが、声が震えて出た…。
 「分かった…。」
 寺井さんは、それを、察したのか、私を、倉庫から、出る様に、言った。
 「俺が確かめるから、大谷と一緒にそこに、居ろ。」
 寺井さんが、倉庫の中で、しゃがみ、例の“何か”を確認した…。
 1分程経った頃、彼が、倉庫から、戻ってきた。
 「間違いない、人間の生爪だ…。見た目からして、多分、女性の物だろうな…。」
 その言葉を聞き、私の身体に、更に悪寒が走った。
 「早く出ましょう!こんな所!」
 私が言うより先に、大谷がそう言った。私も、それに賛同し、玄関扉の方に、走って行った。しかし、ドアノブを、何度も動かしたが、扉はびくともしない…。
 「あ、開かない…。」
 鍵がかかっている訳では無かったが、どうやっても、開かない…。
 「お、おい、落ち着け…。」
 寺井さんが、そう言った、次の瞬間。
 
 きゃゃゃややややああああ

 甲高い、叫び声が、館内中に響き渡った。
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